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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 チャコの言葉を聞き、ショウは腕を組んで思考する。いいこと言うなぁ。そんな呟きを漏らしながら、似ている建物はないかと街の様子を頭に思い浮かべる。そして一つ、思いついた。

 あそこのことか? 駅の反対側に、そんな建物があったよな? ショウがそう言うと、チャコとジョージは顔をパッと明るくさせた。

 ショウ達三人は、それぞれになにかを言いながら走り出した。

 息を切らせながら走り、到着したその建物を眺め、三人は絶句した。確かに建物の形自体はよく似ていた。けれど、隣り合う建物が一つもないため、双子の置物が隠れる場所がなかった。念のためにと周りを一周したが、やはりというか、なにも見つからなかった。

 やっぱり、あの隙間の奥なのか? でもどうやって中に入る? あんなに狭い場所、僕達にだって入れない。

 ショウの言葉に、ジョージが頷く。しかし、チャコは顔を横に振る。

 考えたんだけど、あの建物って、三角柱だよね。三枚の壁しかなくて、その一枚が全面隣の建物に隠されているんだよね。あの置物があったのって、三つある角の一つじゃん。一つの角はどことも接点がないから、もう一つの角になにかあるんじゃないかな? そう考えると、なんとなくだけど、納得いくんだ。双子っていう意味も分かるしね。

 チャコはそう言いながら、ショウとジョージの頭に思い描いた絵を送った。スティーブを利用すると、言葉の通信だけでなく、画像や思考を送ることもできる。混乱状態にあったとしても、そんな基本機能への影響はない。スティーブを混乱させる目的は、機能低下にあるわけじゃない。スティーブに知られたくはない秘密を守ることにある。

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