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作者目線で語ってみたい

作者目線で「キャラを再登場時させたとき読者に忘れられている問題」について語りたい

作者: 寒天

 どうも、寒天です。


 早速ですが、今回は表題のような『一度出したキャラを再登場させるとき』について語りたいと思います。

 今回は長々と話すことなくあっさりと終わらせるつもりですので、いきなり核心に触れたいと思います。


 目次は以下の通り。


1.概要

2.作者と読者の温度差

3.例と解説

4.小説家になろうという特殊な舞台について

5.問題の解決案

6.特殊例「テンプレ展開」に関する注意喚起

7.まとめ


1.概要


 つまり『長編で数話、数十話ぶりに再登場したキャラクターが誰もが知っている面して出て来たときに「なんだっけこのキャラ?」って思った経験、皆さんありません?』って話です。

 再登場したキャラって大体「毎度おなじみ!」みたいな感じで出て来たけど、読者目線から見ると『アンタ誰?』状態になっていること結構多くないですか?

 主要キャラ達からは「アレン! どうして貴方がここに!?」だとか「カトリーヌさん、お久しぶりです」だとか「太郎丸殿、お久しゅうございます」みたいに普通に話に混じってきますが……よほどの熱心なファンじゃないと「あれ? こいつ誰だっけ?」みたいな具合に覚えてないですよってことです。



 もちろん作者的には『この俺の作品を読んでおいてキャラを忘れるなんて何事か!?』みたいな怒りを覚えるところかもしれませんが、残念ながら我々が血反吐を吐いて生み出した作品も読者方からすれば沢山あるものの内の一つでしかなく、そこまで一々細部まで覚えている熱心なファンなどかなりのレアでしょう。

 作者的には後々再登場させる予定の重要キャラだから~みたいに思い入れもあるから忘れられてるなんて思いもしないですけど、読者側からすれば再登場するまではその他にも沢山いるモブキャラの一人でしかない……って印象しかないこともよくありますし。


 まあ要するに『キャラの名前だけじゃ普通に忘れているし、思い出すきっかけにもならない』と言う話です。


 と、いうのがまず今回の言いたいことになります。

 いきなり主張だけ述べましたが、さてここでもう少しだけ深掘りしていきましょう。





2.作者と読者の温度差


 ここまでの短い話だけでも「まあ読者からすれば間を空ければ忘れられても仕方が無いこともあるな」とある程度のご理解はいただけると思いますが……では、具体的にどのくらいの間隔が空くと忘れられると思います?

 もちろん、それは読者一人一人の記憶力によるとしか言えない話ですが、ここで私はその基準として『一日もあれば人間は割と忘れる』説を提唱します。私なんて小説のキャラどころか一応年単位で付き合いがあったはずの学友ですら卒業して三ヶ月もしたら大半は顔も名前も思い出せません。何なら一時間でも忘れるものは忘れます。初対面なら下手すれば五分前に別れた人の顔と名前もあやふやです。


 いやそれはもうちょっと頑張れよという声はスルーしまして……ようするに、一度出したキャラだとしても次話投稿の時点ではもう忘れられているくらいに思っておいた方が確実ということです。

 作者目線では思い入れのあるキャラ達だし把握されていて当然、しかも登場したのついこの間の話であっても、読者側からすれば特に気にもしていないし忘れ去るまで五分も必要ねぇってことは割と多いと思うんですよ。


 ということで、人の記憶力は思った以上にザルであるというお話でした。





3.例と解説


 と、ここまで千字ほど語ったところで、具体例を出しましょうか。ダラダラといまいちつかみ所のない解説聞いていてもピンとこないかもしれませんし。

 ということで、幾つか『キャラ再登場時』の例を適当に書いてみます。あくまでも即興の例ですので、名前が被っている作品があったとしてもそれは偶然であることを予めご了承ください。


ケース1

「そういえば、シレーヌさんが婚約したそうですよ?」


ケース2

「クルスが協力してくれることになった」

「え? クルスって、あの『閃光のクルス』か?」


ケース3

「アルベルトさん。どうしてここに?」


 そこに現われたのは、ガラス細工職人を紹介してもらうときにお世話になったアルベルトさんでした。


ケース4

「フリードの奴が姿を現したらしい」

「フリードって、最強と言われてる氷の魔剣使いの?」

「ああ。一振りで千里先まで凍らせるって怪物だよ」


ケース5

「お久しぶりですね、レオナルド様」

「ああ、キミの卒業パーティ以来かな?」

「ええ。私の元婚約者が義妹と婚約するなんて妄言を口走ったとき以来です」



 ……っと、まあこのくらいで。

 こんなことを突然やり出して何をしたかったのかって話ですが、まあ上から一緒に見てみましょう。


 まずケース1

「そういえば、シレーヌさんが婚約したそうですよ?」

 ですが、これでわかるのはシレーヌさんという人物が婚約したということですね。

 そもそもここで初めて出て来た名前なので忘れるも何もないってツッコミは一旦置いておいて、もしこれが連載の中で出て来たとしてですね、このシレーヌさんとやらが登場したことをすっかり忘れていた場合、もう話について行けなくなりますよね?

 何せ、シレーヌさんという名前しか出て来てないですし。忘れた側からすれば『どこのシレーヌさんでしたっけ?』以上に言えることはありません。


 次にケース2

「クルスが協力してくれることになった」

「え? クルスって、あの『閃光のクルス』か?」

 ですが、これはクルスという人物が『閃光』という二つ名を持っていることはわかりますね。

 で、これで過去の登場を思い出せるか……なんですが、過去登場時によほど強烈に閃光アピールしてればまあ何とか思い出して貰えるかもしれません。

 逆に、登場時に一度だけ出て来た~となると、もうこのクルスという人物名だけで脳内の記憶があふれ出すくらい濃いキャラでなければ『どこの誰だっけ?』と読者に思われてしまうことでしょう。


 次にケース3

「アルベルトさん。どうしてここに?」


 そこに現われたのは、ガラス細工職人を紹介してもらうときにお世話になったアルベルトさんでした。


 ですが、これは名前に加えて地の文でエピソードを紹介していますね。

 これは、そのガラス職人イベントがどれだけ濃いエピソードだったかによるでしょう。

 ガラス細工職人を紹介してもらう~というのがその作品の読者ならばピンとくる一つの大きなイベントであるならば、その時に登場したキャラであることは流石に伝わるはずです。そこからいろいろと具体的な情報も繋がって思い出してくることでしょう。

 しかし、そのエピソードそのものを忘れられていたらどうにもなりません。仮に作中で数行で終わったようなミニイベントであった場合には、他にもっと印象深い説明を持ってくるか、あるいはそもそも再登場と言えるほど深掘りされてない、忘れるほどの情報が初めから無いキャラということですので、改めて一からキャラ立てしたほうがいいでしょうね。


 次にケース4

「フリードの奴が姿を現したらしい」

「フリードって、最強と言われてる氷の魔剣使いの?」

「ああ。一振りで千里先まで凍らせるって怪物だよ」

 これはキャラの掛け合いの中でフリードというキャラの能力を教えてくれていますね。

 例えフリードという名前を忘れられても、これが作中では『特徴ある強力な能力である』というのならまず間違いなく思いだして貰えるでしょう。何せ、印象深いポイントであるはずですからね。

 これもケース3と同様に、その能力自体が一度だけどこかの会話で出て来ただけ……みたいな、まともなエピソードとしては登場していないということなら思い出すも何もない状態になるでしょうが、しっかりその能力で作中活躍した過去があるのならば思いだして貰えることでしょう。

 キャラの名前は忘れたけど能力は覚えている……なんて、漫画やアニメなんかでもあるあるじゃありません?


 最後にケース5

「お久しぶりですね、レオナルド様」

「ああ、キミの卒業パーティ以来かな?」

「ええ。私の元婚約者が義妹と婚約するなんて妄言を口走ったとき以来です」

 ですが、このレオナルド様とやらが卒業パーティで婚約破棄事件を起こしたときに登場したキャラなのはまあ何とかわかりますね。

 これも一応エピソードと同時に紹介されてはいますが、そこで何やったかはよくわからないので思い出すきっかけとしてはやや弱いかもしれません。

 それに、これには後述するある問題があるんですよね……。


 と、一個一個見てきましたが、言いたいこと伝わりますかね?

 つまりは『名前だけじゃ思い出せないんだよ!』ってことを私は言いたいわけです。

 作者目線で言えば一つ一つ考えて付けた名前であり印象深いものなんですけど、読者からすればもう何回他でみたかわからないって感想になるでしょうから。

 ということで、読者の記憶を呼び覚ませるような情報をさりげなく隣に添えていくと親切かもしれませんねってお話でした。




4.小説家になろうという特殊な舞台について


 ここは「小説家になろう」という様々な作品に溢れた特殊な場所です。

 ここの住民である読者方は、自作の他にも大量の小説を平行して読んでいると思った方がいいでしょう。

 で、そんな中で読んだ作品全部のストーリー展開とキャラクターをはっきり記憶しているなんてことを読者に要求しますか? 正直、ハードル高いですよ? 記憶する量だけでいえば、学校のテストで余裕で全教科満点取れるくらいのことやらなきゃいけないですからね。


 だからこそ、私は『一度読んでくれた読者方であっても次話投稿時にはいろいろ忘れられている』という前提で話を書くべきだと主張します。

 忘れられているのは当然、如何に不自然にならないように思い出してもらうかこそが重要だと私は訴える所存でありますと、まあそういうわけです。


 いや、実際この小説家になろうの中に一体何万人の『シレーヌ』が『クルス』が『アルベルト』が『フリード』が『レオナルド』いるかなんて、誰にもわからないってくらいきっと溢れてますよ。

 更に『シフォーヌ』とか『クレスト』とか『アーノルド』とか『フロスト』とか『レオパルド』とか、何か字面が似ているものまで含めたらそりゃ覚えているわけがないでしょ?

 名前だけ、の情報で過去登場したシーンを鮮明に思い出すことができるのは、よほど印象的なキャラ特徴を読者にこれでもかと植え付けることに成功していない限りはもはや記憶力に関して何かしら特殊な訓練を受けている人だけでしょう。仮に名前だけで思い出して貰えたとしても、確実に自作とは何の関係もない作品の記憶とぐちゃぐちゃになっていますよ。


 ということで、この小説家になろうを含めるネット小説投稿サイトという場所は普通の小説以上に情報量が多く、忘れられやすい環境にあるのだという話でした。




5.問題の解決案


 ここまでで語ったことを纏めますと、キャラの名前だけじゃどこの誰なのか正直ぱっと出て来ないって話でしたね。

 だからこそ、前述したように再登場させるときは多少クドくとも『そのキャラに関わりの深いエピソードをさりげなく付ける』くらいの配慮はした方がいいと思います。もう言いたいのか実質ここだけ。

 人間、ただ単語を記憶するだけというのは困難ですが、何かしらのエピソードとして一塊にすると結構記憶できるものですからね。


 これがいやいややらされる学校の勉強であったら全て忘れられてしまうかもしれませんが、読者方は好きで我々の作品を読んでくれている訳なので、何かしら記憶には残っているはずです。

 ならば、きっと完全には覚えていない、名前だけ出されてもピンとこない状態でも、キャラのエピソードや特徴の方は何となく覚えているはずです。物語の開始地点から現在までの流れならば何となくは覚えているから読んでくれているはずなんです。


 それを踏まえて、我々作者も自然と思い出して貰えるようにヒントを話のテンポを阻害しない程度に、さりげなく配置しておくことは大切なことであると私は思います。

 普通に覚えているという読者の方の邪魔をしないよう、余り長々とは書かずに数行で、簡潔に印象深いポイントだけを書くくらいが理想でしょうか。


 とにかく、話の邪魔をしない程度に情報を与えられる工夫をしておいた方がいいという話ですね。




6.特殊例「テンプレ展開」に関する注意喚起


 ここで一つ注意点を。

 エピソードと一緒にすれば思い出すきっかけになりますと言いはしましたが……先ほど上げた例で言えばケース5なんですが、そのエピソード自体が自作を特定する類いのものでないのならば意味がないってことは予め注意喚起しておきます。


 要するにですね?

『卒業パーティーで婚約破棄された』

『魔物から女の子を助けた』

『無実の罪を被せられたときに庇ってくれた』

『婚約者が幼なじみばかりに構って蔑ろにされている』

『パーティーから追放された』

『前世の記憶が蘇った』

『妹ばかり贔屓されている』

『マヨネーズ作った』

『仲間に裏切られて危険地帯に捨てられた』

『幼児のころに女の子奴隷を拾った』

『時のループを繰り返した』

『冒険者ギルドで因縁つけてきたチンピラを返り討ちにした』



 ……などなど、他にも沢山ありますが……そんなエピソードが『小説家になろう』の中にいったい幾つあると思います?

 それなりに『小説家になろう』の作品を読みあさっている方ですと、今挙げたのに該当する作品を挙げよと言われれば10や20はぽんぽん出てくるんじゃないですかね?


 そんな、似たようなシチュエーション似たようなキャラクター似たような台詞で構成された似たようなエピソードを添付されても、似たテンプレを読みあさっている人からすれば記憶を呼び覚ますのは不十分と言わざるを得ません。はっきり言いまして、候補がいっぱいいるけどどんな話だっけ……としかなり得ないでしょう。

 そんな事態を避けるためにも、ここで軽く読者方に説明するエピソードは独自色が強い、自作ならではの要素を付け加えるべきだと思います。




7.まとめ


 纏めると『作者が考えた名詞は忘れられるものだと思え。しかし簡単にでも解説を付けておけば興味を持って読んでくれている読者方には大体思い出して貰える』って話ですね。

 キャラを再登場させるときは、常に名前は忘れられているものと考えて、何か記憶を刺激するフックをさりげなく付けておくべし。

 ただしあんまり長々と一々過去キャラ紹介しても物語自体のスピード感を殺すことになるので、自然な流れで短く簡単にに留めましょう。そして、紹介するエピソードはそのキャラを象徴するような、余所でいくらでも見られるような、一見キャラを思い出す検索ワードに見えて脳内検索結果多過ぎなものは選ばないように注意しましょう、ということになります。

 これが今回私が主張することとなります。


 以上。

私は結構忘れっぽい方ですが、皆さんはどうですかね?

似たようなテンプレ展開を連チャンで見てキャラ設定がごっちゃになったりとか、昔読んだ作品を読み返してみようかなと思ったら似たような設定のが多くてどれがどれだかわからなくなったとか、そんな経験ありません?


そうならないように工夫してもいいんじゃ無いかなというお話でした。


共感その他、何か思うことがあれば感想、評価(下の☆☆☆☆☆)お待ちしております。




そりゃ忘れられるだろと言われても文句は言えない、半年ほど放置してしまった連載を最近再開しましたので、よければ下のリンクから見に来てください。

URL: https://ncode.syosetu.com/n5480gp/

他にも短編その他幾つか投稿してますので、お時間あれば作者ページからどうぞ。

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[一言] 以前楽しく読ませていただいた「他力本願英雄」の他に最近新たに何か書かれていないかチェックに来て少し驚きました。 期待した長編作品は他になくて、最近のなろう(なろうだけではないですが)の風潮…
[一言] なろうってテンプレ多いから たしかに覚えてないわ エタってたのが完結したから 読もうかと思っても あらすじさえ覚えてないなんてザラにあるし... それも200話とかにブクマついてる作品さえ…
[一言] 主人公が旅をしたり内政に絡むような作品だとキャラクター数がとにかく膨大になりますからね。 あくまで私見ですが読者的には思い出せずともどんな役割を果たすモブキャラクターなのか把握するのに支障が…
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