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第3話 ヤバイ奴

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!

「あの、叶夢……って有名な人なんですか?」


異界の道を再び遡り、咲夜の後ろについて歩く葵はおもむろに口を開いた。


先程咲夜が見せた怒りを孕んだ表情が引っかかっていた葵はそう推測した。


「……叶夢って、玲瓏にいるやつッスよね?」


「あ、はい、」


「あいつは…………………………ヤバい奴ッス」


散々ためた後、その言葉だけが紡がれ、葵は思わずずっこけそうになる。


「……えっと、具体的に、何がどうヤバいんですか?」


「葵さんは知らないほうが身のためッスよ」


「………叶夢さんに杖を渡すのにですか?」


言葉を重ねれば咲夜は吐息をついた。


「………あいつは、」


歩みを止めず、しかし声に絶対零度の冷たさが宿る。


「………人殺しッス」


「ーーーーーーえ、それ本当(マジ)ですか?」


「いや逆に何で疑うんスか?!」


あまりの驚愕の事実に思わず虚偽を疑ってしまう。


咲夜は傷ついたような顔をして早口でまくしたてる。


「いいっすか、葵さん。

この時雨夜にはいくつかの”掟“があるんス。掟を破ったり、時雨夜の秩序を乱したりしたやつは刑務所か、玲瓏送りになるんスよ。ここまでは人間界と似てるッスよね?」


「は、はい」


凄い剣幕で説明されとりあえず頷く。

さらに咲夜は、葵の鼻先に指を立て、


「時雨夜の掟のうち三条は人間界との恋愛云々の話ッス。

それで玲瓏送りになったやつは今まで1人しかいないんスけど…」


逆に1人いるのか。

神と人間との恋愛なんて随分とロマンチストな人(神?)がいたものだ。


「叶夢は…あいつはそんな可愛げのあるもんじゃないッス…

あいつは、あいつは………」


「あれれ…?

お二人は……

というよりか、そちらの黒髪のあなたは……」


それは唐突に現れた。


燃えるような紅蓮の髪に揃いの紅の袴。

肩より少し長いくらいの髪を一つに結わえて横に流している。


切れ長の瞳には優しそうな光を宿している

だから、余計にその姿は狂気を纏う。

何故なら、


「……待て、横の……っ!」


その柔らかな表情から少し横に目線をずらせば、ぐるぐる巻きにされた男が無理矢理立たされているのだから。


彼は、1人の男を黒靄でぐるぐる巻きにして犬のリードのように首に巻いた靄の一本を手に柔らかな笑みを浮かべた。


「執行人の、 怜央さんじゃ、ないっスか…?!お前…ッ!」


ぐるぐる巻きにされた男をみて咲夜が声を荒げた。


男は口元も口輪のように黒靄でぐるぐる巻きにされ、ただこちらに鋭い眼光を向けている。


「ま、待ってください咲夜さん!

この執行人さんは乗っ取られてて……渚冬さんが、何とか…してくれてたはず、なんですけど…」


過去の記憶とと目の前の現実の辻褄があわず深く動揺する葵に紅蓮の髪の男ーーーー彌珠端(やずは)はやんわりとした笑みを浮かべ、首に繋がる黒靄をぐいと引いた。


「渚冬さんは別件を。

私はこの乗っ取られた執行人さんに少しばかりーーーー色々教えてあげただけですよ」


「ま、待って!体は怜央さんなのであんまり傷つけないで、あげて、くだ、さい……」


「の、乗っ取られてたンスね…、そ、それは結構グルグルにしないと危ないかも知んないっスね…

適度のぐるぐるは許すッス」


まだ警戒が解けない2人にやずははさらに己の髪を、もてあそび言葉を、続ける。


「そちらの男性は知りませんが…

あなたは雅の従兄弟の子供の姪の葵さんですよね?

こんなところで、何をしてるんです?

……雅はもう救出したのでしょう?」


何故、知っている。


情報が筒抜けになっている不気味さに背筋を凍らせる葵の横で、咲夜は従兄弟の子供の姪情報(葵がついた適当な嘘)に、え、そうなの?!といった驚いた表情をしている。


「お二人共、早く時雨夜に戻ったほうが良いですよ?

ここは神や人間がいて心地の良い場所ではありませんから」


「あ、あ〜、俺達はちょこ〜っと探しものしてるんスよ」


顔面蒼白にする葵を見て、彌珠端(やずは)から危険なオーラを感じたのだろう。


後ろへ一歩後ずさりをしながら咲夜は人当たりのよい笑みを浮かべた。


しかし顔が絶望的にこわばっている。


「ほう?それは実に…

興味深いですね……

見つけられそうですか?」


「は、ハイッ!ご心配には及びませんこの度は怜央さんを、えーと、何とかしてくれてありがとうございました私達は用があるのでまた何処かで出会えたなら会いましょうそれではまた!」


「ふふ、釣れないですねぇ?」


早口に言って回れ右をし、全力で後ろへ戻ろうとしたとき、


「杖」


「ーーーーー」


ピタリと、足が止まってしまう。

ーーーー致命的に。


「叶夢さんの杖、お探しなんでしょう?

その為にここに残って、叶夢さんの、実家に行くつもりなんでしょう?」


「アンタ、何でそんな事知ってーーーーっ」


やずはに対する不信感がキャパオーバーし、情緒が不安定化、食って掛かった咲夜の目の前に、


「”これ“。探してたんでしょう?」


一本の杖が、差し出された。


葵の腰ほどくらいまである、濃い茶色の木でできた杖。


先端はくるっと円を描いていて、黒く丸い宝石のようなものがはめ込まれている。


「私が、先に叶夢さんの実家に行って取ってきてあげました。

私、優しいでしょう?」


咲夜も葵も、言葉を失う。


その不気味さに、その恐ろしさに、その底のしれなさに。


「そ・の・代・わ・りー、

私からもお願いがあります」


もはや2人して恐怖に足を震わせているのだが、そんなことは気にもとめない彌珠端(やずは)はやんわりと笑う。


柔らかな笑みを浮かべたまま、


「”このこと“は、記憶から消してください」


「ーーーーーぁ」


視界が急激にぼやけ、全身から力が抜ける。

立っていられなくなり膝から崩折れる。


「時雨夜まで送って差し上げますから。

………恨まないでくださいね?」


最後にそんな声が、聞こえた。






テスト無事に終了したのでこれから少しずつ投稿していきたいと思います!

よろしくお願いします!

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