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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 二階の一室に、お目当ての店がある。表向きはカフェだが、ショウ達三人の目的は飲食ではない。店の奥のトイレから更に扉を開けて奥に行くと、秘密の部屋が存在する。小さな部屋で、真ん中に机があり、椅子が四脚、それ以外はいくつもの棚が所狭しと置いてあるちょっと暗い部屋だ。

 ショウがドアを開けると、中から声が聞こえてくる。今日も来たのか? 毎日ご苦労なこったな。

 苦労なんてないよ。こんなに楽しいこと、他にはないからね。ショウはそう答え、机の下に荷物を置き、椅子に腰掛ける。チャコとジョージもそれにならった。

 机の上には、数冊の本が置いてある。噂じゃ聞いたことはあるが、俺はまだ実物にはお目にかかっていない。こんな場所が存在していたなんて、今でも驚きだが、当時としては事件だよ。形のある本は、この時代には存在していないことになっている。

 この世界の文明は、少なくとも一度は崩れ去っている。今いる俺たちの文明は、その始まりから二千年ほどしか経過していない。それ以前の文明の歴史と文化はなかったことになっている。この世界でも様々な文化が生まれては消えているが、文明以前の文化は、基本的には全てが消滅したとされている。調べることさえ禁止だが、現実には多くの文化が残され、街や地域によっては大切に受け継がれている。国や街の名前は、なぜだか文明以前からの名前を使用しているらしい。形ある本は、そんな文明以前の代表的な文化の一つである。

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