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異世界で戦闘玩具職人に任命されました  作者: 夏野あさがお
第一章
12/127

12. 治療魔法


「……スイ! おい、スイ! しっかりしろ!」


 アルフレッドの声に、私はゆっくり目を開いた。

 洞窟の天井が見える。

 

「……あれ?」


 私はのろのろと起き上がり、周りを見渡した。

 クラウディオと騎士のみんながいる。

 ロイさんは相変わらず、苦しそうな呻き声を上げながら横たわっていた。

 どうやら私は気を失っていたようだ。

 

「はぁ……よかった。大丈夫か?」


 アルフレッドが、私の顔を覗き込んで言った。


「えーと……なんで私、倒れてたんですか?」


「俺もよく分からないんだけど、その剣から魔法を放った後、突然倒れたんだ」


 私は自分の横に落ちている剣をジッと見た。


『わ……悪かったな、スイ! いやあ、まさかの威力やったなあ!』


 明るい声で、剣がしゃべった。


 粘土の剣が言うには、私と剣は一緒に雷の魔法を放ち、熊の魔獣を撃退したそうだ。

 しかし、威力が強すぎて私まで感電し、周りにいた騎士たちも、気を失うほどではないがダメージを受けてしまったらしい。

 ロイさんなんか出血して重症なのに、電撃のダメージまで加わってしまった。


 ロイさんは、ウーン、ウーンと苦しそうな声を上げている。

 ああ、申し訳ないことをしてしまった。

 私はロイさんの傍までいき、素直に謝った。


「すみません、ロイさん……。こんな事になってしまうとは……」


「う……聖女様、き……気にしないでください……。わ……私はだいじょ……グハッ!」


 騎士は気を失ってしまった。


「おい! しっかりしろー! ロイー!!」


 周りの騎士たちが叫ぶが、ロイさんの意識は戻らない。


 ど……どうしよう……!?


「わ……私に何か出来ることはないかな?」


 私は焦って、横にいる粘土剣に話しかけた。


『すまんなぁ、スイ。ワイが“治療魔法”使えたらよかったんやけど、ワイの専門は“雷魔法”やからなぁ』


 ん?

 フィアリーズはそれぞれ、専門の魔法があるのか?

 私は詳しく聞いてみることにした。


「それって、他のフィアリーズなら、“治療魔法”が使えるってこと?」


『ああ、そうや! もちろん治療魔法が使えるやつもおるで! でも……数は少ないかもしれんなぁ』

 

 私は近くで話を聞いていたクラウディオにも尋ねた。


「クラウディオさんは治療魔法は使えないんですか?」


「ああ、生憎俺は“攻撃魔法”しか使えん。人間にも、治療魔法が使えるものもいるが、とても数は少なく貴重な存在だ。今から呼びに行かせても、ここまで来てくれるとは思えない。……この状態のロイを動かすわけにもいかんし……」


 クラウディオは、ロイを見ながら暗い表情で答えた。


 ああ、ここに治療魔法が使える人がいればロイさんを助けられるのに……

 ハッ! ……そうだ!

 治療魔法が使える人が今ここにいないのなら、呼んじゃえばいいじゃない!!

 というわけで、早速、粘土を取り出した。


 うーん……治療をする人って言ったら、医師なんだろうけど……

 私としては、可愛い癒し系のナースにお世話になりたいなぁ。

 萌え系の女の子がナースだったら嬉しいかも?


 ナース服は膝丈の少しゆったりと広がったスカートで、そこからはほっそりと伸びた足。

 頭にはもちろんナース帽で、髪の毛は可愛く編み上げておこう。

 クリクリお目目の可愛らしいナースの完成だ!


「よし! 出来た!」


 お願い。治療魔法が使えるフィアリーズさん、この中に入ってください!!

 私は目を瞑って祈った。


『お? スイ。こりゃあいったい何や?』


 不思議そうに聞いてきた粘土剣を無視して、祈り続けること数分。


「はぁ、そんな都合よくいかないかぁ……」


 治療魔法が使えるフィアリーズは数が少ないって言ってたしね。

 あきらめかけたその時、粘土ナースの色が徐々に変化し始めた。


 こ……これは!!


 私たちが見守る中、粘土ナースは淡い白色の光を放ち出した。


『んんん? ここは、どこですの?』


 粘土ナースは立ち上がり、周りを見回しながら尋ねた。


 

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