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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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3

 ニューヨークに戻ったショウは、そろそろ悩むのはやめにするよと、俺の母親である彼女に言った。

 それはいいことだよ。彼女はそう言った。

 それでさ、この街を離れようと思うんだ。ショウはそう言った。彼女は一瞬だけ戸惑っていたが、すぐに、それもいいわね、そう言った。

 横浜もいいんだけど、東京なんてどうかな? 演劇の要素はさ、日本では東京が似合うんだよね。

 ショウの言葉に彼女は涙を浮かべた笑顔を見せる。

 嬉しいよ。それって最高の決断だわ。

 彼女がそう言った理由は、本当の感情は二人にしか分からない。簡単に上辺だけを説明すると、東京への憧れと、演劇への未練があった彼女へのショウの気持ちが現れた言動に、彼女が感動をしたってわけだ。

 東京での新居は二人で探していた。その場所が、俺の実家だよ。

 引越しの準備は順調だった。荷物なんていくら多くても転送装置を使えばそれ程の手間はかからない。しかし、転送装置まで運ぶのと、転送装置から運ぶのに自分でやるのは面倒だ。引越しの業者に頼めば、そこでも楽ができる。

 業者の手配は即日とはいかず、三日ほどの暇ができてしまった。この時間がなければ、ショウは今でも生きていたかも知れない。しかし、これこそが運命なんだよな。そう思うしかない人生を、ショウは歩んで来た。

 三日間の暇ができ、ショウと彼女は別々で最後のニューヨークを楽しんでいた。一緒にいればよかったとの後悔を、今でも彼女は抱えている。

 暇ができた一日目に、彼女は妊娠を告げた。ずっと黙っていたけど、もう安定期は過ぎているの。あなたの子供よ。元気な男のよ。そう言った。

 彼女の言葉を聞き、ショウは大喜びだった。こんなにも喜んでいたなんて、息子の僕としては最高に嬉しかった。

 妊娠を告げた彼女だが、昼間も夜も一人で街を楽しんでいた。ショウもまた、ゆったりとした時間の流れを一人で楽しんでいた。本音としては一緒にいたかったが、一人の時間も大切だ。特に、妊娠をしている彼女にとって、そんな時間は重要だと考えていた。

しかし、その二日目に悲劇が待っていたんだ。夕方に部屋を出て散歩でもしようとしていたとき、拳銃を突きつけられ、死亡した。

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