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学校における一年間の始まりは、四月になっているが、それもまたこの国独特のルールだ。他の国では一月を始まりとしていて分かり易い。その年に生まれた子供が、0年生として入学をする。最初の年だけは、生まれ月によって教育期間が異なってしまう。そのため、幼少学校では、成長過程での個人差が生まれやすく、飛び級は滅多にしないことになっている。小学校での補習が用意されているのも同じ理由からだ。十二月生まれの子供にとっては、言葉や身体の発達で不利になることも多い。
この国の始まりは四月のため、三月までの早生まれが特をすることはあっても、十二月生まれが不利になることは少ない。その理由は、その年に生まれた子供が、その年の四月から翌年の三月までを0年生として教育を受けるからだ。早生まれは最長で三ヶ月間、遊んでいられる。遅生まれでも、三ヶ月間は0年生としての教育を受けられる。世界的には逆行したシステムだが、俺はこっちの方が素晴らしいって思う。
ちなみにだが、早生まれでも三ヶ月間を本当に遊んで過ごすってわけじゃない。三ヶ月間も家で赤ん坊の面倒を看ることになれば、困ってくる家庭も多い。そのため、早生まれの赤ん坊は、三ヶ月間一つ上の学年と共に教育を受けることになる。そんな早生まれの子供たちが稀に、飛び級をするってわけだ。これもちなみにだが、俺もそんな稀な早生まれの一人だったりする。