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【散文】内から零れた言葉たち。

夜の童話

作者: 西荻悠

 赤い夜明けの子守歌。

 青い果実が交わす密談。

 緑の森に蝶の舞う音。

 黒の墓場に響く慟哭のオペラ。

 白兎が沈む沼のため息。

 黄金の地平を巡る聖歌。


 君は歌いながら旅をする。

 僕は残された呪いに傷つき、立ち止まる。


 暗闇と静寂に充ちた時間。

 拒むことなく包み込む空間。

 全てを受け入れるのではなく、容赦なく喰らい尽くす。

 たゆとう水に浮かぶ月。

 行き先の見えない迷宮庭園。

 群青の大地に、君の影は見つからない。


 もういいかい。

 もういいよ。

 さぁ、目前に迫る不安に向かって、

 微笑みながら両腕を広げて。


 一瞬で終わるよ。

 一瞬で消えるよ。

 煌めくものは儚く失われ、

 まばゆしものは滅びて消える。


 それでも眼前に開いた君の両手は

 間違いなくここに在り、

 あの日手のひらに包んだ星屑は、

 罪に染まぬ言葉によって永遠を生きるだろう。


 足下の屍はそのままにしておくと良い。

 君は原初の棺に眠る海。

 宝石箱のオルゴールが止まればノワールの夢は醒め、

 夜の童話もこれにて終幕。



初出 2007年2月26日

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