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二鷹の欺瞞譚  作者: 結城斎太郎
一章
6/20

5「戯曲」

なかなかに、タイトスケジュールな高校時代を過ごしてきた思い出しかなかった、


あまりにも忙しさに大学進学が出来なくなるという……進学しない理由が誰にも共感できないエピソードが出来てしまった。

が、十九歳という年齢で十分に遊んで暮らせるほどの、おそらくは老後に一切働かなくとも長期的な収益が入ってくるシステムを作れたのは、その時の頑張りが実を結んでいる。


いつ寝ていたのかすらも覚えていないというか、睡眠時間に対しての感覚が麻痺するほどに時間を切り詰めていた記憶しかないが、それでも結衣には感謝している。


ここまで面倒を見てもらって恩を感じないなどという卑劣な人間では無い。しかし、少しでも恩返しがしたいからと言って、結衣の劣情に付き合うことはない。


枕営業じみた真似はやりたくない。第一、未成年相手に入れ込み過ぎなのは傍から見ても分かる。

しかし、弁護士という肩書きがありながらも、何らかの性犯罪を疑われても仕方ないと思われてしまう言動を繰り返そうが、結衣を取り囲んでいる力と人間の数があまりにも膨大過ぎるが故、俺が何か訴えたところで笑われて終いだ。


そうなることを分かっていて、俺に迫ってくるのだからタチが悪い。ただ、俺の意識が自分に向いてないことも同時に理解しており、俺の気持ちを無視してまで自分のモノには絶対にしない鋼の意志も持ち合わせている。


そのような精神状態を特にストレスを溜めることもなく、平然と保ち続けているのがアイドル性の根底になるのかもしれない。


まぁ、異性として見ていないだけで俺が結衣のことを人として好きなことは結衣も当然ながら知っている。


何か困ったことがあれば、何も考えずに結衣に相談してしまうほどに信頼と好意を結衣に寄せている俺。


それがあって、その気になれば自分の虜に出来るという自信からストレスフリーの状態を保っていると思われる。



正直、本気で口説き落とそうと動かれてしまう仮定の要因の結果を現実的に考えた場合、高確率で結衣の虜になる未来が見えた。


モラル的には問題があっても、法的には問題点は一切無い。合意さえあれば恋愛も結婚も普通と何も変わらずに出来るのが従兄弟関係。


未成年とは言え、十九歳は結婚も出来る。俺さえ合意してしまえば、未成年淫行という扱いにもならずに普通に籍までも入れられてしまう。


極道の若頭の人からも、「結衣ちゃんは良い女だから。従姉は結婚できるんだから、姉ちゃん女房として、色々と面倒見てもらえ」と言われた。


"面倒"には、性的な意味合いも含まれているような言い方だった記憶しかない。それを分かっていても、何も言わずに「そうですね」と返した俺の深層心理は、どこか結衣に対しての気持ちがあるのかと、夜な夜な考えたりもする。


見た目も凄い可愛いとはまではいかないが、垢抜けた素朴な田舎娘のような………高校時代に、クラスの中で密かに人気のあるような、お淑やかな可愛い女の子のような雰囲気の見た目はしている。


あくまで、見た目に限った話だ。


中身は、どこを見てもお淑やかな部分なんてありはしない。

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