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第二話

尼子軍襲来の報せを受けた三浦家中は、蜂の巣を突いたような騒ぎになった。

「尼子か……ついに来おったか。」

三浦貞久は立ち上がり、鎧の緒を締める。家臣たちは皆、顔を蒼くしていた。

「籠城なさいますか?」

「いや、野に出る。」

「な、何をお考えで!?」

「この戦、逃げれば終わる。討って出て、討ち死にして終わる。もうそれでよい‥」

貞久の声は澄み渡っていた。

覚悟とは、静寂の中で決まるものだ。

その頃、尼子本陣。

尼子晴久は軍勢4000を率い、陣幕の奥にいた。

「晴久様、敵勢はおよそ2000といった所ですな」

「2000か。‥てか2000もよく集められたな」

「三浦貞久、討ち取りますか?」

「ならん。ならんぞ!生け捕れ。」

「……生け捕り、でございますか?」

「そうだ。あの男、明へ送る」

晴久の眼光が光る。冷徹だが、どこか愉悦を帯びていた。

そして夜が明ける。

三浦勢は高田の野に整列していた。

貞久は馬上から家臣たちを見渡す。

「皆の者、命惜しむな。武門の子である以上、見苦しい死を晒すなッ」

やがて、地鳴りが迫る。

尼子の旗が風を裂き、太鼓が山を震わせた。

黒煙のように押し寄せる尼子勢。

瞬く間に、戦線は崩れた。

槍が砕け、首が舞う。

三浦の若侍が叫びながら突撃するも、尼子の弓兵隊に瞬時に撃ち抜かれた。

剣戟の音が、獣の唸り声のように響く。

「退け!退けぇい!」

貞久の声も、もはや誰に届いたかという状況。

三浦勢2000のうち、生き残りはわずか。

一方の尼子軍は、損耗わずか93人。

「終わったな。」

尼子本陣で、晴久が静かに呟いた。

副将が問う。

「もし城に籠られておれば……」

「そのときは、多少手こずったな」

晴久は薄く笑った。

「だが三浦貞久、籠もらなんだ。戦を知らぬ愚か者。いや、無能の極みだなw」

風が吹いた。

その風に、三浦家の旗が裂け、散り、消えた。

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