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最低でもビートルズ  作者: 林広正
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 小学校に上がってから、三人の距離がぐっと近づいた。理由は明らかだ。言葉を持つようになったからだよ。お互いの存在を強く感じていたからこそ、敢えて言葉のないコミュニケーションを拒んでいたようだ。側にいるだけでも伝わる感情は多いが、言葉があればもっと広がるし、勘違いも減っていく。

 今の時代は少し様子が違うが、ショウが生きていた時代は、嘘を吐くことが難しかった。他人に対しての嘘ならいくらでも吐けたんだが、スティーブに対しての嘘を吐くことが不可能だったからだ。隠し事をするだけなら経験によって誰でも可能だが、言葉に出しての嘘は全てが見破られてしまう。スティーブが嘘を知るってことは、当然その話し相手にも伝わるってことだ。当然だよ。コメカミにいるスティーブは、全てが共通の人格なんだから。嘘を吐いても、必ずばれる仕組みだったんだよ。俺の時代では、スティーブが学んだ結果として、スティーブが嘘を隠すようになっていた。それでも俺たちは、嘘を吐くことに慣れておらず、どうしても嘘を飲み込む癖が抜けないでいた。しかし、今の時代は違う。嘘を吐かない輩はまずいない世界になっちまった。今の時代で生まれた輩は、最低でも一日に百個は嘘を吐く。

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