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バドミントンでわんこそばの掛け声をやったった……  作者: 三好ペペロンチーノ
第1章 弐星、バドミントン部に入ったった!

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第6話

 夜の学校の校庭は昼と違って少し寂しく感じられる。

 校庭のど真ん中に迅城が突っ立っていた。一体何をしているのだろうか?

 気になったので俺は迅城に近づこうとしたら、迅城は俺に気づき手を振りながらこちらに向かって走ってきた。

 「弐星、こんなとこにいるなんて偶然だね。何しにここに来たの?」

 「部活で使ってた道具をおきっぱにしてたから取りに来た。そっちは?」

 「ちょっと悩み事があって1人で考えたかったからここにいたの」

 「じゃあ、俺はお邪魔だな。もう帰るつもりだから。じゃあな」

 俺はこの場を去ろうとしたら、迅城は俺の服の裾をちょっと握りながら言った。

 「一緒に、……いて」

 顔がすごく熱くなった気がする。ヤバい!緊急事態だ!こんなラブコメ漫画でありそうな展開になったら気を失っちゃうって!こういうときは東村の悪行を思い出すんだ!…………だんだんイラついてきた。よし、これなら何とかなるだろうな。

 「迅城の悩みを聞いてもいいか?」

 「もちろん」

 果たしてどんなことだろうか?東村の嫌がらせについてなら俺は全力で手助けするぞ!

 「実はわたし、いつも正直になれなくて困ってるんだ。だって正直に話すのってなんか怖いじゃん。どうしたらいいのかな?」

 「俺が全部受け止めてやるから言いたいことを言ってくれ!」

 「ありがとう!じゃあ早速、これを着てくんない?イン〇タ映えするから」

 ……俺に渡してきたのはちょいエロな赤ショーツだった。

 

 「こんなもん、着れるかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 俺はベットから落ちて頭が思い切り床と衝突した。……超絶痛い。あれ?ここは俺の部屋?あれは夢だったのか?助かった……。あれが現実ならたまったもんじゃない!

 ……そういえば、今は何時だろうか?窓から外の景色を見たがまだ暗い。時間を確認すると午前3時。寝なおすと絶対寝坊して岩破先輩にぶち殺されるからな。でも、寝たい。

 そんなことを考えていると『絶対安全メール』で東村からメールが来た。

 『バドミントンの練習するから高校の体育館で待ち合わせな』

 『今から?というか体育館って今の時間はカギがかかってて入れないのでは?』

 『大丈夫!俺は器用だから針金でちょちょいのちょいだ』

 『ピッキングする気かよ!』

 『とにかくはよ来い』

 行かなかったら東村に何されるかわからないから、正直行きたくないが行くことにした。

 動きやすい服に着替えてラケットと体育館シューズを持って家を出た。

 体育館の扉の前に着くと少し扉が開いていた。そうっと中に入ると東村がネットを張っていた。

 「お、来たか!なんだ、来なかったら適当に言い訳して『小白ファンクラブ』のやつらを弐星の家に襲撃させようとしたのに……。残念…………」

 危なかった。俺の勘が当たったようだ。助かった……。

 「夜だか朝だかわからん時間でどんな練習をするんだ?」

 「『わんこそばの掛け声をやったった……作戦』をするにはまずダブルスの基本的な動きを確認する必要があるからな」

 「あの5日間の練習と違ってこの練習はまともなんだな」

 「なんだ、また野球拳をしたいのか?」

 「すごくした……全然したくない」

 「お前、すごくしたいって言おうとしてなかったか?」

 「してない」

 「話を戻すとこの作戦は中途半端に考えるアホがカモだけど、それでも反撃があるかもしれないからある程度動きができてないとダメなんだ」

 「中途半端に考えるアホなんているのか?」

 「とあるツテに調べてもらったら、そんな感じの見た目してるやつがあっちのバドミントン部いたからたぶん大丈夫」

 「そんな感じの見た目って完全に偏見じゃん」

 「それはさておき、早速始めるぞ!それではゲストを紹介します!どうぞ!」

 「ゲスト?」

 「なあ、帰っていい?」

 「竹土先生!東村、こんな時間にどうやってこの人を来させたの?」

 「ああ、簡単だよ。やりこんでるゲームのデータを消させたくなければ来いって言っただけだ」

 「すごく怖い脅しをすんな!」

 「練習するならさっさと終わらせてくんない?だるいからさ」

 「この人を選んでよかったのか?」

 「噂によれば岩破先輩より上手いらしい。それが本当かはわからんが」

 東村の練習とやらは俺&東村VS竹土先生の試合をしながらダブルスの動きをマスターすることだった。

 東村がダブルスの動きを軽く説明してくれた。どちらかがシャトルを上げたら横に並んで。いつでも打てるようにすること。前にどっちかが行ったらもう1人は後ろに行くこと。とにかく相手にスキを突かれないようにコートのどっかが空いているということがないようにすること。ふむふむ、頭がこんがらがってきた。

 とりあえず、練習を始めてみるとするか!

 試合が始まった。こちら側にサーブ権があり東村がサービスラインギリギリであろうショートサーブを打った。先生はサーブがコート内に入ることを一瞬で把握したのかロブをしてきた。これは東村がどちらかというと前にいるから俺が後ろでシャトルを取るべきか。しかたない。俺はクリアで上げて先生を後ろに行かせようとしたらジャンプしてプッシュしたためシャトルがほぼ直角に俺たちのコートに入ってしまった。

 「こんなのは甘いぞ」

 しかし、ある程度わかってきたぞ、ダブルスの動き方。

 しばらく、竹土先生と戦い、そろそろ朝飯を食いに帰ろうとしたとき、

 「腹が減ったのか?飲み物だがある程度腹は膨れるだろ。飲んでいいぞ」

 「ありがとうございます。それではいただきま……」

 その飲み物はどこにあったのかわからないコップに注がれて黄色くて上のほうにいくにつれて白い泡があって…………。

 「ビールじゃねえかあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「ああ、ごめんごめん間違えた。ウーロン茶持ってるからそっち飲んでくれ」

 「ありがとうございます」

 飲もうとしたがそれがウーロン茶かどうかすごく怪しくなった。俺は先生に聞いた。

 「ウーロン茶って何でできてるか知ってます?」

 「そんな当たり前なことを聞くなって。もちろん知ってるぞ!ウォッカ9割、ウィスキー1割でつくれる手軽な飲み物だろ」

 「お茶の要素が1つもないですよ!」

 「わかったわかった。ちゃんと水やるからそれで許してくれ」

 「東村、どんな嫌がらせもできるようにライター持ってるだろ。ちょっと貸してくれ」

 「俺がライター持ってるのよくわかったな。ほいライター」

 本当に持ってたのか。ライターを使った嫌がらせがどんなものかすごく気になるが怖いから聞かないでおこう。俺は他のコップに注がれた透明な液体に向けてライターで火をつけた。予想通りその液体は燃えた。

 「これ、水じゃないですよ!だって、水は燃えませんから!」

 「可燃性のものだってあるだろ……って冗談冗談!『ぐ〇んぶる』ネタ、一度やってみたかったんだよね」

 そうだよな。さすがに酒を飲ませたらいろいろとまずいもんな。

 「じゃあそれらの酒はどうするんですか?」

 「もちろん自分で飲むぞ。…………うま!やっぱ酒は飲めない人の目の前で飲むのが一番美味いな!」

 このクソ教師が……!すごくうざいんだけど!

 「というか先生。今お酒を飲んじゃって大丈夫なんですか?」

 「ああ?大丈夫大丈夫。学校で飲むと酔わないからさ。だから授業中も飲んでるんだよね」

 そういえば、先生はいつもお酒臭かった気がする。もしかして、学校でいつも飲んでたからか!……この先生、いろいろと終わってやがる!

 そんなこんなで俺たちはいったん帰ることにした。

 

 「……ただいま」

 「おかえり。ご飯できてるからさっさと食べちゃって」

 俺は手を洗った後、ダイニングテーブルに足を運んだ。そしたら、

 「皿の上に塩と砂糖だけしかないんだけど。米とかは?」

 「昨日、買い物行き忘れてたからこれで我慢して?」

 「……朝食は外で食べるからお金ちょうだい」

 「お母さんの丹精込めて作った朝ごはんをまさか食べないつもりなの!私の息子がぐれてしまうとは!」

 「ぐれてねえし!塩と砂糖だけの朝食を丹精込めたとか絶対おかしいだろ!」

 「愛という隠し味があるのに?」

 「愛があれば何でもいいわけではないからな!」

 こんな話をしている間、父親は文句を言わずに質素すぎる朝ごはんを食べていた。すごすぎだろ!

 そのとき、インターホンが鳴った。俺がが出ると聞き覚えのある声が聞こえた。

 「イ〇スタで弐星のお母さんが『朝食、塩と砂糖しかない。ワロタ。』とかあげてたから心配になって朝ごはん持ってきたよ……」

 「母さん!〇ンスタにあげるヒマがあるならコンビニとかでなんか買ってきてくれよ!」

 「弐星、大変そうだね」

 「迅城、マジでありがとう!朝食食った?」

 「まだ食べてないけど?」

 「一緒に食べないか?」

 「ま、まあ。別にいいけど……」

 「私の息子がまさか女の子にこんなところで告るなんて!」

 「これ、告ったわけじゃないし!」

 米とみそ汁と漬物を食べてる途中、迅城がちらちらこっちを見てきたり顔を赤くしたりしてたことを母親は何か誤解してキャーキャー言っていて、俺はすごくイライラしていた。


 俺たちは朝食を食った後、俺は部活メンバーとの待ち合わせ場所である駅前に行くついでに迅城を送っていくことにした。待ち合わせの時間までまだ結構あるからな。

 一緒に歩いている途中、迅城はうつむいていた。

 「迅城、どうしたんだ?」

 「悩んでることがあってね。ちょっと考えていたんだ」

 ん?もしかしてだが……。

 「悩みってさ、正直になれないとかそんな感じのやつか?」

 「よくわかったね!でも、どうしてわかったの?」

 「……幼馴染の勘ってやつだよ。…………きっと」

 俺の危機感知センサーがビービーなってやがる。これって、夢と同じように『俺が全部受け止めてやるから言いたいことを言ってくれ!』とか言っちゃうと赤ショーツを渡してくるのでは?

 怖くなったので、質問することにした。

 「もしかしてだが、赤ショーツをどこかに隠し持ってたりするのか?」

 「よくわかったね。それも、もしかして幼馴染の勘なの?」

 迅城がだんだん怖くなってきた。この女もしかして、東村以上のヤバい奴なのでは……!

 「そういえばさ、今日はさ。練習試合があるんだよね。いやあ、緊張して全然眠れなかったなあ!」

 話を無理やり切り替えてやった。

 「そうなんだ。じゃあさ、はいこれ」

 「なんで、赤ショーツを渡してくるんだ?」

 「スクール水着を着るのが好きって聞いたから、もしかしたらこれ着たら緊張がほぐれるかなって思ってさ」

 「誰に女子のスクール水着を着るのが好きって聞いたんだ?東村か?だったらぶち殺しに行くわ!」

 「東村じゃないよ。名前はわかんないんだけどさ、かわいい女の子とすれ違ったとき『あなた、弐星くんと仲が良さそうだけど。あの人には気を付けたほうがいいよ。わたしのスクール水着を着たいとか言ってきたから』とかなんとか言われたんだよね」

 小白さんに会ったらすぐに謝ろう。昨日はなんだかんだで謝れなかったし。

 「それはあの人に誤解されたんだ。だから好きでもなんでもないから」

 「でも、エッ〇スで東村が弐星の写真を添えて、『どうやらこいつは、パンイチになるのが生きがいらしい』ってつぶやいてたよ」

 ヤベえ。半分言ってることが合ってて反論ができない。どうしよう。

 「……とにかく、赤ショーツは着ないからな!」

 「じゃあ、メイド服は着るってこと?」

 「どこから出したんだ?」

 「バック」

 迅城が指したのはでかいバックだ。そういえばいつも持ち歩いているな。

 「そのバックいつも持ち歩いてるが、なんで持ち歩いてるんだ?」

 「いつか弐星が着てくれるかなって思ってさ。で、着ようよ!」

 「いや、そういう趣味はないかな」

 「ああ、服だけ着ると周りが気味悪がられて嫌なんでしょ?大丈夫私のメイクの技術を舐めないでね?女の子っぽくしてあげるから心配しなくていいよ」

 「なあ、俺が仮に着たらさ。インス〇にあげたりするのか?」

 「うん。そうだよ」

 「だから、嫌なんだよ!」

 「エ〇クスがよかったの?」

 「そういう問題じゃねえ!」

 迅城への好感度がダダ下がりしながらなんとか迅城の家まで来て強制的に家に入れさせて、俺は待ち合わせ場所に向かうことにした。

 よくないことではあるが、歩きスマホしながら、『絶対安全メール』で東村にメールを送った。

 『おい。迅城がすごく変な奴だって気づいてた?』

 『初めて会った瞬間に気づいたよ』

 『はよ言ってくれよ!』

 『どうしたんだ?もしかして、なんか着せさせられそうになったのか?』

 『そうだよ!』

 『あいつ、お前が一番女装が似合ってるとか言ってたからな。いつかやるとは思ってたよ』

 『え?お前はされそうになってないのか?』

 『そりゃあ、俺がやると服が汚れるからとか言ってたからな』

 東村にずるいと思うべきか、かわいそうだと思うべきか悩む。

 とにかく、迅城には今後注意するとしよう。

 待ち合わせ場所に着くと東村、岩破先輩、小白さん、大陸の4人がもうそろっていた。

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