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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 友達を探して欲しいんだ。ジョージっていうんだけど、恐らくはだけど、スティーブが関係するなんらかに巻き込まれそうなんだ。ジョージは学校で、スティーブの研究をしていたんだ。

 ・・・・それだけじゃ分からない。そう言いたいんだが、あんたはやっぱりなにかが違うんだな。今俺が抱えている案件が、まさにそれなんだよ。ジョージって男のことは知らないが、きっと被害者の一人なんだろうな。

 ミッキーはそう言うと、さっそく行くとするか。そう言いながら立ち上がった。

 とにかくついてきな。この事件はな、実はほぼ解決していたんだ。話はもうついている。後は被害者を引き取るだけだったんだよ。

 ミッキーが向かって行く場所に、ショウはすぐに気がついた。この道を使って行くってことは、そうなんだろうなと感じている。しかも二階に直行か?

 ミッキーは真っ直ぐに建物の二階へと繋がっている川を渡る橋へと向かい、渡って行く。

 あんた今、ボブアンドディランで興行しているんだってな。なかなかの評判なんだろ? 今度ぜひ、招待してくれよな。

 ミッキーならいつ来たって構わないよ。彼女とも顔見知りなんだし、顔パスだろ?

 まぁそうだな。今度ゆっくり、見に行くとするよ。

 橋を渡り終え、建物の中、カフェへと足を運ばせる。

 おばちゃんいるだろ? 呼んでくれないか? ミッキーは、カフェの中に入るとすぐ、店員に向かってそう言う。

 店内の奥へと消えていったその店員はしばらくすると一人で戻ってくる。

 ショウさんが一緒にいることを伝えたんですが、奥の部屋に直接来てくれとのことです。

 ショウとミッキーは、トイレを抜け、形のある本で溢れている部屋に入って行く。

 なんだここは? こんな場所があっていいのか?

 聞き屋の言葉に、ショウは違和感を覚える。

 まさかとは思うけど、知らなかたってことはないだろ? 横浜の街で聞き屋をしているんだ。噂すら聞いてないっていうのは嘘だよな。しかもあんたはおばちゃんとも長い付き合いなんだしな。しかも、形のある本の存在まで知っているんだ。僕ともこの建物の前で出会っている。今更なんのための嘘だよ。

 ははっ、まぁそう言うなって。確かに大嘘だけどな、ここに入るのは初めてなんだよ。噂以上だな。こんなにも溢れているとは驚きだ。世界中の本が集まっているんじゃないか?

 ここにあるのは一部だよ。この上の階にも、下の階にもあるんだ。あれ? なんて部屋を見回し、ショウは、おばちゃんがいない。そう呟く。

 部屋の中には、おばちゃんだけでなく、出かける前にはいたヨーコとチャコの姿も見えなかった。

 上にいるのか? そう言いながら階段を登ろうとした。すると、どこかからか声が聞こえてくる。

 床の穴に気づかないのかい? 何年ここに通っているんだい。こっちだよ。早く降りてきな。

 おばちゃんの声が聞こえてくる。ショウはすぐに床の穴に顔を向ける。ミッキーもつられて床の穴を見とめる。

 そこから一階に行けるのか? 凄いな。三階への階段もある。しかも入り口はトイレだろ? まるで秘密基地だな。

 僕が先に一階に降りるけど、問題ないよね。そう言ってショウは、穴に飛び込む。続いてミッキーも、なんの考えもなしに飛び込んだ。

 ドンッ! という物音に続き、痛いっ! なんていうミッキーの声が聞こえる。

 うをぉー! ビックリした。そんなショウの言葉が重なった。

 ショウの背後に、ミッキーが落ちてきた。慣れているショウは、飛び降りた瞬間に一歩前に踏み出していた。まさか、すぐさまミッキーが飛び降りてくるとは考えていなかったが、その行動が吉と出た。ミッキーの身体は、ショウの背中を掠めていた。

 落ちてきたミッキーの方向へ振り返ったショウは、尻餅をついているミッキーの姿を眺め、驚きと痛みに目玉を飛び出させながら顔を歪めているその顔を見ると、噴き出すのを我慢できなくなる。そして実際、噴き出した。

 ミッキー! あんた本当に聞き屋なのか?

 思ったより高かったんだよ! それに、あんたがまだそんな所にいるからだろ!

 ミッキーの怒鳴り声に、ショウは再び大笑いだ。

 ちょっとは様子を見てから来るもんだけどね。まぁいいや。怪我はしていないみたいだし。

 クッソー。依頼料にちゃんと慰謝料含めとけよ!

 お尻を擦りながら、ミッキーは立ち上がった。

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