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第21話 秒刻み

高校1年生、16歳の天音雫です!

何かと至らない点があると思いますが読んでいただけるとうれしいです!

「11、12、13………」


「お姉ちゃん……

それ何セット目?

何セット目かしらぁ?

私、忘れっぽいから……」


「うーんと、単純にやりすぎなだけだと思うよ…?

多分時間で換算して2時間くらい経ってるから」


「もう2時間も経ったのね〜!

時間が経つのって早いわね〜!」


ふんわりとした笑みを浮かべる姉に葵はうなだれた。


稲荷神社のお賽銭箱の前の階段。


2人はそこに腰掛け、かれこれ2時間の間警戒態勢をとっていた。


しかし、葵は平和な風景と鳥のさえずりごえという睡魔の大好物な環境下にさらされ、1時間ほど眠ってしまっていた。


その間、瑠依はずっと、眠れる妹を見守りながら、60秒を数え終えたらまた1秒から、というのを繰り返していたらしい。


………はっきり言って正気の沙汰ではない。


姉の忍耐強さには葵も尊敬せざるを得なかった。


しかし、大事なことなのでもう一度言うが、2時間を秒でカウントしつづけるというのは、正気の沙汰ではない。


しかし、葵が眠ってしまったことで数をカウントすることしかできなくさせてしまったので、罪悪感を感じ、今こうして姉にたくさん話しかけている次第である。


「今のところ、人間界は平和だね……敵が来たり、何かが、起きたりする様子はなさそうかな」


「そうねぇ…

神様の世界も、これくらい平和だと渚冬さんも桜ちゃんも湊さんも喜ぶんじゃないかしら」


少し悲しそうな顔をする瑠依が、自分の髪に手を通しながらそう零す。


姉は基本的に平和主義なのだ。

戦争も、紛争も、喧嘩。


世の中の争いを、いつも悲しそうな顔をして見ている。


「そういえば、湊さん、関西での研修、うまく行ってるかなー

何日くらい研修するんだっけ?」


「うーん、特に言ってなかったわね〜?

でも、せっかくだから観光も楽しんでほしいわね?」


「関西って美味しいものたくさんあるしね。多分湊さんも気に入りそう」


満面の笑みでたこ焼きをほおばる湊の顔が浮かんできて思わず笑ってしまう。


もともと関西弁をしゃべっているのもあるため、湊と関西はベストマッチな気がした。


「でも、特に何も連絡が来てないから少し不安ね」


「うーん、研修が忙しいんじゃないかな?それか、スマホの使い方がわかんないとか…?」


瑠依は不安げにスマホを取り出し、視線を落とす。


かなり前に、湊、瑠依、葵、渚冬の4人でグループラインを作ったのだ。


これがなんとすごいことに、時雨夜と人間界でも問題なくつながるらしい。


かなり前、葵が、時雨夜でスマホを使ったときは“圏外”の表示がされていたので、てっきり使えないのかとばかり思っていたがーーーー


「渚冬さんが執行人さんにお願いしてもう人間界のスマホが時雨夜でも使えるようになるなんて……

本当に、神様ってすごいわよね〜」


「凄すぎて逆にちょっと怖い、かな」


いったいどんな仕組みなのかは葵にはおろか、依頼をした渚冬にすら分からないらしいが。


ちなみに、桜はスマホ未所持であるため、不参加だ。


「何か送ってみる?」


「……いいえ、不安だけど

きっと大丈夫よね。それに、研修中の湊さんにも、神代守り中の渚冬さんにも悪いもの」


今、渚冬は未知の悪と戦っているかもしれない。


その可能性を思い出し葵の表情が曇ると、瑠依は「大丈夫よ!」と葵の両肩を掴んだ。


「渚冬さん、強いもの!

ここの神主を務めてるくらいなのよ!

だから絶対大丈夫よ!ね?」


「……うん、そうだね。ありがとう、お姉ちゃん」


「ほら、暗い話題は無しにして、楽しいことしましょう?アルプス一万尺とか!」


「お姉ちゃんいっつもそれやって腕絡まってるじゃん……」


「今日は上手くできそうな気がするわ!」


謎に自信がある姉に気圧され、苦笑した葵。


そのポケットから、ピロンと電子音が鳴る。


「………?」


姉の膝の上のスマホからも、同じ電子音が。


「グループラインに、なにか送信されたみたい」


「な、何、?!

誰が?何て送信したの?」


緊張が、葵の全身を覆っていく。


どうか、渚冬の悪党無事成敗の知らせであって。

もしくは、湊の平和な観光感想であって。



そんな葵の期待は、


「湊さんから……『にげろ』って」


「………ぇ」


声と息が途切れ、思考さえも停止する。


直後、地面に六芒星が現れ、境内内の音が消えた。



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