第30.5話
私、優花は朝4時頃から、にぼっしーと岌寳と一緒に公園でトレーニングをしていた。厳密に言えば、にぼっしーが岌寳に、しごかれていたと言うべきかな……。
「まだいけるよね、弐星くん? 俺、退屈なんだけど」
「師匠! もう限界です!」
にぼっしーは背中に岌寳を乗せながら腕立て伏せをしていた。岌寳は60kgと平均的な体重だけど、にぼっしーはさらに100kgのTシャツを着させられていた。
なぜ岌寳とかいうイケメン野郎がここにいるのだろう。
本当なら、にぼっしーと2人きりでバドミントンの練習をするはずだったのに!
私は中学の頃バドミントン部に入っていたから、久しぶりにボコボコにできr……じゃなくて、楽しめると思ったんだけどな。
どうしたら岌寳を追いやれるだろう。
大陸たちが所属してるっていう『小白ファンクラブ』の人たちを呼ぶとか? ……そしたら、にぼっしーが酷い目にあう気がする。それはそれでおもしろそう。
じゃあ、ポルターガイスト現象で岌寳を驚かせるとか? ……それだと、にぼっしーが何か勘違いをして私に塩をまいてきそう。怖いから違うな。
だったら、岌寳が会いたがってる岩破ちゃんに会わせてみるとか? ……岩破ちゃんも一緒になって、にぼっしーをしごいてグロテスクなことになりそう。ちょっと見てみたいかも。
いろいろ考えてみたけれど、良い案が全然見つからない。頭をぐるぐる回させたが、だんだん混乱してきて最終的に考えがまとまった。
『こちょこちょこちょこちょこちょ!』
にぼっしーの脇腹を擽った。
「……ちょっ! まっ!」
頑張って腕を伸ばそうとしていたのを妨害してやった。
彼は思い切り倒れた。
「何をサボってるんだ。 100回追加ね」
「そんなぁ! これは俺のせいじゃないですよ!」
「意味のわからないこと言ってると、さらに100回追加にするか?」
「くそがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
なんかもう岌寳のことがどうでもよくなって、にぼっしーを邪魔する方法を考えることにした。やっぱり、にぼっしーが苦労してるところを見ると元気になっていく気がする。楽しい……!
『にぼっしーを痛めつけるのってやめられないよね!』
(マジでお前、あとで覚えてろよ!)
「全然動いてないよ! もっと早く動かないと100回追加しちゃうよ!」
「すいませんでしたああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ヤバい。これはあとで塩を大量にまかれそうだ。
まぁ、そのときになったら小白ちゃんの家に泊めてもらって、にぼっしーの愚痴を言おうかな。
それにしても良かったよ。小白ちゃんと仲良くなれて。
あーあ。早く終わんないかな。大会に向けたトレーニング。




