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バドミントンでわんこそばの掛け声をやったった……  作者: 三好ペペロンチーノ
第2章 大陸、御神体を崇めたった!

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第9話

 「弐星(にぼし)くん、5月の夜ってこんなに暑いんだね」

 「そうだな」

 「弐星くん、誰か待ってるの?」

 「さあ。小白(こしら)さんこそ誰か待ってるのか?」

 「何を言ってるかよくわからないよ」

 俺と小白さんは隣町にある結構大きめのショッピングモールの前で突っ立っていた。しかも夜に。

 俺はショッピングモールの中にある書店でエロ本を大陸おおりく難多羅(なんたら)高校との練習試合をきっかけに仲良くなった、詫楼(たろう)模武(ぼぶ)の3人と一緒に買うので、ここで待ち合わせをしている。俺たちはエロ本に憧れていた。だがしかし、俺たちは18歳でないから買うのに抵抗がある上に、もしも知り合いの女子に買っているところを見られたら自殺したくなるということで、これまで1度も買ったことがない。俺たちは互いにそんな思いを抱えていることを知り、協力してエロ本を手に入れることを誓い、俺たちはどうすればエロ本を手に入れられるか作戦を考え現在に至る。作戦の内容は集団心理と夜を利用したものだ。みんなでいれば怖くないという集団心理によってエロ本を買う勇気を互いに与え、夜は出歩く人が昼間に比べて少ないため、女子に買っているところを見られるリスクがすごく減るのだ。

 そんな完璧だと思われた作戦だが現在、緊急事態発生中。俺の隣に小白さんがいる。このことによって、2つの問題がある。1つ目はこの時点で作戦が失敗しかけている。俺たちの作戦は女子に見つからないようにエロ本を買うことだ。もし書店についてきたらエロ本を諦めるしかない。後日また作戦を実行すればいいからこれはまだいい。特に問題なのは2つ目である。待ち合わせをしている3人が『小白ファンクラブ』であるということだ。小白さんと2人きりの時点で誤解されてもされなくても死刑以外ありえないだろう。マジでどうしよう。仮に俺が小白さんに『離れろ』とかなんとか言って傷つけたら、もっとひどい目にあってしまう。つまり、俺は大ピンチである。

 グループラ〇ンをすることにした。

 『知り合いの女子に見つかった。作戦失敗』烏帽子(弐星)

 太郎(詫楼)『じゃあそのままおとりを続けてくれ』

 おおちゃん(大陸)『@太郎ナイスアイデア』

 Bob(模武)『m(_ _)mよろ~』

 あいつら自分勝手すぎだろ!

 だが、詫楼のおかげで小白さんと一緒にいるところがバレなくて助かったぜ。じゃあ今日は諦めて帰るとするか。そう思ったとき、

 「あれ弐星じゃん。どうしてここにいるの?」

 まさか小白さんが待っていた人物が迅城(はやしろ)だったとは。

 「さ、散歩ってところかな。そろそろ帰るよ。じゃあね!」

 俺が俺たちの目的がバレる前にこの場から離れようとしたら、迅城が襟首を掴んできやがった。

 「少し前までこんな時間にショッピングモールの前でまるで誰かと待ち合わせしてるような感じだったのに、急にこの場から離れようとするなんて、……怪しい」

 「そそそそそそそんなことは……ないよ!というかお前らだってこんな時間になんでここにいるんだよ?」

 「……」

 「……」

 2人とも黙りやがって。だがここで問い詰めたらダメなのだ。しつこい男は嫌われるらしいし。

 この雰囲気ならこの2人から逃れられるのではないだろうか?特技の抜き足差し足でこの場を去ろうとしたらまた迅城がまた襟首を掴んできて口を開いた。

 「ちょっとさお願いがあるんだけどさ。書店でエロ本を一緒に選んでくれない?」

 「……え?」

 小白さんが慌てながらしゃべった。

 「私たちは別にえ、え、……エロ本……に興味があるわけじゃなくてさ。実は私、ストーキングをされていてさ、その人の性癖をうまくついて誘い出してボコボコにしようっていう作戦をはやちゃん(迅城のことらしい)考えてくれたんだよね」

 やべえ!心当たりしかない。どうせあの変態集団の誰かだろうな。だがそんなことより、もっと大事なことを言っていた気がする。

 「つまり、道端で裸になるのか?」

 「弐星、やらしいことを考えないで!大丈夫。そこまで変態なことはさせないから」

 「……パンツ一枚で堂々と私に水着を貸せって言ったり、練習試合の相手の高校までバニーガール姿で歩いたりした弐星くんみたいな変態と違って」

 「その話、詳しく」

 「迅城、そのことは聞かないでくれ!小白さん、あとでちょっと話がある。……とにかくストーカーされてるのをどうにかしようってわけだな。だけどエロ本を買うのはやめとこう」

 「自分の貸すからってこと?弐星って女子に性癖をバラしたかったんだ。さすが変態」

 「そうじゃないよ!迅城の作戦自体をやめようってことだよ!だから2人とも、ドン引きしてるのやめてくんないかな!」

 「弐星、他にどんな作戦があるの?」

 「俺、心当たりがあるからそこから犯人捜しするから」

 「弐星くん、なんか怪しい」

 「別にパンツ一丁で堂々と小白さんに水着を貸せって言ったり、練習試合の相手の高校までバニーガール姿で歩いたりしたことを黙ってほしいとかそんな目的があるわけじゃないから」

 「「嘘が下手すぎ」」

 迅城と小白さんって仲がいいんですね。

 というわけで早速だが、グループ〇インで質問することにした。

 『知り合いの女子から聞いたんだが、小白さんってストーカー被害にあってるらしいぞ』烏帽子

 おおちゃん『そんなはずはないぞ』

 太郎『そんな不届き者なんて見たことないぞ』

 Bob『d(´д`o)ネ♪』

 『なんでそんなことを知ってるんだ?』烏帽子

 おおちゃん『┐(^-^;)┌さぁ・・?』

 太郎『┐(^-^;)┌さぁ・・?』

 Bob『┐(^-^;)┌さぁ・・?』

 おい。

 『誰が犯人だと思う?』烏帽子

 おおちゃん『@太郎』

 太郎『@Bob』

 Bob『@おおちゃん』

 『他には?』烏帽子

 おおちゃん『俺以外のファンクラブのメンバー全員』

 太郎『俺以外のファンクラブのメンバー全員』

 Bob『俺以外のファンクラブのメンバー全員』

 おおちゃん『俺は違うから』

 太郎『@おおちゃん嘘つくな』

 Bob『結論、俺は犯人ではない』

 『小白さんに伝えとく』烏帽子

 太郎『やめて』

 Bob『+.(人´Д`*).+゜. {まぢ頼むッ』

 おおちゃん『@烏帽子のマル秘写真集の収入の1割を渡すから』

 『俺のマル秘写真集って何だよ!』烏帽子

 おおちゃん『写真集の存在知らないのか?』

 Bob『(´v`)ニィ』

 太郎『なるほど』

 『どうした』烏帽子

 おおちゃん『@烏帽子の超絶恥ずかしいものがつまったマル秘写真集を小白さんの手にわたってほしくなければ、このことは黙っててくれ』

 太郎『m(._.)m おねがい』

 Bob『(人ゝω・)お願ィ!!』

 『でも犯人捜しを本人がしてるのだが』烏帽子

 おおちゃん『@Bobが犠牲になれ!』

 Bob『そこは@太郎』

 太郎『犠牲は@おおちゃんだけでいいだろ!』

 『じゃあ他のやつを犠牲にするしかないな』烏帽子

 おおちゃん『爾弧鋳(じこちゅう)は?』

 太郎『確かに。あいつなら大喜びで犠牲になるな』

 Bob『うんうん!(^-^)』

 『じゃあそのことを小白さんに伝えておくよ』烏帽子

 おおちゃん『おk』

 Bob『(◆'з`b)b』

 太郎『了解。こっちで爾弧鋳に話を通しておくから』

 俺はスマホをポケットにしまって、小白さんと迅城に話そうとした。2人は何か話しているようだ。そりゃあ、俺がずっとスマホいじってたら2人はすることもないしな。会話が終わるのを待つとするか。

 「しぃ(小白さんのニックネームらしい)。バニーガール姿の男は世間では評価されてないようだけど、よく考えてみてほしい!男の筋肉とあの服装は意外とマッチしていてピチピチ感がエロティックになっていて芸術的観点で見ればダビデ像を超えるものとなるんだよ!」

 「私は弐星くんのバニーガールが嫌いって言ってるわけじゃない!むしろ私の好みが超ドストライクなんだよ!弐星くんのバニーガールは似合いすぎて3周回って私服になってしまうの!つまり特別って感じがしないんだよね。だから正直見るんだったらミニスカのメイド服がいいんじゃないかなって思うの。」

 「確かに一理あるね。でも弐星くんが一番似合いそうなのは赤ショーツだと思うんだけどね」

 「それはそう!」

 「お前ら一体何の話してるんだよ!」

 「「趣味の話」」

 小白さんと迅城はまともキャラだと思っていたんだが、どうやらそれは間違いだったらしい。迅城はちょくちょくやばい奴感はあったけど、ここまでひどいとは思わなかった。

 「そうそう!小白さんのストーカーの犯人がわかったよ」

 俺は無理やり2人のやばそうな話をもとの話に捻じ曲げた。

 「私のストーカーは誰なの?」

 「爾弧鋳」

 「爾弧鋳って?」

 「俺たちの練習試合の相手高校にいた人だ」

 小白さんがなんかすごく暗い顔をしている。かわいい……じゃなくて大丈夫だろうか?

 「どうしたんだ?」

 「私、あの人はちょっと苦手で」

 「ああ、なるほど」

 確かに爾弧鋳は小白さんとの試合のとき、試合を放棄して抱き着いてきたもんな。そりゃあ、トラウマになってもおかしくはない。ただ、それを見ていた野郎ども(俺を含む)はあのとき死んでもいいと思える素晴らしい光景ではあったが。

 「ねえ、弐星としぃが知ってて私が知らないってのがなんかむかつくんだけど!弐星、1回ぶん殴っていい?いいよね?じゃあ思い切りいくよ!」

 俺は殴ってもいい許可を与えてないのに、本気のパンチをされた。

 「痛……くない。もっと痛いもんだと思ってたのだが」

 「なんで痛くないの?私のパンチでだいたいの痴漢はうずくまってたんだけど……」

 「お前そんな威力のパンチを俺にするな!……でもなんで痛くないんだろう?」

 「弐星くん。もしかしてだけど岩破先輩のきつい練習をしてたからじゃないかな?」

 「たしかに。あの殺戮システムに比べたら全然だな」

 「バドミントン部は一体どんな練習してるわけ!」

 「そりゃあ、先輩のマッハ2のスマッシュを打ち返す練習とか、先輩のマッハ10のプッシュに突撃してシャトルを取れるようになる練習とかいろいろかな」

 「死ぬ気なの!」

 「大丈夫。部員は誰も死んでないから。あ、でも練習の後なんでか知らないけど体育館が毎回ボロボロだけど、気のせいだろ」

 「全然気のせいじゃない!バドミントン部はいろいろとおかしいよ!」

 「「そう?」」

 「ダメだ!洗脳されてる!」

 俺、中学は帰宅部だったから運動部の練習がどんなもんかよくわかってないんだけど、運動部の練習って普通こんなもんじゃないのか。

 ……そういえば俺、なんでここにいるんだっけ?そうそうエロ本をあの3人と一緒に買うんだった!この2人の目的は果たされたことだし、もう帰ってくんねえかな?

 「なあ、もう帰らないか?」

 「犯人は爾弧鋳……さんだっけ?そういや犯人がわかったってだけで対策が何もできてないね。どうしようか考えなきゃ」

 まだここに居座る気かよ!

 「いやいやいやいやいや!もう暗いし、帰ろう!な!」

 「……じゃ、じゃあ弐星くん一緒に帰らない?」

 小白さん、そういうのやめて!一緒に帰ってるところをあいつらに見つかったら殺されるって!

 「せっかくショッピングモールにいるし、買い物してから帰ろうかな!」

 「じゃあ弐星、一緒に買い物するよ」

 どうするべきか。今日はせっかく仲間と協力してエロ本を買うべく勇気を出して夜のショッピングモールに来たってのに!今から書店に行って堂々とエロ本を買ったとしよう。そしたらこの2人にひかれること間違いなし!もし別の本を買おうとしたらあいつらに会う可能性だってある。それはショッピングモールにいてもそうだが。つまり俺の選択肢は2つ。1つは、こいつらとどうにかバレないようにエロ本を買う。しかしこの選択肢は不可能だ。なぜなら、こいつらが俺についてこようとするから絶対にバレるからだ。そしてもう1つはこいつらを連れてそのまま帰る。そうすればエロ本を手に入れようとしていることはバレないが、目的を果たせない上にあの変態どもに俺が小白さんと帰ってることがバレたら俺の死刑が確定するだろう。2つの選択肢からわかること。それはどちらを選んでも俺はオワタ。だが、まだ可能性が全く残されてないというわけだ。2つ目のエロ本を諦めて帰るというのを選んで小白さんと一緒に帰っているということが『小白ファンクラブ』の野郎どもに()()バレるというわけではない。俺はそれに賭けることにした。

 俺は小白さんと迅城に向けて口を開いた。

 「今日はもう暗いしやっぱ帰るか」

 「弐星くん、一緒に帰ろう。さすがに夜道を1人で歩くのは危ないでしょ?」

 そうなるわな。小白さんが1人で帰るのは危ないけど、俺が小白さんと一緒に帰ったら俺が危ないんだよな……。……どうしよう。

 「しぃ。でもあんたはたしか私たちの家とは真逆だったよね?つまり遠回りして帰ることになるから、私たちと帰っても危ないのは変わらないよ」

 迅城、ナイス!

 「じゃあ、弐星くん。私の家までついてきてっていうわがままは……ダメ……かな?」

 小白さん、泣き落としは反則ですよ!俺が小白さんの家まで超絶ついていきたいが、俺の身が……!

 そんなことを考えていると、

 「やったー!小白が弐星を家に誘ってる動画が撮れたぞ!これを『あいつら』に送ってやろうっと!」

 後ろを振り返ると、東村(ひがしむら)という名の悪魔がいた。…………今までの話を聞いてたのか!

 「東村!頼むからそれだけはやめてくれ!」

 「つまりそれ以外ならいいと」

 「それ以外もダメだ!」

 「ごめん。頼むからやめてくれって言われる前にもう送っちゃった!てへぺろ!」

 「きもいからてへぺろとかやめろ!……ヤバいよ!どうしよう!」

 俺が唸っていたそのとき、

 「よう!まさか俺たちを騙して小白さんの家まで行こうとか、マジでふざけんなよな!」

 「僕は弐星くんとは親友になれると思ってたのに、裏切るだなんて!」

 「殺す!」

 また後ろを振り返ると、大陸、詫楼、模武以外に『小白ファンクラブ』のメンバーも全員揃ったようだ。『小白ファンクラブ』の皆様って用意がとても早いんですね。

 俺は叫んだ。

 「くそったれえええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 俺はもちろん逃げた。

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