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バドミントンでわんこそばの掛け声をやったった……  作者: 三好ペペロンチーノ
第4章 迅城、ツンデレキャラにチャレンジしたった!

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第28話

 顔が傷だらけの俺とりんごよりも赤くなっている顔の迅城は『恐怖の館』をやっている教室の前へとやってきた。

 窓は赤い手形の何かがたくさん貼られていたり、中がとても暗かったりで、中の様子がわからない。

 教室の前には机と椅子があり、机に受付と書かれた立て看板が置かれ、椅子には目出し帽を被った怪しげな人が座っていた。

「あ、弐星じゃん。どうしたんだ。そんなに傷だらけになって。もともとアホ面なのにもっとアホみたいになってるぞ。それと横にいる人は……女子だとおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 アホみたいな声を出した受付の人は大陸だった。

「この受付は『恐怖の館』のであってるんだよな?」

 大陸はテンションをどうにか戻した。

「あぁそうだけど。……それで、そちらの方のお名前は?」

「迅城です」

 横にいた迅城は俺のシャツの袖を軽く握りながら答えた。

 名前を聞いた大陸はポケットからスマホを取り出して誰かと電話し始めた。「弐星と迅城だ」と言ってしばらくすると、何か連絡され電話を切り、スマホをポケットにしまった。

「じゃあ準備ができたみたいだから中に入ってくれ」

 大陸はドアを開けながら喋った。

 俺たちは教室の中に入ると、大陸はドアを閉めながらニヤリと笑った。

「大陸。もともと変な顔してんんのに、変な笑い方をするともっと変になって笑えるぞ。アッハッハ」

「お前、あとで覚えてけよ」

『さっきの大陸の顔、にぼっしーがパソコンでAV見てるときの顔に似てたね』

 余計なことは言うな!

 教室の中は暗くてよく見えない。

「おばけが出てきてもおかしくないくらい暗いね……」

 目の前に本物のおばけがいることは言わないでおこう。

「暗いし、手でも繋ぐか?」

 俺が提案すると迅城は慌てた。

「ににににに弐星がどどどどうしても繋ぎたいなら……」

「繋ぎたい」

 繋いでないと、もしかしたらはぐれちゃうかもしれないしな。

「ももももう! しょうがないね!」

 迅城は俺の腕にしがみついた。

「あれ? 手を握らないの?」

「く、暗いとはぐれちゃうかもだしさ。手を握るよりこっちのほうが確実でしょ」

「もしかして俺のこと好きなのか? 俺のことが好きならそう言えって。……お前を誰にも渡したくない」

「ば、バッカじゃないの!弐星のことを好きになるもんか!……ふん!」

 俺たちは顔を見合わせると笑い合った。

 お互いのキャラ変が変なことを話しながら、黒いカーテンを壁とした道を進んでいくと行き止まりだった。

 道がないか辺りを見回そうとしたとき目の前で懐中電灯が光った。

 下から顔に光を当てて目出し帽を被った男が怖い雰囲気を漂わせた。

 迅城が俺の腕をさらに少し握った。

「弐星さんと迅城さんで合っていますね?」

「「はい……」」

 男は俺たちの名前が合っていることを確認して安心したのか息を吐いた。そして、机の中から怪しげなファイルを取り出し、1枚の写真を取ってファイルを机に置いた。

 俺たちに写真をライトを当てて見やすくして見せてきた。

 その写真には、変な顔をした俺の写真だった。口の中に金属の棒状のものが何者かに入れられていた。

 ……もしかして!

「この写真は、3週間ほど前に歯科に行って最後の乳歯を抜いてもらったときに歯の磨き方が汚いからと言われ、後日歯科できれいなおねえさんに合法的に口の中に指が入って興奮しているときの弐星さんの顔写真です」

『確かにこんな顔してたね』

 ……。

「何か言うことはある?」

「確かに合法的に指が入ったことには少々興奮していたかもしれません。しかし、それと同時に歯磨きの仕方をこの歳になって教えてもらうという恥ずかしさと、自分はどうせこういう機会でなければきれいなおねえさんの指を舐められないんだなというむなしさがありました。そのようなわけで、それらの気持ちを理解してくださると幸いです」

 迅城はニコリと笑い、俺と腕を組むのをやめた。そして思い切り腹パンされた。

「これで許してあげる」

「……アリ……ガト……ウゴザ……イマ……ス」

 なぜ目の前にいる男が俺の写真を持っているのだろうか。歯科で俺の写真を撮るような奴なんてこの世にいないはz……、……東村ならやりかねないよなあああああぁぁぁぁぁぁ!!!

 ならば、あの極悪人は絶対に嫌がらせを楽しむために目に焼き付けるはずだ。なのに本人がいないのはおかしい。どこかに隠れているとか。

 俺はポケットからスマホを取り出してライトをつけた。奴に限ってカーテンの裏とか机の下とか安直な場所に隠れない。ありえるとすれば、排水溝や換気扇の中とか、……誰かに変装しているとか。……まさか!

 男の目にライトを照らして眩しくさせて、怯ませた隙に目出し帽を無理やり外した。そしたら全く知らない男の顔が現れた。

「まさか二重で変装してんじゃねえだろうな!」

「何、変装って!」

 男はビクビクしていた。

「……もしかして、ここも東村のアドバイスを受けたのか?」

「よくわかったな」

 反応からして、こいつが東村というわけではないみたいだな。

 なんとなく天井にライトを当てると、監視カメラが設置されていた。この学校で、監視カメラが設置されている教室は見たことない。こんなことをする奴なんて東村以外ありえないだろう。

 俺は監視カメラに何か張り紙のようなものが張られていることに気がついた。

『このカメラに手を出したら、弐星のえげつない写真が出てきます。なので決して破壊しようなどと考えないでください by弐星の心の親友』

 俺はこのカメラは見なかったことにした。

 だが、迅城は監視カメラの張り紙を見逃さなかった。

「ちょっと失礼しますね」

 迅城は近くにあった机を持ち上げると、監視カメラに向かって思い切り投げた。

「やめろおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 監視カメラの部品が散らばった。同時に監視カメラの中に入っていたのか1枚の写真がヒラヒラと舞い落ちてきた。

 俺は死ぬ気で写真を取ろうとしたが、迅城の瞬発力に負けた。

 迅城が自分のスマホのライトを当てて写真を見た。俺も一緒に見ると…………。

 俺が風呂で頭を洗っている最中に優花ちゃんが裸で入ってきた写真だった。

「急用を思い出したから失礼するよ。それじゃあ、また明日。いや来年くらいのほうがいいか」

 即行で教室のドアを開けて全力疾走した。

「待ってー弐星! こっちにおいで! イタイイタイしようねー!」

「かわいい表現をするなあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 あの写真はどうやっても言い訳できない。

『私の露わな姿の写真が撮られてるなんて! キャッ!』

「お前がふざけて風呂場に入るなよ!」

『だって幽霊とはいえ、一応同居してるわけだし。ラブコメっぽいイベントくらいあってもいいかなって思ってさ。そういえば、窓から東村がこっそり私たちの写真撮ってたね』

「大事なことを、ヤバい状況になってから言うなよおおおおぉぉぉぉぉぉ!」

 迅城から、岩破先輩がラケット持ったときのオーラと似たようなものが放たれている。俺の生存本能が言っている。奴に捕まったら人生が終了すると。

 とにかく迅城を振り切らないと、いつかは捕まってしまう。彼女はテニス部だ。運動神経が良く陸上部と張り合えるくらい足が速い。

 廊下を走っていると、近くの教室のドアが開いた。

「弐星、こっちだ!」

 大陸が手招きしてきた。

 俺は大陸に従い教室へと入りドアを閉めた。

 ここは空き教室のようだ。

「ここの窓からベランダに出れば逃げれるぞ」

「助かったよ大陸。それよりお前、店番はいいのか?」

「あぁ。クラスメイトにお願いして少しの間、店番を代わりにやってもらってるんだ。だってお前がピンチな感じがしてたし。だから協力するために、先回りしてここに来た」

「大陸ー! めっちゃいい奴だな!」

『これでBL成立だね!』

 成立してたまるか!

 俺は窓のほうへと歩き出した。

「それはそうと。俺のクラスの店に女子と2人で来たよな?」

「……そうだな」

 なんとなく大陸のほうを向いた。

 すると、大陸は俺の肩に手を置いて笑顔で話を続けた。

「弐星。俺は『小白ファンクラブ』の幹部の1人だ。だから小白さん以外の女子とイチャイチャしていようが、乳繰り合おうが構わない。でもお前、他の女ともイチャコラしているそうじゃないか。俺は『小白ファンクラブ』の幹部以前に1人の男だ。……何が言いたいかわかるよな?」

「いや全然わからないが」

「お前を処刑するってことさあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 窓が開いて、ベランダから『小白ファンクラブ』の野郎どもが教室の中に入ってきやがった。

「大陸、てめえ裏切ったな!」

「別に裏切ってねえよ! はじめに言ったよな。協力するって。お前、さっきまで一緒にいた女子に処刑されそうになってるんだろ。だからあの女子に協力しようとしたまでだ! あの人にこいつを差し出して血祭にしてやるぜええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「「「「「やあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」

 肩にのっかってる大陸の手を払いのけると俺は生存本能を覚醒させ、急いでこの教室を出た。

「奴を追えー! 絶対に捕らえるんだー!」

 なんで追っ手が増えるんだよ!

「出てくるのを待ってたよ」

 目の前に笑顔の迅城がいた。

「さようならあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 迅城に掴まりかけたが、生存本能が覚醒しているのかギリギリ避けることができ、そのまま全力疾走をした。

 曲がり角をうまく利用してどうにか奴らから振り切ることができた。

 俺は息を荒くして壁に寄りかかっていると照湊さんに声を掛けられた。

「どうしたんですか?」

 やべえ。心配してくれてる照湊さんかわいい。

「いやー。ちょっと迅城と知り合いの男たちに追われていまして。どこかに隠れられないか探しているなんですよ」

「だったらここの教室が隠れられると思いますよ」

「どういうことですか?」

「ここの教室は私たちの店ですよ? さっき来てくれたでしょ」

「なるほど。個室があるから、そこに隠れられるということですね!」

 俺は照湊さんに連れられて『孤独の喫茶』の個室に入った。

「じゃあ用事があるのでちょっとだけここにいてください」

 照湊さんは個室のドアを閉めた。

「改めて思うけど、照湊さんかわいいなー」

『私もあんたを処刑したいって思うよ』

「お前だけは味方でいてくれよ!」

『にぼっしーがすけこましだからだよ』

「俺、そんなことしてたの! 俺って実はモテるのか……」

『まあモテてるのは近所のおばさんなんだけど』

「それは知りたくなかったよ」

 そんなしょうもない会話をしているとドアが開いた。

 照湊さんが包丁を持ち、もう片方の手で写真を持っていた。……まさか!

「ねえ。この写真は何?」

 見してきたのは、予想通り先ほどいた『恐怖の館』の監視カメラから出てきたものだった。

 俺は個室の壁を破壊した。壁がベニヤ板で、できててよかった。

 教室から脱出することに成功し、周りを見渡した。迅城や『小白ファンクラブ』がいないことがわかった。

 さて、どこに隠れようか。

「あれ、弐星くん。はやちゃんと一緒じゃなかったっけ?」

 小白さんと出くわした。

「あの小白さん!」

「は、はい! 何でしょう!」

「なんか俺に怒ることとかある?」

「……へ? いやないけど」

「よかった……。そういえば迅城とか大陸を見なかった?」

「はぐれちゃったの?」

「そういうわけじゃないんだけど。なんというか、あの2人と鬼ごっこをしてるんだよ。それで追われてて逃げてるんだよね!」

 鬼ごっこというか『ごっこ』じゃなくてただの鬼だけどな。

「文化祭の最中に鬼ごっこをするなんて楽しそうだね! 私も混ぜてほしi……」

「鬼ごっこはデスゲームなんだぞ! 小白さんにものすごく危険なゲームはさせられない!」

 もし参加してしたら、迅城陣営になる予感がしたし。

「鬼ごっこってデスゲームだったっけ?」

「ああそうだ! 捕まったら罰ゲームとして紐なしバンジージャンプかパラシュートなしスカイダイビングの2択を迫られるんだ!」

「どっちも飛び降りじゃん!」

「とにかく危険だから参加はできない。だから、もしお子様が対象の鬼ごっこをするときは誘うからそれでいいか?」

「鬼ごっこにお子様が対象外のがあるの初めて知ったよ。……そういえばさ、さっき東村くんに会ったんだよね」

「俺は山に埋められたくないし、海に沈められたくもない!」

「なんで弐星くんが死ぬことになってるの! なんか弐星くんにやってほしいことがあるって言われてさ。……でもちょっと恥ずかしくて」

「やってほしいこと?」

 小白さんは顔を少し赤くしながら俺にハグしてきた。

「……抱き着いてほしいって言われたんだよね。なんでやってほしいのかわからないけど……頼まれたからしかたないよね?」

「そろそろ離れてくれませんか?」

 まずい! このままでは……!

「弐星って、一緒にまわってた女子を差し置いて他の人と文化祭をまわるような人だったんだね?」

「なんで私以外の人とイチャイチャしているんですか?」

 般若のお面を被った迅城と照湊さんが目の前に現れた。

「小白さん! 離れて!」

「なんで? 今日はずっと一緒にいるって約束したじゃん」

「そんな約束してねえよ!」

「よお。 まさか小白さんと楽しくおしゃべりしてるなんて思わなかったよ」

「「「「「血祭にするぜええええええぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」

 さようなら。俺の命。

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