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スニークは光エネルギーで走行する移動用の乗り物で、種類は様々だ。一人乗りの街中タイプから数百人が乗れる飛行タイプまで、紹介したらきりがない。小学校への送迎には、数十人が乗れる地上用の箱型スニークが使用されていた。地上用のスニークは基本、ほんの少しだけ中に浮いている。光による地面との反発作用を利用していたらしい。水上タイプでは光と水の力関係を、飛行タイプでは空気との力関係を利用していた。全てが光エネルギーの制御によって動いていたそうだ。残念だが、俺が生まれたときには、スニークの存在は絶滅状態だった。どこかの金持ちが、個人で所有をし、個人の敷地で楽しむことしか出来ないんだ。スニークの使用は、公共の場では完全に使用禁止になっている。
そんな箱型スニークの中で、三人は多くの言葉を交わし、仲良くなっていった。送り迎えの順番は学校から家までの距離と道程によって決められる。誰がどの席に座るのかの決まりはないが、空いている席を選ぶと、その順番によって自然と収まる席が決まってしまうものだ。そして一度場所が決まると、なかなか別の席へと移動することはない。