心の入水自殺
沈む、沈む、沈む。
心がふとした拍子に沈んでいく。
周囲が理想とする自分を演じ続けていく内に本当の自分を忘れ……そして、今も、今までの自分も全部含めて自分だと、自らに言い聞かせる。
けど、ふとした瞬間に仮面が剥がれて、喜怒哀楽が欠落した表情の自分が鏡に写っている。
演じ続けるのは大変だ、浮き続けるのは苦痛だ。
だから息を吐く。
そしたらほら、どんどん沈んでく。
その内どれくらい沈んだのか、そもそも沈み続けているのか、自分がどこにいるのかすら曖昧になり、わからなくなっていく。
目を開くと、限りなく黒に近い群青色の視界に、豆電球よりもまだ小さく弱々しいひかりが見える。
目尻から涙が零れては水面に向かって昇っていく。
私が手を伸ばしても届かないひかりに、水面に、涙だけが近付いていく。
皮肉も良いところだと思う……私を置いて先に行くなんて。
嗚呼、沈む沈む、まだまだ沈む。
お願い、誰か私を見つけて。
本作品を一読していただき、ありがとうございます。