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幼少学校での三人は、俺には不思議なことに思えるが、あまり仲良く過ごしてはなかった。お互いの存在を感じながらも、一定の距離を置いていた。同じ教室にいるにも関わらず。ハイハイを始めた頃も、決して同じ方向には進まず、掴まり立ちをするときも必ず別の場所まで這っていき、お互いに背を向けるように立ち上がる。それは歩けるようになってからも同じことだった。言葉を発するようになっても、顔を見合わせて声をかけることはなかった。ほんのたまに、遠くから奇声を発する程度だったが、その奇声に応酬をするのは、決まって残りの二人だけだった。
幼少学校は三歳で終了する。理由は簡単だ。言葉を使っての基本的なコミュニケーションが取れるようになるまでが幼少学校の役目だからだ。四年間の教育で終わってしまうが、うまく喋れない子供は、小学校で補習を受けることになっている。