第18話 聖域守護のお役目
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです!
「イルカ!」
「海藻」
「う……うさぎ」
「ぎ……ぎ…ギムレット…?」
「ぶっ……あははははっ!マニアックするぜ!あはははははっ…!」
「ぎ、ぎなんてないですから!
なんかぎからはじまるやつって他にありますか?!」
「確かに思いつかないッスね…」
「あは、あははははっ!」
「わ、笑いすぎですってば!」
「僕が悪かったね……
ちゃんと考えておかないと…」
「いやしりとりって真剣になるもんじゃないぜ?渚冬様っ……ぷぷっ…」
全員武装体制、しかし和やかな空気が流れるは志乃の聖域。
渚冬と執行人2人、そして咲夜の4人は、志乃の神代を正体不明の敵から守るためにここへ来て厳重警戒していたのだが。
「それにしても遅いなー、
そろそろ登場してもいい頃だぜ?そう思わないすか、渚冬様ー?」
「笑いすぎて疲れたんじゃないですか?ふ、ふんっ!自業自得、ですよっ!いずれ龍からの制裁を喰らいますからねっ!僕は助けませんよ!!」
「えー、ふーちゃんは俺のこと見捨てるつもりなのか……?俺、悲しくて泣いちゃうぜ?」
「だっ、誰がふーちゃんですか!僕の名前は風和ですってば!」
「ふーちゃんの方が呼びやすいぜ?」
「こ、このっ!!」
「ま、まぁまぁ、落ち着いてくださいっス……
天舞様も、平和に頼みますっスよ……?」
咲夜の仲裁に、名前を呼ばれた2人はおとなしくはーいと返事をする。
風和は辰年の執行人、対する天舞は午年の執行人だ。
今回、この2人は渚冬と咲夜とともに志乃の神代守りに抜擢された。
風和は色素の薄い茶色の髪を後ろで短く縛っている。瞳はキャラメル色。袴は白を基調としていて全体的にふわっとした印象を抱かせる。
対して天舞は時雨夜では比較的珍しい黒髪のショートカットでところどころ寝癖が目立つ。
瞳は青みがかった黒で、袴も帯も全て真っ黒。
しかし、大人しそうな見た目とは裏腹にかなりはっちゃけた性格であることを、渚冬は対面して3秒で感じ取った。
子供じみた言動がやや多く見られるが、れっきとした午年の執行人である。
今回この2人が選ばれたのは、執行人の中でも特にずば抜けた権能の使い手だからだ。
ちなみに咲夜は相手が妖魔だった時の対抗策として、計画外だったはずが急遽ここに同行させられたわけだが。
本人は不満1つこぼすことなく笑顔で引き受けてくれた。
渚冬はそのことに心から感謝していたし、実際に礼の言葉も言った。
当の本人は、
『水臭いッスよ!俺も時雨夜を守れてるって感じして嬉しいッス!』
という人の良さだった。
……いつか損をしそうな性格だなと横にいた雅に突っ込まれ、憤慨していたが。
「渚冬さん、相手は何が目的なんスかね?」
突如として投げかけられた疑問に渚冬は顎に手をやった。
「時雨夜の国家転覆、または単に執行人への憂さ晴らし、あるいは僕達を殺して英雄気取りになるつもりか、または……」
「そんな腹黒い思惑が……?
そんなら、さっさととっちめてやんないと!悪人には、俺が責任持って特大の制裁下してやるぜ!」
両の手に拳を握り、正義感とやる気を漲らせる天舞に咲夜は苦笑いを浮かべる。
「天舞様は殺意強めッスね……
強者故のよゆーってやつッスか」
「悪い奴は痛い目見て当然だろ?
でも、犯人来るのをずっと待つのも疲れるし、カードゲームでもして待ってようぜ!
俺花札やりたい!ふーちゃん何かやりたいのある?」
頼もしい宣言のあとに遊ぼう宣言が投下され、一同は揃ってずっこけた。
不思議そうに首を傾け天舞は、
「皆急に倒れてどうしたんだ?天変地異か?
それともカードゲームが嫌だったのか?
カードゲームが嫌なら花冠づくりでもいいぜ!
ここには花がいっぱいあるしな!」
「警戒心がなさすぎって言ってんですよ!全く!」
「ケイカイシン?何だそれ?うまいのか?」
気の抜けるような返答をした天舞に風和が食って掛かる。
「からかってるんですかっ!?
龍に巻き付かせて身動き取れなくしてやりますよっ!」
「あ〜、でも確かに花はすげー綺麗ッスよね」
天舞の知識のなさを誤解した風和の怒りを鎮めようと、咲夜が、咄嗟にフォローを入れる。
「志乃さんの意識が彷徨っていてもなお、このように形を留めて聖域が存在しているのもあの人の強さの体現だね。
………………確かに記念に花冠を作るのも悪くないかもしれない。それを志乃さんの近くに置けば、もしかしたら」
そしてそれをフォローと気づかぬ渚冬が生真面目な返答を返し、
「うぇぁ、渚冬様、僕に味方をください、味方を…」
四面楚歌だと、そう勘違いした風和は涙目になる。
全員微妙にずれるという、突っ込み不在パーティーの末路である。
そんなパーティーの一員である風和も、目を潤ませながら皆につられて周りを見渡す。
志乃の聖域は一面の花畑だった。
4人は各々、花がめいめいに咲く上に座り込み、しりとりをしていたのだが。
……はたからみれば、成人(に見える)四人の男が花畑で集まって座っているのでちょっと、いや、かなり怪しい。
ファンシーさと怪しさの究極である。
どちらが勝つかは見る人にもよるのだろうが。
今年1年、この小説を読んでくださりありがとうございました!!
来年も何卒よろしくお願い致します!




