……
書き物
「やらなければよかった」
「何をです?」
「君を助けたこと」
そんなこと言わないでくださいよ〜。私はあなたのおかげで生きてるんですよ〜?そんなこと言われたら私の存在意義がないじゃないですか」
「そう思うなら、僕に構わないでくれないかな。鬱陶しい」
「ならちゃんとしてください。朝も食べてきてないんでしょ?食事はとらないと死んじゃいます」
「ちゃんと卵かけご飯食べたよ。だから君が持ってきたその二つ目の弁当は御用じゃない」
「ひ、人が頑張って作ったお弁当を要らないって……そんなご無体な……」
「そもそも、君が自殺を図っているところにたまたま居て、たまたま手が届いたから引っ張っただけだ。他の人がいたらここには僕だけがいつもの毎日を過ごしていたんだ」
「でも助けてくれたのは事実じゃないですか」
「なら君は、股を開けと言えばそうするのかい?」
「それがあなたの本心なら。私の命はあなたのものですし」
「はぁ……」
「どうしました?」
「度し難いな君は。普通命を救ってもらったにしても、そんな要求をされたら大抵の女性はビンタして2度と姿を現さないだろうに」
「それって相対的に自分の命は自分の支給よりも価値がないですって言ってようなものじゃないですか。自分にとっては命あっての物種ってやつです」
「……変わり者だね、君は」
「へへへ、よく言われます」
「類は友を呼ぶ、とでも言うのかね……」
「その言葉って、最終的に残る人は同類だったってだけなんじゃないですかね。理解できない人より理解できる人へ靡くものですし」
「なるほどね」
「だから私はあなたから離れませんよ!」
「プロポーズかな?」
「いえ!奴隷宣言です!」
「……本当に君は……はぁ……」
「へへへ」