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第25話 時雨夜事件簿

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!

「ほら……あれだろ?

時雨夜で、事件があったんだろ?

それで、渚冬君達がその対処にあたっている間、俺の愛しい娘2人はここで異常が起きないかどうか見守ってた。んで、異常が発生したから権能を使って、こうなった。そうだろ?ヤバ、俺、ここで一生分の推理能力使ったかも」


「お父さんって急にIQ高くなるよね」


「俺に辛辣すぎじゃない?」


「仕方ないわよ、お父さん。

まだ乗っ取られてるかもって可能性が完全には晴れてないもの。

あおちゃんは私が邪神に乗っ取られたところを見てるから、お父さんのことも疑っちゃうのよ」


葵の言葉に傷ついた様子を見せる祐介に瑠依が独特のフォローを入れる。


しかしそのフォロー内容も知らなかったようで祐介は訳知り顔で頷いた。


「おぉ、瑠衣……

邪神に乗っ取られたのか…

俺がいない間に随分波乱万丈あったみたいだな。

乗っ取られたっていつのことだ?たったさっきか?」


「もうずいぶん前のことだよ…」


「じゃあその御札は何の御札だ?

2人で楽しく花札でもしてたのか?」


「御札?御札って……」


「ほら、それだよ。

…、え、俺にしか見えないとかじゃないよな?幽霊とかじゃないよな?」


祐介が瑠依の足元あたりの地面を恐る恐る指さす。


目を凝らせば、確かに1枚の紙切れが姉の足元付近に落ちていた。


「なにかしら、この御札」


瑠依は何の抵抗もなく、御札を拾い上げる。


煤まみれで所々破れている御札には、朱文字で”氷“の字が書かれていた。


「式神みたいだな。

もしかしてさっきここに怪しいやつとか敵っぽいやつとか来たのか?」


黒瞳を細める祐介に葵は霞みかけていた先ほどの悪夢を思い出す。


「さっき急に周りから音が消えて…!

お姉ちゃんが誰か知らないやつに首元に日本刀を当てられてて!

んでもって私は氷になりかけて、!」


「ま、待て待て待て!

情報量多いな!

てか何でそんな状況になって2人とも生きてるんだ?!

てか、そんなに危ない状況になるんだったら、せめて俺だけでも良いから事前に事情を教えといてくれよ!」


「お父さんが神様だって知ってたらとっくの昔に全部話してたよ!」


状況の悪さと不安感で行けば葵はここ数日誰よりもそれを味わっていた。


時雨夜の治安悪化と執行人の神代の危機、目覚めない志乃さんに危なくてよくわかんない杖……


それらを永遠と考えながら過ごした時間は苦痛でしかない。


「言わなくても分かるかなぁって思ったんだよ〜!」


「でもお父さん、言わなきゃわかんないよってお母さんにいつも言われてるでしょう?」


「だって普通は神から綺麗な光もらったくらいで権能使えるようにならないだろ〜!神が、身内にいないと権能は使えないぞ?!」


そう言われ、葵は初めて権能を使えるようになった時のことを思い出す。


あの時渚冬は、手に綺麗なオレンジ色の燐光を浮かべ、こう言っていた。





『この燐光を君たちの体内に宿せば、二人はいわゆる“特殊な能力”が使えるようになるよ』





「渚冬さんが、嘘をついたってこと?!」


「違う違う違う!

もともと二人は権能を使える種は持ってたけど、それが開花してなかったんだよ。それを渚冬君がなんか…光で開花させて使えるようになったってことさ。0から100じゃなくて、95から100になった感じだ、オーケー?」


成る程、言われてみれば確かに。


光を宿すだけで特別な権能が使えるのなら、今ごろ全人類が特殊な権能を使えているだろう。


「そういうことだったのね…」


納得する2人の娘の様子に、祐介は両の手をパンと叩いた。


「よっし、とりあえずこの話はまた詳しくする!

んで、二人が死にかけたのは何でだ?」


「わ、わかんないけど……でも、良くないことが起こる気がする。」


異質な空気と威圧感。

邪悪な気配と命を軽んじる行動。


さっきの一瞬で、葵の本能は危険を痛いほど感じ取っていた。


「さっきの氷って渚冬さんじゃないわよね。

渚冬さん以外で氷を使う神なんて…」


「ーーーー氷鬼か」


「お父、さん…?」


目つきが鋭くなった父親に瑠依が不安そうに瞳を揺らす。


「式神は足止め…いや、ダミーか。

人間界にわざわざ来て、人を選んで氷漬けにして何の目的がーーーー?」


顎に手をやりブツブツと呟いていた祐介、その肩に純白の雪片が舞い落ちる。


「まさかーーーー!

しくじったッ!沙奈が危ない!」


「え……?!」


「お母さんが…?!」


血相を変えた祐介に葵と瑠依に悪寒が走る。


「2人とも!来てくれ!

お母さんが、沙奈が、マズイかもしれない!」


「わ、わかった!」


「わかったわ!」


走り出した祐介の後ろを、2人は揃って追いかける。


「頼むから無事でいろよ、沙奈……」


名を呼ぶ祐介の横顔には後悔と自責が滲んでいた。




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