第27話 稲荷家の実力お見せします!
高校2年生になりました16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
「やっ!せやっ!とぉぉぉやっ!」
扇をブンッと勢いをつけて振る。
顕現した桜の花びらは3本のナイフを持つ黒い人型へと降り注ぎ、そのまま浄化。
人型は形を失い、黒い靄となって霧散、1枚の、紙切れが力なく、湿った土へと舞い落ちる。
「桜様!後ろ!」
「う、ふへ!」
咄嗟に身をひねり、木の影から新たに現れた人型の間合いから距離を取る。
「い、いすぎだって、ば!!」
怒りに任せて振った扇から桜の枝が伸び、人型の心臓を貫く。
浄化、紙切れとなり、今度は横から新たな人型が現れる。
時は少し前に遡る。
渚冬の過去を語らっていた怜央の聖域の守り手達は、突如として敵の攻撃を受け、交戦していた。
しかし、
「兄上!
式神ばかりですが犯人の気配は?!」
「チッ……
私達はどうやらここで時間稼ぎをされているようですね。
犯人は恐らくここには用もないのでしょう」
「よ、用もないって、そんな…
折角結達が来て、頑張ってるのに………うひゃっ!」
「結さん前方不注意です!
兄上を見習ってください!」
「そ、そうは言われましても……ひぁっ!」
「結さん!」
神楽鈴を振り、淡い光で、必死に攻撃を食い止める結は、このような状況でなければ、美しいの一言に尽きるだろう。
しかし、周りの森は徹底攻撃によりあちこちの木がなぎ倒され、地面も隆起したり陥没したりと、平和な森の風景は破壊され尽くしていた。
その破壊を生み出すのは、式神が具現化した人型……ではない。
巳年の執行人、爾月と菜月だ。2人は武器を使わず、周りの状況を武器にして戦っていた。
菜月が人型に向けて手を突き出せば、人型のいたその場所の地面が爆ぜ、大きな穴が貫通する。
爾月が地面を蹴りつければ、半径3メートル内の木がすべてなぎ倒され、人型を下敷きにする。
破壊と殺戮を生み出す2人の神は、悲痛な面持ちだった。
「…こんな権能、死ぬまで使いたくなかったんですが」
「兄上……」
「巴年の執行人になるのなら、誰かを、守るため再びこの権能を使うことはしょうがないかもしれないと覚悟はしていましたが、やはり…」
「ゆ、結なんかより、よっぽど式神やっつけてるじゃないですか!
何でそんな悲しそうな顔するんです、かっ!」
神楽鈴で直接、人型をぶん殴った結が、振り返りそう問うた。
「せめてここが同僚の聖域でなければ…いえ、それでもよくないですね」
眉尻を下げる爾月、しかしそんな感傷的な気分になれるほど、戦場は甘くなかった。
「あたま、ちゅういですっ!!」
桜の悲鳴に全員反射的に頭を下げる。
桜の枝が3人の真上を通過し、その先にいた人型と、ついでに何本かの木を巻き添えにして貫く。
「流石、稲荷家……ですね」
「神は見た目で判断してはいけませんね……
例え子供でも、凄まじい権能を持っている。
あの日の渚冬様を少し思い出します」
「あっ」
「どうしました、結さん
戦闘中にスマホとは、随分と余裕がありますね?」
袴の袖からスマホを取り出した結に、菜月は呆れのため息をつく。
「いや、咲夜さんが…
『罠っぽいんで、桜ちゃんを連れて人間界に行かなきゃマズそうッス』って」
「「………は?」」
執行人兄弟の動きが思わず止まった、
その直後、
「桜ちゃん桜ちゃん桜ちゃん!
悪いけど、いっしょに来てもらうっスよ!!
嫌って言ってもここはマジで絶対譲れないッス!!」
空間がねじれ、解術師咲夜が、突如として怜央の聖域内に現れた。




