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異世界で戦闘玩具職人に任命されました  作者: 夏野あさがお
第一章
21/127

21. 謝罪

 

 突然、目の前に現れた男に理解が及ばず、私は茫然としていた。

 私が立ち直るより早く、マークが口を開く。


「よく僕たちの前に顔を出せたね」


「え!? 誰!? 何!?」


 私は何とか疑問を口にするので精一杯だ。

 

「君と話すことなんて何もないよ。早く出てってくれないかな?」


 マークは冷たい視線を男に向けた。

 全く状況が理解出来ていない私は、マークに詰め寄る。

 マークは面倒くさそうにしながら、昨夜のことを話してくれた。


「……本当にそんな事が……?」


 え? うそでしょ……?

 呑気に熟睡してる時に?

 めっちゃ危なかったの!?

 そんな騒ぎの中、寝てた私って、ある意味すごい……!


 私と同じで、マリアさんも事情を知らなかったらしい。


『まあまあ、驚きましたわ! スイ様、ご無事で良かったですわ!』


 私を心配そうに見つめてきた。


『まあ、スイ様……お顔の色がお悪いですわよ』

 

 さすがの私も、殺されかけたと聞いて、肝が冷えたようだ。

 ハハハ……


 マークは、ため息をつきながら男を一瞥する。


「こんな奴のいう事を聞く必要ないよ」

 

「マーク、とりあえず事情だけでも聞こうよ」


 何でもいいから事情を知りたい私が言うと、男が口を開いた。


「いえいえ、マーク様のおっしゃる事は当然でございます! 私は勝手な判断で、スイ様を亡き者にしようとしたのですから……」


 男は頭を下げたまま、泣き声で続けた。


 うーん……ちょっと、うそっぽい?


「許してもらおうなどと、虫のいいことは考えておりません。しかし、スイ様に事情を知っていただく事と、そして、これには、国も王も全く関わっていなかった事を理解していただきたいのです」

 

 男は一気に話しまくった。

 男は王の側近でバシリーという名前だということ。

 国や王を心配し、私がいなくなればいいと考えたこと。


 え!? 何でそう思った!?


 私の突っ込みを入れる隙も無く、男は続ける。


 そのことを今朝、ベットを通じて王に知られ、大変怒られたこと。

 私の許しを得なければ、王のもとに帰れないこと。


 なんじゃそりゃ……!?

 私はどう判断したらいいのか困り、マークを見た。


「ふう……。君の主張は分かったよ。まあ、それを信じるかどうかは別だけど!」


 マークはバシリーをじっと観察する。


「へぇ……自身の治癒力も高いんだ。もう昨日の影響はないみたいだね」


 マークはニヤリと笑った。


「はい。有難いことに、私は魔力の量も多く、いろいろ使える魔法の種類も豊富なのでございます」


 バシリーは胸に手を当て頷いた。


「そうだよね。珍しい魔法も使えるみたいだし」


 二人は見つめ合い微笑む。


 何だか二人の世界?

 私には分からない会話してるし。

 戦いを得て、友情が生まれる的な?


「こうして二人は仲良しに……ってこと?」


 私がボソッとつぶやくと、ライディは呆れたように言った。


『平和やなぁ……スイ。お前には、そう見えるんか?』


 ムム、馬鹿にされたっぽい。

 ……それにしても、私が寝てるうちに二人のバトルがあったとは。

 マークの攻撃魔法、私も見たかったなぁ。


 私がブツブツ言うのが聞こえたのか、ライディが口を挟んだ。


『スイは、見ん方がいいで。けっこうきっつい魔法やから』


 マリアさんも、うんうんと頷く。


『私も噂に聞いた事がありますわ。情け容赦のない魔法だとか』


 え、そうなの? 意外!

 マークのイメージと違うんだね。怖そう……

 ああ、駄目だ……余計に気になる~~!

 いつか絶対見てやる!

 私は一人決意した。


 えっと……取りあえず……

 テーブルに並べられた朝食を見た。


「あのー……、とにかく話は分かったので、帰ってもらっていいですか?」


 お腹空いた。

 

「そんな! スイ様!!」


 まだバシリーは話し足りないのか、食い下がってくる。



「失礼いたします」


 そこへ、初老の男性が、威厳のある声で入ってきた。

 最初に私をこの部屋に案内してくれた、執事風の男性だ。


「バシリー様。スイ様は食事中でございます。もう用はお済のことと思いますので、お引き取りください」


「ちょ、まだお許しをいただくまでは……」


 言い募るバシリーの襟元を、その男性がグイッと捕まえる。


「また、今度の機会にお願いいたします」


 丁寧な口調ながらも、実力行使で部屋の外に追い出した。

 男性は私に朝食を勧めながら、自己紹介をした。


「私はこちらの来客棟の執事をしております、ハインリッヒと申します。 フィアリーズの加護を受けておられるスイ様に、大変な失礼があったこと、こちらの従業員一同を代表して、お詫び申し上げます」


 ハインリッヒは、深く頭を下げる。

 彼が、このお城の内情を教えてくれるというので、私は朝食を食べながら聞くことにした……のだが。


 ハインリッヒが最初に言った言葉は、耳を疑う言葉だった。


「はっきり言って私は、王の事を信用しておりません」



 問題発言出た。



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