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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 生まれたばかりのショウの記憶には、ほんの少しではあるが、感情が残されていた。チャコやジョージを見つめるショウの心が、ウキウキしているのを感じられる。それは、他の赤ん坊を見るときにはみられない感情だった。

 横浜の街で、ショウは母親一人の手で育てられた。生まれてすぐに教育が始まる時代としては、父親がいないことで寂しさを感じる余裕はない。学校では大人達に囲まれて、勉強や遊びに大忙しだ。家に帰ってからも、母親との時間を楽しむだけで一日が過ぎて行く。俺もそうだったが、父親がいないことがハンディになる時代じゃなかった。その逆もそうだし、両親がいなくても、子供を預かる施設が充実していたため、それを理由に子供の感情が乱れることはなかった。チャコは生まれてすぐに両親を亡くしているが、家庭環境で悩んだことは一度もなかったという。今の時代に生まれてくる子供達とは環境がまるで違っていたんだ。

 教育のあり方は、この十年間で大きく変わってしまった。今では学校に通うのは五歳からが一般的だし、両親や片親がいない子供を面倒見る施設は存在しないと言ってもいい状態だ。ただ預かるだけの施設なら存在するが、預けられた子供の精神状態はとても悪い。幼い時分から寂しい思いをすることが心に与える影響はとても大きいんだ。

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