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マルタン王国の魔女祭  作者: カナリア55
エリス・ルロワ
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非情な命令

「エリス、お前にはマルタン王国に行ってもらう」


 父は、わたしの顔を見ずにそう言った。


「マルタンの新王がそう望んでいるそうだ。ガルシア帝国の為だ。いいな?」

「はい。かしこまりました」


 このルロワ侯爵家で、当主である父の言葉は絶対だ。

 わたしは、それに従うしかない。


「出発は明日の朝だ。話は以上。自室に戻って用意をするがいい」

「はい。失礼致します」


 わたしは深くお辞儀をし、父の書斎を出た。

 最後まで父は、わたしを見なかった。


 わたしは、エリス・ルロワ、十八歳。

 ルロワ侯爵家の長女で、ガルシア帝国の皇太子殿下、アレクシ・ガルシア様の婚約者だ。

 それはもちろん、わたしの希望というわけではなく、幼い頃から決められていた事。


『将来、皇后となるのだから』


 そう言われ、幼少の頃から礼儀、作法、ダンスの他に、外国語、各国の歴史、馬術、剣術、兵法まで叩き込まれた。

 とても厳しく教育され、とても辛かった。

 それでも。


『君がとても努力している事、僕は知っているよ。そしてそれが、僕のためだって、ちゃんとわかっているよ』


 アレクシ様がそう仰ってくださったから。


『一緒にこの国の事を考えてくれるのがエリスで良かった。ずっと一緒に、この国の為に努力していこう。君となら、僕はきっと良い王になれる』


 アレクシ様がそう笑ってくださったから。


『エリスは可愛いよ。君は嫌いだって言うけど、僕は黒髪、好きだよ』


 アレクシ様がそう寄り添ってくださったから。


 わたしは努力し続けた。

 あまり容姿が良くなかったので、それをカバーする為にダンスやマナーをしっかりと学んだ。

 アレクシ様が貴族達に侮られる事がないよう、アレクシ様が民達に好かれるよう、アレクシ様の治める帝国が他国から攻められることなく発展し、民の生活が向上し『賢王』と呼ばれる事となるように。

 そのお手伝いができるよう、どんなに苦しくても努力も怠らない。

 いつか、皇后となるその日まで。


 けれど。


 その努力は報われなかった。

 わたしはアレクシ様に、望まれない存在となってしまったのだから……。



頑張ります! どうぞ、これからよろしくお願いいたします。


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