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『七行詩集』

七行詩 621.~630.

作者: s.h.n


『七行詩』


621.


いつか貴方の立つ舞台から


私が見えなくなる日が来るでしょう


その時は 誰より昔から


貴方を見つめる人が居たことを


どうか思い出してください


やがて来る自由の日に


貴方の一番の輝きが 全ての人に届きますように



622.


時は過ぎ行くままに過ぎ


人は厳しく 教養という


荷物を持たせてくれるでしょう


やがて 私も誰かの視界に現れ


果てしない道を遮るなら


私はどのような姿で


旅人に荷物を持たせるのでしょう



623.


声の届く距離にいるうちに


何かを言おうとするのですが


舌はもつれて 役に立たない


一歩引いて 見つめるくらいが良いのでしょうか


画家が貴方を描き写すように


貴方の姿を留めておけるよう


私も言葉で残したい



624.


開く間もなく 積み重なるままの手紙は


やがて貴方に向かって 倒れてゆくでしょう


その頃には ついに貴方も諦めて


火にくべる前に 封を開け


そこでようやく 心は心に届くでしょう


月日が経てど その内容は変わりません


私の心も 変わりません



625.


一つの幸福な物語は ただいま終わりを迎えました


この先は 長い上り坂を歩み


頂上から見える景色を 貴方とともに 見るために


付き添いましょう そして続きを編みましょう


誰のものとも 違う出会い


世界に一冊しかない本に


貴方は何と 名付けますか



626. 


グラスは二つ 長い階段を降りた先


あるのは 店の明かりだけで


少し離れれば 回りの人の顔なんて


見えない程だというのに


はっきりと 目の前に映る 夢は何だろう


あの頃は 腰を下ろして向かい合うなんて


考えたこともなかったよね



627.


私の幸せは 貴方が奪い


今も貴方が持っています


どうかそのまま 預かっていてください


私の半身を求め 貴方のもとへ向かうとき


何度でも 出会うことができるのだから


孤独をも 奪ってくれる人のもとへ


神は導いてくれました



628.


私の心は 喜びのまま 波立っている


この波がやがて静まれば


誰より綺麗に 貴方を映す鏡になるでしょう


それまで待ってくれませんか


それとも 貴方が静めてくれますか


立派に咲かせ 散った桜の花びらを


貴方のもとへと 運び 洋服を彩るでしょう



629.


往生際の悪い私は


芯の丸まった鉛筆で


いつまで粘るつもりなのか


それでも一息に 伝えたいことがあるのです


いつか日に焼け 文字が読めなくなっても


書簡と名さえ その手に残るなら


想いが永らえた事実を 証明してくれるでしょう



630.


今までしたことのない無茶に


高い熱にうなされるとき


どうしてここまで頑張れたのか


大切なことを思い出す


遠い 遠い 空の向こう側にある星も


「あれが欲しい」と手を伸ばせば


光は届く 辺りのライトが閉じたとき



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