第1話 そういえば……
高校1年生、16歳の天音雫です!
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけたら嬉しいです!
新章開幕しました!ぜひぜひこれからも作者の空想に付き合っていただけると嬉しいです!
「あ」
思わず葵が漏らした声に一同は同じタイミングで振り返った。
ロシアンルーレットの話で盛り上がりっていた一向。その話の真っ最中に葵は口を抑え、重大な真実に瞠目していた。
瑠依の肩に乗った狐の精霊さえも首を傾げて、気まずそうな顔をする葵のことをじっと見つめている。
「どうかしたの、あおちゃん?」
不思議そうな顔をする一同の全員の心境を代表して疑問を投げかけた姉に、葵は歯切れ悪く、
「杖、忘れてた……」
異界へ繋がる扉を教えて貰う代わりに、実家にある杖を取ってくるという取引を交わした叶夢と葵&志乃。
その約束を、今の今まで頭からすっかり抜け落ちていて忘れ果てていた。
「……杖?足でも悪くしたのかよ?」
「あ、私が使う杖じゃなくて、叶夢って言う人が……」
「あおちゃんの知り合いなの?」
「えーと、よくわかんないだけど……
この場所に繋がる扉を教えて貰う代わりに、叶夢さんの実家にある杖を取ってこいって」
「叶夢……?」
「………取りに行くのー?」
眉を寄せて険しい顔をした咲夜とは、対照的に、桜は忘れ物を取りに行くような軽い口調で葵に訪ね、シュッ、シュッ、と拳を前に突き出した。
もう一度誰かと戦うことになっても十二分に戦えそうだ。そして当然のように勝ちそうだ。
「取りに行きたい……んだけど、場所がわからなくて…
志乃さんなら知ってるはずなんだけど、」
声が徐々に小さくなっていく葵に、
「取りに行かなくていんじゃね?
危なさそうだろ」
「で、でも……」
約束は守る。日本人精神とクエストの危険度に揺らぐその心を、
「あ〜、じゃあ、俺、多分場所わかるんで一緒に行きましょうか?」
そろそろと手を挙げて申し出た咲夜が救ったのだった。