第20話 命の狩人
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
可愛らしく舌を出す男の言動はどこから道化めいたものを感じさせる。
一同の警戒心が分水嶺に達する寸前、
「っと、俺に手を出さないほうがいいよー?なにせ俺は、色んな人の命を握ってるからね」
手をひらひらと振る男に、天舞がぶち切れた。
「どういうことだよ?
お前、さっきから回りくどい言い方が多くて何言ってっか分かんないぜ?もっと分かりやすく言えよ、わざわざ犯行声明まで出したんならな!」
「おぉ〜、強気だね。流石午年の執行人だ。あの兎とは違うわけだ」
「その呼び方……叶夢、ですか。玲瓏からどうやって出たんです?」
「おっ、そっちは辰年の執行人みたいだね。執行人が執行人の聖域を守ろうとするなんて感動的だね」
叶夢、と風和に呼ばれた男は背伸びをして「簡単なことさ、」と続けた。
「助っ人がいただけだよ」
助っ人の存在、それだけの事実が今は全員の心を焦燥感に掻きむしる。
何故なら玲瓏に投獄されていた大罪人、叶夢を合法的に解放する手段は常人、否、常神にはない。
あるのは叶夢と目的を、共有する何者かによる圧倒的な武力行使か、執行人の裏切りーーーー
「兎を殺したくなければ、俺に近づかないほうが良いよ?
だって、”これ“、迂闊に振り回してほしくないでしょ?」
「それっ………!」
叶夢が空中からものにその場にいた全員が震撼する。
「黒魔杖っーー!何故君がっ!」
あのとき確かに、葵から受け取り誰にも見つからぬ場所へと隠したはずだ。
それなのに、まったく同じものが、今、叶夢の手の中にある。
否、まったく同じではない。
杖にはめ込まれた黒い宝石はより純黒な黒さに、放つ気配はより禍々しく。
「ふふ、やっぱりあの人の脳をいじる力って凄いんだね〜!
舐めたこと言ったの、謝らなきゃかな」
「渚冬様、動揺しないでくださいっス!
あれが本物とは限んないッスし、何よりもあれを使わせなければいい話ッス!
目的もよく分かってないっスし、と、とととととととととにかくっ!」
冷や汗を頬に伝わせ、恐らく1番焦っているであろう咲夜が顔を青くさせる渚冬を鼓舞する。
「何が目的なんだよ?
ちゃんと言わないと分かんないぜ?」
「僕たちの大切な同僚を殺す気ですか」
執行人2人の激情を真っ向から受け、叶夢は心底愉快そうに笑う。
「別に?俺はただ、足止め係なだけだよ?まぁ、あの兎は……
運が悪かったら、狩られちゃうかもね?」
愛おしそうに杖を撫でる叶夢の言葉に渚冬は絶句し、執行人2人を振り返る。
すると、風和は絶対零度の視線で。
天舞は怒りに燃えた灼熱の視線で。
それぞれ渚冬を見つめ返す。
「僕達の同僚の命は、こんな奴に渡しません」
「俺だってこんな奴に負けるほどやわじゃねぇ。
狩られるのは向こうだってこと、証明してやるぜ!」
「午も兎も狩られる側だってこと、わからないの?」
呆れるような叶夢の声は、
「でも、辰は狩る側ですからね」
高く跳躍し叶夢の背後に回り込んだ風和の殺気に遮られた。
「死んでください」




