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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 このインタビュー後、ノーウェアマンの三人は活躍の場を世界に移すこととなった。それまではその映像こそ世界で流れていたが、興行をしたことはなかった。インタビューの内容による非難はあったが、そんなことは関係がないと思われる盛り上がりだった。どの国に行っても、ノーウェアマンの三人が現れるとパニック寸前になる。歩いているだけで人集りができてしまった。そして当然、世界中の会場を埋め尽くした。

 しかし、これは後になってからの噂だが、このインタビューによって、命を落としたんじゃないかと言われている。

 ノーウェアマンはその後、タブレットを利用した作品を三ヶ月に一度のペースで発表した。そしてその全てが世界中で売れまくった。その勢いのままに、ショウは音楽の新しい形を作ったんだ。

 それは、ピーブイと呼ばれている。映像と音楽の融合に成功したんだ。元々のアイディアは、壁に映し出した宣伝だよ。あのときはほんの少しの小細工は入れたが、演奏する姿を映し出すのが精一杯だった。まぁあれは音楽を売り出すことだけが目的じゃなかったからな。しかし今度のピーブイは、音楽そのものを売り出すための映像だったんだ。一曲丸ごとを映像と共に楽しむ。ショウはそれを、タブレットで売り出した。

 ショウは自ら曲に合った物語を考えて、演じた。そんな映像の中で、演奏シーンは一つもなかった。

 ノーウェアマンのピーブイは、大成功だったよ。誰もが真似をした。しかし、タブレットの売り上げには繋がらなかった。色々と問題があったんだよ。一つは、音楽を聴きながら街を歩くことは危険じゃないが、映像を観ながら歩くのは危険だってことだ。頭の中で映像を流しながら歩く若者が増えたんだよ。当時はそれが悪いこととはされていなかったが、評判は悪かった。それに加え、わざわざ買ってまでピーブイを見ようとはしなかったんだよ。三分前後のその映像は、街中でよく見かけることになった。建物の壁に、宣伝として流されたんだ。初めはその映像そのものを売るためだったが、次第にその曲を含んだ作品を売るための宣伝に変わっていったんだ。そういう意味での大成功だったんだ。

 ノーウェアマンのピーブイは、その後のコマーシャルを生み出すことに繋がっている。コマーシャルのアイディアはライクアローリングストーンのミックが出したことになっているが、元ネタは言うまでもなくショウだよ。

 ピーブイの成功で、ノーウェアマンのタブレット作品は大いに売れ、興行をすればその会場に、その街の全員が集まったんじゃないかってほどの人集りができた。

 世界中を走り回っていたショウは、いつしかヨーコとの距離が離れてしまい、離婚する結果となってしまった。それは愛情が薄れてしまったこともあるが、スティーブによる決定でもある。

 この世界の結婚制度は、その全てをスティーブが管理している。好きな相手ができ、お互いの気持ちが一致すれば、後はスティーブの承認待ちだ。離婚をするときは、お互いの感情と実際の距離を元に、突然離婚成立の連絡が届く。結婚にはお互いの意思を尊重するが、離婚の際はほぼスティーブの独裁となっている。

 ショウが世界に旅立つと、ヨーコは横浜に残り、ショウとの連絡も全くといっていいほどしていなかった。横浜に戻ってきたときでさえ、連絡をしないことが多くなっていた。しかもヨーコは、チャコとの愛を育んでいた。ノーウェアマンが横浜に戻ってくると、二人は必ずショウに内緒で会っていた。

 そんなショウだが、ショウにも別の恋人がいたのだから文句は言えなかった。ノーウェアマンが世界を周るとき、そこには必ずボブアンドディランのオーナーの娘が同行していたんだ。ショウの気持ちがヨーコから離れた理由は、彼女への想いがあったからだ。そもそも二人は、出会ったその日からずっと、互いに恋をしていた。

 結婚をしようと言い出したのは彼女からだ。当然ショウはそれを受け入れた。

 ショウはずっと彼女のことを君とか娘さんとか呼んでいたが、この日を境に名前で呼ぶようになった。やっと君のことをシンシアって呼べるよ。彼女の耳元でそう囁いた。

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