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つまりはこういうことだ。スティーブには心がある。相手の感情や心を読み取り、ときには制御だとかルールだとかを無視して心を優先する。特に本気の涙には弱いが、泣かずとも心が響けば問題はない。スティーブはいつだって、感情を最優先に動いているって噂が存在している。しかし、俺もそうだが、この爺さんも、実際にスティーブが感情を最優先にした場面に遭遇するのは初めてのことだった。
ヨーコはこう見えても十歳なんだ。お前達と同じ歳だよ。けれど、大学生なんだよな。二十年生だったか?
爺さんの言葉に、ショウが頷いた。チャコとジョージはほんの少し驚いていた。ヨーコの見た目は、自分たちよりも年上には見えたが、女の子の方が大人びている子が多い。同い年だとしても不思議ではなかった。しかし二十年生とは驚きだった。飛び級を重ねたとしても、十歳で大学生になる子供は珍しいからだ。ショウ達三人は、常に自分達がクラスの中で一番の年下だった。初めて出会った同い年の上級生がヨーコだった。驚くのが普通だ。
しかし、ショウは全くもって驚かなかった。
そうか。お前はヨーコと直接スティーブで話をしたんだよな。全て知っていたか。爺さんの言葉に、再びショウが頷いた。
スティーブでの通信をすると、相手に自分の情報が伝わってしまう。誕生日や名前はもちろん、簡単な略歴や趣味や性格が紹介される。俺はその機能を気に入っているが、中には嫌がる輩も多い。プライベートの侵害だとよく言っているよ。しかし、その機能を制御することは難しいようで、いまだに為されていない。




