第二話 誘い
「…というわけで、わたしのじゅうせいが、きこえたみたいで。」
「ほう、くもりちゃん専用ロリータ傘銃の音が?そりゃあおもしろいのうwがはははははは!」
「あの、俺帰っちゃ…」
「だめ」
…あらすじを簡単に話すと、学校の帰り道で謎の男と戦ってるこの幼女を助けたら、その女の子が所属してるっぽい組織的なのに連れてこられていて、誘拐疑いたいレベルです。ここまで脳内変換でお送りしました。ハイ。
「で?坊」
「は、はい。俺なんか粗相しましたっけ???」
「なんのことだ。我が組織の愛しい組員を助けてくれたお礼を、とおもって車を手配しただけじゃ。あ、門限何時~?」
(ギャルのノリだ…)
「大丈夫です、とりあえずですけどさっき車に乗せられた時点で遅くなることなんとなくわかったんで親にはLINEしましたし。…勘だけはよくあたるので、結果話は長くなりそうですし…」
「そんなに長話する予定ないぞう?わしゃこうみえても若者の流行りなり話しなりは知っとるんじゃ」むふふ
「そ、そうっすか…」
いや、結構一話目との間に長話あったからね????これ視聴者さん飽きると思って筆者が切ってるんだろうけど寝てるかもしれなかったレベルだったからね?
「ああ、そうだ!東京の組員からもらった東京ばな奈食うかい?」
「あ、いただきます…」
「くもりちゃんもほれ」
「ありがとうございます、おじたま」
東京ばな奈かぁ…よく東京に行った先輩にもらうんだよなぁ…。
…まって、この東京ばな奈、俺が知ってる東京ばな奈じゃない…!なんか、包装のところのバナナの影の色、ほんとに少しだけど濃い?
「うーん!やっぱり東京ばな奈は美味しいのう…坊も食え食え」
言うか?いやでも流石にこんなことで…でもよく映画で偽の商品食べさせて殺すとかあるし…ううゾワッてした…いや、でも…
「おじたま、おいしい。」
「ねー!インスタあげちゃお」
((((((インスタしてるの?????))))))
いや、違う今はそこじゃない、このこと言うか…でもキチガイだって思われたら…うう、迷う!
「…あの、見違えてたら申し訳ないんですけど」
「ん?なんじゃ」
「これ、一般流通してる物じゃないですよね」
シンッ…
え?違った??何この空気真冬の旭川????
「なんでそう思ったんじゃ?」
「えっと、個包装のバナナの影、ここが普通の色よりかすかに濃くって…あ、違いました!?単に視力不足かぁあはは」
「ふむ、君。合格だ。」
「…え?」
「うむ、素質というのは見てわかるものだがここまで素質に塗れてるとは…なぜ今まで見つからなかったのか不思議なくらいだ。」
「いや、あの、」
「僅かな違い、僅かな異変に気づく力が突出しとるのう。今まで聞こえがやたらいいと言われたり視力が良いと言われたことは?」
「あ、あります…」
なんだ?合格ってなんか応募したっけ、モデルとか興味微塵もないし…
「合格ってなんです!?てか東京ばな奈はっ」
「まあまあ落ち着いてくれ少年。あと東京ばな奈はその通りホーーんのすこし違う特別に裏社会用に製造されている甘さ控えめのものじゃ。毒入りじゃないぞい。がははははははは!」
な、なんだ…殺されない…というか裏社会用に作られる東京ばな奈ってなんなの???
「合格っていうのは、我々の組織に入ってもらいたいというオファーじゃ。」
「…いやですけど!?あんな怖い現場に出向くとかしぬしぬ!!」
「ははは、我々は犠牲も厭わん。君の命も、この組織に入れば儂の手中に等しくなる。」
「じゃあもっと嫌なんですけど!!」
てかこんな組織によくこの子入ってるねぇ!?すごい通り越して怖いよお兄さん!
「あ、そういえばくもりって呼ばれてたけど君の名前聞いてなかったや。えっと」
「なかま、なるなら、おしえる。」
お、脅し…!
「うう…名前より命優先なんだけど…」
「まあ、待て。このままだと夜道に後ろから刺されるぞいっ♪君の顔、敵組織に握られてるだろうねえ。なんせ相手を殺すのに加担しちゃったんだから。」
え
「死んじゃったんですか?!あの人っ」
「うん、わたしが、あたまうった」
そんな、殺した?俺が?殺人…いや、俺はこの子を助けたかっただけで!あ、逮捕されて少年院かなつらすぎ…
「? 何をそんな顔をしておる。警察は来んぞ。」
「……え?」
「我が組織【亜】は、警察も手に出せん仕事を裏で引いとる。それに相手組織は大半が秩序を乱す犯罪集団だ。得体のしれないものを創造しようと企むものから殺しを愉しむ組織まで。そいつらを抹殺し、日本というこの美しい国を守るのが我々の組織のモットーじゃ。ほれ、死刑執行官がボタンを押しても殺人にはならんじゃろ?そういうことじゃ。」
亜…。この組織は、悪を倒す正義のヒーローのような組織なのか…でも、いきなり言われて怖いし何より、命がかかってる。
「それで、なんで僕なんかに…」
「君は、能力は信じるか?」
「それは、例えば炎を操る~とか霊能力とかですか?」
「そうじゃ。そういう能力者は稀有で存在自体が珍しいことに加えて、人のために使える選ばれた力。悪用される前に我々のような悪しきものを罰する組織で活躍するのが望ましい。もちろん、相手から見ればこちらは利害の合わない敵じゃ。でも、この日本…いや、世界を守るには我々が頑張るしかないのじゃ。」
本気だ、俺を組織に入れようとしてる。でも…
「俺みたいなのが世界を守るなんて無理ですよ…。怖いし、なによりその能力がないじゃないですか。」
そうだ、俺には人を救えるほど大層な人間じゃないんだ。
「だから」
「それは、ちがう。」
「! くもりちゃん…」
「わたしも、さいしょ、にんむ、こわかった。でも、ちっぽけでも、たすけに、なるなら、いきるかちが、うまれる。」
「…そうじゃのう。確かに怖いのはよく分かるぞ。儂も若いときは怖くて子鹿のように怯えていたときもあった。だがな、人に力を認めてもらってありがとうと言われるときは、戦ってきてよかったとおもえるんじゃ。」
…。いいはなしだぁ()
でも今の話に合うほど俺は強くないしそんな補正主人公みたいにはなれない。平凡をこれからも続けていきたい。それは誰だって願うことだろう。だから。
「…わかりましたよ。やってやる、正義のヒーローとやらに!」
「おおお!入ってくれると思っていたぞう!仲間が増えて嬉しいのう」
「なかま、うれしい。」
「うん、仲間。まだ未熟だし強くないけどね。」はは…
仲間、かぁ。ほんとに裏社会の一員になるんだなぁ…漫画みたいですげぇとしかいえねぇけど、なるべく平和にしていきたいな…。
「契約書と会員証書けました。」
「オッケーじゃ。あとで完成した会員証を送るからそれはずっと持っておくんじゃぞ。」
「はい。」
なんだかんだ、妄想が現実になっちゃった感たまらないけど非日常でこれはこれでいい…。
「あ、君の名前…」
「…うん。わたし、時雨くもり。」にこっ