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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 ショウ達三人の前にそっくりな顔の二人と女の子が並んだと思うと、今度はその背後から大勢の輩が現れ、ショウ達三人はあっという間に囲まれてしまった。チャコとジョージは恐怖を感じたのかその存在感が縮こまっていく。しかし、ショウは別だった。その存在感が、増していく。

 もしかして、あのときの? そう言いながらショウは小さな男の子の前に立ち、両足を踏んづけてしゃがんだ。そしてズボンをすっと下ろす。やっぱりそうだ。フルチンくんじゃん! このおチンチン、変わってないね。そう言いながら、人差し指でピンと跳ね飛ばした。

 学校スニークでのあの日から二年しか経っていないが、ショウ達三人は大きく成長していた。しかし、フルチンの成長は遅かった。それはきっと、一緒にいたお兄さんに奪われてしまったからだと思われる。

 フルチンはまた、泣き出した。それを見ていたお兄さんが怒りを露わにするが、大笑いをするショウにつられて、周りを囲む大勢も一緒に笑い出した。この事態に慌てたフルチンのお兄さんは、どうしたものかとあたふたしだした。後で知ったことだが、フルチンのお兄さんはフルチンと一つしか年が変わらない。身体は大きくとも、まだまだ子供だった。突然態度を一変させた隙を、ショウは見逃さなかった。フルチンのお兄さんの耳元に顔を近づかせ、お兄さんも脱ぐ? そう囁いた。そしてそのまましゃがみこみ、フルチンのお兄さんのズボンを下ろす。ショウはズボン下ろしが上手だった。確実にパンツと共に下ろすことができる。

 お兄さんのは少し、大人サイズだね。そう言いながら、人差し指でピンと跳ねる。ぎゃー! と喚いて飛び上がるフルチンのお兄さんを見て、周りを囲む輩の笑いが大きくなる。フルチン兄弟は慌ててズボンを持ち上げ、あそこに手を当てながらその場を去っていく。その後ろを慌てて女の子がついて行く。

 ショウ達三人は、いまだに大笑いしている輩の間を縫い、いつも通りに家路についた。

 ショウ達三人は気づいていなかったが、フルチンは、八年生の同じクラスにずっといた。次の日の登校で気がついたが、フルチンが避けたため、その後には一度も会話をしていない。しかも翌年ショウ達三人は揃って十年生に飛び級をしている。いつの間にか立場が逆転してしまった。当時の学校世界では、年齢よりも上級生であることの方に力がある。そんな世界だった。

 十一年生への進級は普通だった。頭を使う勉強については飛び級可能だったが、身体的な面での不安があり、飛び級に待ったがかかった。本人達にとっては、正直どうでもいいことだった。飛び級には興味がなかった。三人一緒にいられればそれでいい。それしか頭になかった。

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