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異世界で戦闘玩具職人に任命されました  作者: 夏野あさがお
第一章
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4. 王都からの使者


 次の日の早朝、村人からは食事を差し入れてもらえた。

 かたいパンと具の少ないスープだったけど、やっとありつけた食事にホッとした。

 マークがいなかったので、村人との交流は無理だった。

 食事の皿が下げられたころ、やっとマークが戻ってくる。


「おはよう! よく眠れた? あースッキリした!」 


 マークの眩しい笑顔を私は目をショボショボさせながら見た。


「あれ? 今日のスイってなんだか不細工だよ?」


「……うん、マークのおかげで昨日、いろいろな事が分かったから、ずっと考えてたんだ。あと、マークのおかげで何も食べられなかったし、お腹が空きすぎてて眠れなかったんだよ」


「え!? 眠れなかったんだぁ。夜はしっかり寝ないとダメだよ」


「…………」


 私からの精一杯の嫌味は軽く流された。

 

 それから、マークはこれから起こることを教えてくれた。

 世界各地にいるフィアリーズに聞いて、今起きていることは大体分かっているらしい。

 けっこう凄い!

 情報を制する者は世界を制すとかいうもんね。

 マークは、ここアソシエ地方の王だけど、他の地域にはその地域の王がそれぞれいるらしい。魔力の強さで王が決まると言っていたので、マークはこの地域では最強なんだって。


「そんなすごい王様が、ずっと私のそばにいてくれるの?」


 私の疑問にマークは、


「だってさ、異世界人って、ものすごーく珍しいんだよ! ここの人間より、スイはフィアリーズに近いといっていい! とっても珍しい魔力を持ってるはずなんだ!」


 異世界人に会ったことないマークが知ってるのは、もちろんフィアリーズ情報網のおかげだ。


「百年ほど前に、ここからずっと離れた所に異世界人が現れたんだよ! そいつは自身のすごい能力を持っていて、いつもフィアリーズと共に行動してたんだって。結局そいつらは、とんでもなく凄いことをやってのけたらしい!」


「すごい能力? とんでもなく凄いこと? 曖昧情報だなぁ」


「うーん、詳しく分かる子には会えなかったんだ。でも、僕らはむやみに嘘はつかないから、間違いではないよ!」


「それで、マークも凄いことをやってみたいとか?」


「そう! 僕も世界中を旅して、力を試してみたいんだー!」


 キラキラお目目で飛び回った。


 それにしても、私にすごい能力!?

 そんなの何も感じないよ……?

 身体的なものかと、思いっきりジャンプしてみた。

 おっ、15センチ跳べた。

 …………。

 壁に向かってパンチしてみた。

 !!!

 うおーっ!! 手が、手が痛いっ!!

 私は悶え苦しんだ。


「……ねえ、何やってるの?」


 マークが冷たい視線を投げてきた。


 気にしない。

 うむ、これは異世界特有の魔法的な何かの方かも……?

 私は両手を前に出し、炎を思いうかべてみた。

 うん、変化なしっ!

 水と土と風と雷と他にもいろいろ試してみたが……

 ……? おかしい。

 異世界人特有のチートな能力どこいった!?



 そうこうしているうちに時間は過ぎ、またまた次の日になった。


 何回か村人は食事を持ってきてくれたし、おトイレタイムもあったけど(ちなみに水洗ではなかった)マークはあえて何もしなかった。

 私もマークの計画を聞いていたので、大人しくしていた。


 夕方になり辺りが赤く染まってきたころ、慌ただしい人々の声と、馬の蹄の音が聞こえてくる。


「やっと、お出ましだ! 用意はいい?」


 マークがニッと笑った。


 大きな村人二人に両脇を抱えられ、私は小屋の外に出された。

 そこには立派な鎧を付けた男の人が、5人いた。

 その真ん中にいる長身の男は、上等な衣装の上に、長いマントをつけている。

 この中のリーダーっぽい。

 私は、こちらをジッと見つめる青い瞳を見つめ返す。


 !!!

 ええっ!?

 めっちゃイケメン! 映画俳優みたいーっ!!

 ビビッと体に電流が走るように震えた。

 少し癖のある長めの黒髪に瞳は暗めのブルー、少し冷たいクールで知的な眼差し。

 歳は20代後半くらいかなぁ……?


 ミーハー気分で眺めていたら、その彼の口が動いた。



「こいつか、お前たちの言っていた魔物というのは」



挿絵(By みてみん)

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