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バドミントンでわんこそばの掛け声をやったった……  作者: 三好ペペロンチーノ
第4章 迅城、ツンデレキャラにチャレンジしたった!

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第22話

 翌日の放課後。今日は部活があるため体育着の姿で体育館にいた。東村と先輩と小白さんは遅れてくるらしく、俺と大陸の2人きりだ。……幽霊がいるから2人きりとは言わないか。

「なあ大陸」

「なんだよ弐星」

「俺さ、イメチェンならぬキャラ変しようと思うんだけどさ。どうしたらいいかわかるか?」

「わかるかよ、そんなもん!……どうしてキャラ変?したくなったんだ?」

「俺って変らしいじゃん?」

「『らしいじゃん?』て…………。お前はどこからどう見ても変人だ。いっそのこと変態と言ったほうがいいかもな」

「うるせえよ!……俺の友達がさ、俺のことを変って言ったんだよ」

「そいつ、よく1学期の間で言わなかったな」

「だからうるせえ!……それで俺のおかしいのをどうにかするためにキャラ変しろって言ってきてさ。俺はどんなキャラになれば変じゃなくなるのかわかんないんだよ。それでなんかアドバイスが欲しいんだよ」

「……そうだなぁ。俺的には今のままでいいかなとは思うんだよな」

「……ほう!今のままの俺でも大丈夫だと!」

「いつものお前ってさ、いつも変じゃん。なんていうかさ、…………お前の無様な姿を見て笑うのがいいんだよな!ブハハハハハハハハハハ!!!」

「ぶっ殺す!」

「悪気しかない!俺に謝れ!」

「どうして絶対悪いであろう人に向かって謝んなきゃいけないんだよ!」

「無様な姿を見たいから」

「お前、東村に汚染されてないか?」

「…………それよりさ、お前のキャラ変をどうするかだが。弐星はどうしたいんだ?」

「え?」

「人の希望通りっていうのも大事だろうけど、自分がどうしたいかってのも大事だろ?そもそもお前はキャラ変したいのか?」

「………………俺は……。自分の性格とかで誰かを傷つけちゃってるなら俺を変えたい!そのためなら何でもするぞ!」

「それじゃあさ、お前はどんなキャラになりたいんだ?」

「普通な奴かな?」

「普通な奴って……。そんな曖昧なキャラになれるわけな…………」

「どうした?」

「俺の知り合いに……というかお前も見たことあって、それで普通の塊でできてるみたいな奴がいたぞ!そういや!」

「おぉ!それって誰?」

「府董だよ」

「府董……?…………あぁ!あの練習試合で大陸がボコボコにして泣かせた奴のことか!」

「そうそう!そいつだよ!」

「会いに行くか!」

「そうだな!早速、今から難多羅高校に行……」

 俺たちは後ろを振り向くと岩破先輩がラケットを持って立っていた。

「部活を堂々とサボろうとはいい度胸だね?」

 先輩はニコニコしていた。

 俺たちもニコニコしながらお互いの顔に指を差して叫んだ。

「「こいつが填めたんです!」」

 もちろん俺たちの練習は特別メニューになった。

 俺と大陸が特別メニューに取り組み始めたタイミング(この時点で死にそう……)で小白さんが体育館の入り口を開けた。

「すみません。掃除当番だったので遅れてきました」

「それなら特別メニューはしなくていいよ」

「ありがとうございます!」

 小白さんがガッツポーズした。

 俺と大陸は入り口から比較的離れたコートでうさぎ跳びしながら小白さんを見ていた。

「小白さん、かわいいな~……」

 大陸が荒い息を吐きながら言った。

「……」

 俺は大陸の発言を無視してうさぎ跳びしながらのフットワークを続けた。

「お前も小白さんのあの行動に何か感想とか言えや!」

 大陸はドロップキックしてきやがった。

「……わ、わかったよ。コシラサン、カワイイ……」

「何棒読みで言ってやがんだ!ちゃんと気持ちを込めて言いやがれ!」

「小白さんかわいい」

「大きな声で!」

「小白さんかわいい!」

「もっとだ!」

「小白さんかわいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「ちょっと弐星くん!急にどうしたの!……わ、私のことを……か、かわいいって叫んで……」

 小白さんの顔が赤くなっていた。急にどうしたんだろうか?小白さんはまるで男に告白されたみたいな顔をしているが……。

 なんか先輩がラケットを落としてキャーキャー叫んでいるし。

 なんか誤解されてるかもしれないから、とりあえず説明するか。

「大陸に言えって言われただけだから誤解しな…………。ぐわっ……!」

 俺は再び大陸のドロップキックをくらった。なんか胸倉つかまれたんだけど!

(おい!異端者!)

 小白さんに聞こえないくらい小さな声で俺に口を開いた。

(なんで俺はドロップキックされたうえに、異端者呼ばわりされなきゃならねえんだよ!)

 俺も小声で話した。

(お前は何で小白さんに告白したみたいな雰囲気出してんだよ!)

(こっちが知りてえよ!お前に命令されたことを実行しただけなんだからな!)

「とりあえず1回殺すか」

「殺すことに1回も2回もねえよ!」

 大陸は1度体育館から出て、10秒もしないうちに戻ってきた。ブーブーとチェーンソーを鳴らしながらこちらに近づいてきた。

「大陸の~っ。ワクワク~!クッキング~っ。イェーイ!!今回作る料理は生きのいい弐星をミンチにしてハンバーグを作っていきたいと思いま~す!」

「何そのクッキング番組みたいなやつ!明るくふるまってたらいいと思うなよ!」

「さ~てっ。まずはうるさい口を止めるために首ちょんぱしていきたいと思いま~す!」

 ヤバい!ハンバーグになってしまう!

「さあ、始まりました!リアル鬼ごっこ!実況はこの俺、東村でお送りいたします!今回の逃走者は弐星選手で鬼は大陸選手です!逃走者は鬼に捕まってしまうと殺されてしまいます!果たして逃走者は鬼から逃げ切ることができるのでしょうか!」

 なんか料理番組以外に逃〇中みたいな番組も始まりやがった。

 東村め!のんきに実況しやがって!ムカついてきた!

 そのとき、岩破先輩は落ちてたラケットを拾うと東村に向けて言った。

「弐星、大陸!お前らよくわかんない雰囲気で特別メニューをなかったことにしようとするとはいい度胸だね!」

「おい弐星!今はお前を殺さないから、今は協力して先輩から逃げるぞ!」

「そうだな!」

「おおっと!鬼の大陸選手が逃走者に変わり、岩破選手が新たな鬼になりました!ラケットを持って覚醒した岩破先輩はかなり強敵です!逃走者たちは逃れることはできるのでしょうか!捕まれば特別メニューと称した処刑が待っています!」

「東村!君も逃走者だよ?」

 先輩は大ジャンプで体育館の上の観戦スペースみたいなところにやってきた。

 東村は汗をダラダラ流しながら口を開いた。

「なんと実況者の私も逃走者の仲間入りだぁ~!……というわけでサラダバー!」

 東村は体育館の窓ガラスに突撃して落下し、外に逃亡した。

「君たちを捕まえたら合宿バージョンの特別メニューをここでやってもらうからね~っ!」

 岩破先輩は割られた窓から飛び出して東村を追いかけた。

「……私はどうしたらいいの?」

 小白さんは誰もいない体育館でつぶやいた。


『それでこれからどうするの?』

「学校の外に脱出したい。そうすれば、先輩から逃れられるはずだ」

『体育館に荷物置いてなかった?』

「あっ」

『プププ!なんか面白い展開になってきたんだけど!』

 俺と優花ちゃんは今男子トイレの個室にこもっている。とにかく逃げ回ったから、体育館から1番離れているトイレに隠れてしまった。ちなみに、大陸は『小白ファンクラブ』の秘密基地とやらで隠れようと俺と別れたのだった。

「なあ優花ちゃん。幽霊のなんかすごいパワーか何かで体育館に瞬間移動とかできない?」

『できないよそんなの!』

「じゃあさ。幽霊ってさ憑依できるらしいじゃん。その憑依とやらで岩破先輩を足止めしてくれないか?」

『嫌だよ!なんか覚醒してるあの部長に近づくだけで除霊されそうになるんだよ!』

「……そういやさ、人間と幽霊ってさどっちが速いんだ?」

『?』

「100m走とかしたら人間と幽霊ってどっちが勝つんだ?」

『幽霊だと思うけど』

「時速何kmくらい?」

『私は本気出したら車と同じくらいのスピードは出せるかな?だって浮いてるし』

「じゃあ俺を押してくれないか?そしたら先輩から逃げれるし」

『いいよ~!だけど代わりに、にぼっしーの好きな人を教えてね?』

「俺、別に好きな人とかいないけど」

『じゃあ私と私と私で誰が好き?』

「選択肢、優花ちゃんしかいないじゃん!」

『冗談は置いといて。……迅城ちゃんと小白ちゃんと岩破先輩と私だったら誰がいい?』

「……」

『答えられないなら協力しないよ』

「……いいよ別に。協力しなくていいや。俺は自力で突破するから」

『にぼっしーの好きな人はあの4人のうちの誰かなんだね?で、誰が好きなの?』

「しつこいぞ!…………いないったらいないんだよ!」

『そういうことにしといてあげるね』

 俺はクラウチングスタートの姿勢になって

「よーい。どん!」

 自分で合図して走り出した。


 岩破先輩に見つからずに体育館に着けた。荷物を回収しなくては。

 体育館の入り口の扉を開けると、小白さんは1人でサーブの練習をしていた。

「1人で練習してるなんて偉いじゃん!」

 俺は小白さんに声を掛けた。

「弐星くん!何でここに戻ってきたの?」

「荷物ここに置きっぱだったから取りに来たんだよ。取ったら帰る」

「…………そう。今日は練習せずに帰るんだね」

 小白さんは残念そうな顔をしていた。どうしたんだろうか?……まさか俺が先輩にボコボコにされてるところを見て笑おうってのか!くそ、東村め!小白さんまで汚しやがって!ミンチするのは東村に優先してほしいものだ。

「そういやさ。迅城に、お前は変だからキャラ変しろって言われたんだけどさ。それで俺は普通になりたいんだけど、普通ってどうやったらなれるんだ?」

「何ではやちゃんに変って言われたの?」

「エア友達としゃべってるのを見られたのがきっかけだったかな」

『だから私をエア友達にするをやめて!』

「……エア友達?」

「そうそう!最近学校にいると疲れるんだよ!それで見えるようになったんじゃ…………グハァッ!」

『……』

 優花ちゃんが無言で俺を思い切り殴ってきやがった。超絶痛かったんだが!

「……ねえ弐星くん」

「どうしたんだ?」

「それって本当にエア友達?」

「えっ?」

「もしかして合宿の肝試しで会った幽霊だったりするの?」

「よくわかったな」

「だってうっすらだけど、私にも見えるんだもん」

「マジ!ちなみに俺が合宿でマジックと称して小白さんがくすぐったい思いしたやつのときとか、帰りの車で少しの間重いと感じたやつのときとかも見えてた?」

「うっすらだけどね」

「そっかー!じゃあ俺は変じゃないよな!」

「幽霊見えてる時点でもう変だよ!」

「くそっ!」

「……その幽霊ってさ、東村くんに似てるんだったよね」

「あのときはそうだったけど、姿を変えられるらしくて今は自分の姿らしいぞ」

「じゃあ、その幽霊って男の人?女の人?」

「女だけど」

「…………そうなんだ。ちなみにどんな人……幽霊なの?」

 俺はちらりと優花ちゃんのほうを向いた。

『ここで私に興奮しないで!私がかわいいのはわかるけど時と場所は選んでよね?』

 よし。あとでこの幽霊は除霊しとくか。

 俺は質問に答えた。

「自意識過剰でよく俺をからかってくるな」

「…………その幽霊の見た目ってどんな感じ?」

 俺はもう一度優花ちゃんのほうを見た。

『ここで私のことを褒めて!すごくかわいいって!ねえ言って!』

 俺は優花ちゃんの発言を思い切り無視して質問に答えた。

「16歳くらいで死んだらしい。そのくらいの年齢の見た目をしてる」

『しょうもないこと言ってないでもっと私を褒めて』

「…………その幽霊ってかわいい?」

『ほら!聞かれてるよ!かわいいかどうか!チャンスだよ!かわいいって言って!』

「普通」

『おい!』

「殴るな!事実だろ!」

『事実じゃないよ!私はかわいいの!かわいいって言え!』

「わかったわかった!かわいいかわいい。だから殴るのをやめてくれ!」

「……………………やっぱりかわいいんだね」

「いや小白さんのほうが断然かわいいぞ!」

『おぉ!にぼっしーが小白ちゃんに告白したー!』

「えっ」

 俺は小白さんのほうを振り向いたら小白さんの顔が熟したリンゴのように真っ赤になっていた。

「ににににににににににににに弐星くんっ!」

「は、はい何でしょうか!こここここここ小白さん!」

「今のって告は…………」

「それじゃあもう帰んないと!岩破先輩に見つかっちゃう!じゃあね!」

『ヘタレ』

「うるさい!」

 俺は荷物を持って体育館の入り口へと向かった。

「み~つけた!さぁ!部活をやるよ!」

 片手で東村と大陸を担いだ岩破先輩が目の前にいた。

 ヤッター。トクベツメニューガデキル。ウレシイナー。

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