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バドミントンでわんこそばの掛け声をやったった……  作者: 三好ペペロンチーノ
第2章 大陸、御神体を崇めたった!

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第10話

 朝起きて日を浴びるというのは、一瞬眩しくてつらく感じるがそのあとなぜか気持ちよくなるから好きなのだ。俺と同じような考えを持ってる人は、ぜひ俺と素晴らしい日浴び談をしようではないか。

 それにしても、ここの『ホテル』はすごい!昨日の夜は急に雨が降ったが俺の後ろにある大木が屋根の代わりになってくれていて俺の身体はそんなに濡れていない。そして、大木の周りは雫とマッチしたきれいな草花!これのおかげで心地いい朝にしてくれている。近くには川があるから飲み水には困らないのだ!欠点は昨日の夜の天気が雨だったから濁っていることくらいだ。そして大木にはよくわからない黄色の実がついているから朝ごはんにちょうどいいかもしれない。一度食べてみたら腹を壊したがそれを除けばなかなかいいであろう!……俺はここを『ホテル』と言ったが、厳密に言えば俺はいわゆる野宿というやつをしている。俺は気分転換に『ホテル』と嘘をついてしまった。その点に関しては謝罪をしよう。

 俺は大木の香りを堪能しながら隣でまだ寝ているサルを起こさないようにしながらこの場を離れることにした。

 俺は昨日の夜、東村の嫌がらせのせいで『小白ファンクラブ』の変態どもから逃れるべくショッピングモールの裏の森に入った。そこでいつもの『想定外』が起こった。サルの群れが急に目の前に現れ、俺に襲い掛かってきやがった。1週間くらい前に買ったばかりの新しいスマホが破壊され、財布(7000円くらい入ってた)は川に捨てられ、俺の持っている服の中で一番おしゃれなシャツとズボンをビリビリに破かれ、パンツ一丁になったのだ。その後、俺とサルどもは互いを殴り合い、ついには仲良くなり、サルたちと共に寝たというわけだ。……この出来事を説明していて思ったのだが、結構シュールだな。

 今日も平日。つまり学校に行かなくてはならない。『小白ファンクラブ』の野郎どもを昨日、まくことに成功できたが家にいったん帰ることは一応避けとくべきかな。スマホが壊れてるから今は何時か確認できない。とりあえず学校へ向かうとするか。幸いここから学校まではそんなに遠くない。

 俺は森を出て学校へと歩いた。5分ほど歩いて後ろから肩を叩いてきた。まさか『小白ファンクラブ』の野郎かすぐに後ろを振り向いた。予想は外れてくれて助かったが、肩を叩いてきた人はニコニコした表情をしためちゃめちゃムキムキのお巡りさんでした。

 「君、その格好で歩いているのはさすがに怪しいよ。ちょっと『そこ』で話をしようか」

 『そこ』というのはもちろん交番である。そういや俺、パンツ一丁でした。

 「別に俺は怪しいものではないですからあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 俺は自慢の逃げ足をフル活用して逃走した。

 「待てーーーーーー!」

 「あ!あそこに裏切者がいるぞ!追えーーーーーーーーーー!!!」

 俺はお巡りさんだけでなく『小白ファンクラブ』の奴らにも追われている。俺が一体何をしたってんだよ!俺はサンタさんを信じている心優しき高校生だというのに!

 「こっちだよ弐星!」

 迅城に声を掛けられて路地裏のほうへと逃げ込んだ。あいつらは路地裏を通り過ぎていった。……助かった!

 「ありがとう迅城!でもなんでこんな朝っぱらからここにいるんだ?」

 「しぃがあのグループから逃げてる弐星くんを心配して追ってってどこかに行っちゃったんだよね。弐星と一緒にいないってことはしぃはまだ弐星を探してるのか……」

 「マジか!俺も探したいけど、俺は追われてる身だからなぁ……」

 「昨日の夜のあのグループはなんでか知らないけど、警察のほうはその格好だから追われてるんでしょ、どうせ。だから念のために弐星の服を持ってきといたよ」

 「迅城、ありがとう!早速着るよ!」

 「わかった!後ろ向い……ってもうパンツ一丁だから別にいっか」

 全然『別にいっか』じゃないけど着るとするか。白いYシャツやしましま模様ネクタイを見てうちの高校の制服だとわかった。さすが迅城!小白さんを見つけたあと直で学校に行けるもんな。俺は上も着たから下も着ようと思い『それ』を見て、なぜ迅城がニヤニヤしてるのかがわかった。最初は男が着替えてるところが珍しいからとかちょっと変態じみた理由かと思ったけど、この考えは間違いであった。『それ』がスカートであったからだ。

 「ズボンは?」

 「何言ってるわけ?持ってるっちゃ持ってるけど、それじゃ面白くないよ!ちゃんと女装してくれないと萌えないよ!しかもちょっとサイズがちっちゃいってのがもっと萌えてラッキーだよ!」

 「迅城!鼻血出てるぞ!」

 そういえば、Yシャツがちょっときつかったな。じゃなくて、まさか制服で女装だと!これを着たら男の大事な『何か』がなくなりそうだ。でもこれを着ないとお巡りさんに追いかけられる。どうしよう!ネガティブに考えるから良くないんだ!ポジティブに考えなくては!……………………よく考えたらこの制服ってもしかして迅城のでは!女子の来ていた服を着るって最高に幸せじゃん!俺は手早くスカートをはいた。

 「漲ってきたあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「急にどうしたの!」

 「いやこの制服ってさ、迅城のだよな?」

 「『迅城』のと言えばそうかな?それ、おばあちゃんが昔着てたのを借りてきたんだよね。弐星、どうしたの?なんかすごく顔が真っ青だよ。そんなに顔が青くなる人初めて見た」

 「…………………………………………………………」

 俺はこの世の終わりってくらいがっかりした。

 「……もしかして私の服を着れてうれしいとか思ってたの?」

 「いやお前の服を特別着たいとか思ってないよ」

 本当はそんなことは思ってないが。

 「着てほしいとは思ってないけど、着たいと思ってくれないのはなんかすごくむかつんだけど!」

 そう言って迅城は俺にカッターで刺しに……って危ないって!

 「なんとかギリギリ回避したけど、これ完全に殺しにきてたよね!」

 「そうだけど何か?」

 「『何か?』じゃねえよ!本当に刺さってたらどうしてくれるんだ!」

 「Yシャツが血まみれになってるのって怖いけど5周回って萌えになると思うんだよね。弐星もそう思うでしょ?」

 「俺、その域まで達してないからわからねえよ!」

 話が進んでいくごとにどんどん迅城のことがよくわからなくなってきてるのだが。

 「ねえ弐星、血まみれが嫌なら水かなんかでちょっと透けてるのも嫌な感じなの?」

 「それは大喜びでガン見する……じゃなくて話めちゃくちゃ逸れたけど小白さんを探しに行くぞ!というかさ、小白さんにライ〇とかでどこにいるか聞けないのか?」

 「それがさ、全然既読つかなくて。電話もしたけどつながらないの……」

 「最後見たのはどこ?」

 「ショッピングモールの裏の森に入るとこ。でも、弐星を追ってた人たちはそんなとこ見向きもしないで別のところを探してたのに、なんかおかしいよ」

 「いや、俺は森の中に入ったからおかしくない」

 おかしくないが『おかしい』。だって『小白ファンクラブ』のやつを完全にまくくらいのスピードで走ったからだ。俺が身を隠しに森に入ることを見抜いていたことが『おかしい』。

 「森の中か。ちょっと怖いな。サルとかに襲われたらどうしよう」

 俺がサルに襲われてたことは黙っておこう。

 「ある程度の場所もわかったし、行くか!」

 というわけで、俺は再び森の中に入った。今度は迅城と一緒に。

 入ったはいいものの一体どこにいるのだろうか。

 「弐星、見て見て!この足跡!」

 「足跡が俺の足よりちっちゃい。てことはもしかしたら小白さんかもしれないな!」

 当たり前だが夜の森は暗い。俺の足跡だと思われるものは別の方向へと向かっていたことから小白さんは周りがよく見えていなかったのだろう。小白さんがもっと心配になった。急がなければ!

 俺たちはその足跡の先を見に歩いた。

 その先には浅い川があり、その川辺に小白さんはつかりながら倒れていた。服は川の水や機能の雨で少しだけだが汚れが取れてるが、シャツは土で汚れている。透けてる服を着てる小白さん、かわいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!……じゃなくて!俺はジョニーの暴走を無理やり抑えて小白さんに向けて叫んだ。

 「小白さん!大丈夫か!」

 「むにゃむにゃ、弐星くんのメイド服似合ってるなぁ」

 どうやら寝ているようだ。小白さんは大丈夫そうだけど、夢の中の俺は大丈夫じゃないようだ。

 「しぃ、起きて!」

 「ん、朝?あれ何でここに?って弐星くんはどこ!探してる最中だったのに石につまずいて変なふうに転んで、……その先の記憶が……。って弐星くんとはやちゃん!はやちゃんが弐星くんを見つけてくれれたんだね!よかった!」

 「しぃ!心配したんだから!」

 迅城は小白さんに抱き着いた。あの練習試合のときみたいにエロい感じになっていなくて残念だった。

 小白さんは迅城から俺へと視線を向けた。そしたら、

 「弐星くんって女装する趣味があるんだね」

 「これは誤解だ!これしか服がなかったから!」

 「私が着せたの!」

 「着せたって!そんなプレイを……!」

 「違うぞ!小白さんが考えてるプレイなんてしてない!俺がパンツ一丁だったからこれ着たらって言われてしかたがなく!」

 「別に悪いだなんて言ってないよ!」

 なんか小白さんは鼻血を出していた。……もしかしてだが、そこで俺にスマホを向けて連写している迅城の悪影響で『こう』なってしまったのかもしれない。

 「ねえ弐星としぃ!急がなきゃ学校に遅刻するよ!しぃは昨日の服だからこれに着替えて。はい、私の予備の制服」

 俺、そっちの制服を着たかったな……。

 「うん、ありがとう。はやちゃん」

 小白さんは立ち上がり迅城に近づき、制服を受け取ろうとした。すると、小白さんは『ふらふら』して受け取ろうとしていた手は『変な方向』へといった。『変な方向』というのはすなわち、俺の胸元のことだ。まるで、仕事帰りの夫に『おかえり』って言って迎えている妻の雰囲気を出していた。小白さんの顔が『赤い』し。ヤバい!ジョニーがまた暴れちゃうよ!ん?『赤い』?その前には『ふらふら』もしていた。俺は小白さんのおでこを触った。わーい、初めて女子のおでこを触ったぞ!なんかやらしい気持ちでいっぱいになってきて……じゃなくて!おでこがやはり熱い。まあこれはしかたない。川の水に浸かっていてしかも雨でさらに

 「小白さん、熱があるみたいだ!」

 「そんなことはないよ」

 そんなことを言って俺を振り払った。だが、その途端にバランスを崩して倒れそうだ!危ない!

 「おい本当に大丈夫か!小白さん!」

 「心配しなくてだい……じょう………………ぶ…………」

 小白さんは意識を失ってしまったようだ。これはすごくまずいぞ!

 「弐星。早く小白さんを家まで送ろう!」

 「じゃあ、俺が運……」

 「私が運ぶよ!」

 (……弐星にしぃをお姫様だっことかさせたくないし!)

 「なんか言った?」

 「何も言ってない」

 というわけでダッシュで小白さんを家まで送ることにした。遅刻もしたくないしな。

 途中、迅城が小白さんを重そうにしていたから無理やり奪うようにして俺がおんぶしてやった。俺は小白さんの身体を堪能したいからではない。決して違うぞ!……ほ、本当だから!実際俺は野宿していたからそこまでの余裕もなく迅城の案内をたよりに小白さんを家まで送った。小白さんを彼女のお母さんに『渡す』(この表現は正しいのだろうか?)際、俺の女装をキラキラした目で見ていたのは気のせいだよな?気のせいでなくては俺の『何か』がなくなってしまう気がした。

 「弐星!あと5分で遅刻だよ!」

 くそ!この制服をすごく脱ぎたかったのに!しかたがない!このまま学校に行くしかない!……行くしかないのか。よく考えたら、いやよく考えなくても俺は変態にしか見えないよな。

 大海(たいかい)高校には生活指導と特別指導の2種類がある。生活指導というのは遅刻だったり忘れ物をしたり、廊下を走ったりしたらされる。これを3回すると特別指導に変わる。特別指導は生活指導3回される以外に暴力やらいじめやらでされるものだ。それを複数回(これは詳しく言われていない)行うと留年もしくは退学らしい。そして俺は『小白ファンクラブ』の数人と指導を受けた。(第3話より)その指導は生活指導だった。そして遅刻したらまた生活指導!特別指導は何回で留年か退学になるなんてわからない以上、指導されるわけにはいかない!

 というわけで、女装だからどうしようとか思ってる場合じゃない!走るしかない。


 遅刻ギリギリにならなくて済んだ。この出来事でスカートは走ることに適していないということを学んだ。

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