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 そう言って楓雅は今しがた入れたお茶をフーフーして冷ますとゆっくりと飲み始めた。やはり猫舌なのだろう。


 楓雅は私がここへやってきた理由を聞く気満々なので、私はお菓子を出しつつ楓雅の隣に座ってここにやって来た経緯を話し出す。


 全てを聞き終えた楓雅は何とも言えない顔をして私の頭を慰めるように撫でると、何かに納得したように頷いた。


「なるほどなー。だから楼主が特別扱いすんだな」

「特別扱い?」

「そーだよ。俺は遊郭なんて初めて来たから噂に聞くだけだけど、ここの遊郭は最高ランクの遊郭で規律も一番厳粛で厳しいって有名なんだ。あいつはとにかく曲がった事嫌いな奴でさ。それはまぁ昔からなんだけど。だから柊霞ひいらぎかすみとは反りが合わないんだなー」

「柊霞?」


 誰だ、ヒイラギカスミって。そう思いつつ楓雅を見ると、楓雅は私の体をゆっくり押し倒してきた。


「友達だよー。俺でしょ、柊霞でしょ、朧月に楼主、それから漣音さざね。同期なんだよ俺達。だから今でもしょっちゅう集まる。ちなみに楼主にはちゃんと名前があるけど、あいつの名前はあの仮面の無い時でないと呼んじゃいけない」

「どうしてですか?」

「うーん……いわゆる二重人格って奴? 仮面つけてる時は優しいけど、仮面取ったら怖い怖いお兄さんなんだ。だから小春も楼主には逆らっちゃ駄目だよ」

「き、肝に銘じます」


 そんな風には全然見えないが、友達が言うのならきっとそうなのだろう。


 ゴクリと息を飲みながら頷くと、楓雅は途端に意地悪な笑みを浮かべた。


「そーして。ところで小春」

「何でしょう?」


 押し倒された状態なので何だか落ち着かないが、楓雅の目が行灯の光りを受けてキラリと光った。その目は完全に獲物を捕まえた時のそれだ。


「俺もう我慢出来ないんだけど、もしかして小春も媚薬使ってる?」

「つ、使ってませ——んっ!」


 答えるよりも先に私の口は楓雅の唇によってあっという間に塞がれた。


 あまりにも長いキスに耐えかねて思わず唇を開くと、そこに待っていましたとばかりに楓雅の舌が入り込んでくる。


「っ、んっ、っふ!?」


 何やら人の舌とは違う感覚に思わず私が楓雅を見上げると、楓雅は金色の瞳を細めた。


「ビックリした? 俺猫だからさ、舌ザラザラなんだよね。おまけに舐めるの大好き」


 そう言って楓雅は私の着物に手を差し入れたかと思うと、少々乱暴に着物の前をはだけさせ、露わになった胸に顔を近づけてくる。


「んっ!」


 その不思議な感覚に思わず私が声を上げると、楓雅の息が少しだけ荒くなった。


「ヤバ……小春可愛い……」


 猫達が普段どんな反応をするのかは分からないが、楓雅はとにかく興奮した様子で舌なめずりをしながら、帯を解きにかかった。


 可愛い顔をしていも爽やかそうな美少年でも、男は男なのだとこの時私は初めて知った。楓雅は体は小さいかもしれないが、昨夜の朧月や楼主と比べても性急だ。


 帯を解き終えて着物をあっという間に脱がされた私は、楓雅の愛撫に翻弄されていた。


 唇を塞がれ、胸に触れられているうちに頭がぼんやりしてくる。多分、媚薬が効いてきたのだ。


「んっ、あ、はぁ」

「あー……ヤバい。触るだけで気持ち良い……これ、俺ヤッたら飛ぶんじゃね」


 独り言のように呟いた楓雅はまた私の胸に顔を埋め甘噛してくる。その刺激に思わず私は腰を浮かせてしまった。


 その反応を待っていたかのように楓雅は私の両膝に身体を滑り込ませてくる。


 あのザラザラの舌でこれから何をされるのかと思うと背中にゾクリとしたものが迫り上がってきた。

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