組織
私こと、倉敷 海斗は前田君と桜花に話を終え、桜花に病室から追い出された後、倉敷医院の俺の部屋に向かうとそこには相良がいた。
「よう。頼まれてた仕事終わったぜ」
「ごくろう。いつも助かってるよ」
「それはお互い様ってやつさ」
相良 条。私の学生時代の先輩であり、親友でもある。こいつには秋塚高校で教師を頼んでいる。
「桜花はもう大丈夫なのかよ」
「ああ。前田君がいる限り大丈夫だと思うよ。逆もあるけどね」
条は「はっはっは」と軽く笑った後真顔で私に
「それで前田を殴っていた男、俺がとめた際は荒々しかったんだがやつを取り調べるときになると急に落ち込んだようになってな。それで奴の素性を調べてみたんだが」
条は紙をとりだすと私に説明する。
「奴の名前は苗川 黄木。秋塚高校の一年で不登校の子だ。そして天倉との関わりはほぼない。それで奴の証言を聞くと、いつもはあんなむかつかないのになんでかかなりむかついた、と」
条は苗川から聞いた証言を私に言う。こいつには教師以外にもいろんなことを頼んでいる。証言をとるのもこいつに任せていた。
「ということは天倉とかいう女は」
「ああ。俺もそう思う。あいつは悩み種だ。だが前田に頼むにはまだ早い。あいつには別の子を頼もう」
「そうだな。天倉は私達と敵対する組織の一人かもしれないからな。慎重にいこう」
私が条に言うと条は首を縦にふった。
僕、前田 紅はゲームセンターでの一件の後、一週間病院に入院した。入院中は学校が終わってから毎日桜花さんが見舞いに来てくれた。無理しなくてこなくてもいいのに。
「わ、私が来たくてきてるんだから前田君は気にしなくていいから」
お、おう。そう言ってくれるとうれしいな。友達が見舞いに来てくれるのはなんともいいもんだ。姉さんと香奈恵は悩み種にかかって入院してるのに自分はこんな友達をつくって楽しくやっていてもいいんだろうか。
僕が退院する日、倉敷さんは一枚の紙を僕に渡してきた。
「前田君。次はこの子を頼むよ」
僕は紙に目を通すとそこに書かれていたのは
才田 才子。この子は確かEランク?だったかな。あ、悩み種のレベルね。
「その子はこの街にある後二つの高校の一つ、才能化学園に通っている。歳は君らより一つ歳下で高一だよ」
才能化学園?なんか昔ちらっと聞いたことあるようなないような。
「才能化学園は才能がある子がたくさんいる高校さ。才田嬢もその一人さ」




