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戦闘員の日常  作者: 和平 心受
戦闘員の日常
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逃走中


 無事ビルを抜け、怪人を運搬してきたトラックに乗り込み俺たちは逃走劇の最中にある。

 俺たち、とはフレイ、揚羽、そして俺の三人の事だ。


 フレイの技により現地調達された五人の戦闘員は技を解き開放、現場に残してある。それは程よい足止めでもあり、強制徴用したとは言え民間人だからだ。戦闘員スーツだけを剥いで、等と時間をかけても居られない為スーツもそのままである。


 ネックとなるのはこのスーツで、敵の手に渡る事で構造解析されてしまう事であるが、言っても所詮量産品。戦闘員用のスーツであり、精度で言えばブレイブ・ジャッジのそれより数段は劣る代物である。

 それでも現代に置ける一般的な装備に比べれは十分高価だと聞き知っているが、何よりスーツと共に帰還出来る人的資源が組織には無いのだから仕方がない。


 特定地方にはごまんと居るというテロリストも、思想の違いだろうか、組織に加担したという話もとんと聞かず、ましてやこの平和ボケの国日本で人員増加は望むべくも無い。


『しっかし、今回のアレはなんだ』


 運転席に座る揚羽が、無線から愚痴を零す。前回かろうじて運転に成功したとは言え、まだ俺には自信などと言うものは程遠いモノだ。


『内臓、ですかね。異常を起こしたんでしょう?』


『……解らない。持ち帰って調べてみない事にはね』


『前方5キロ先、検問です。迂回ルートをナビします』


 ビルを脱出して間もない俺達は、基地とは違う明後日の方向へ走っている。その先でまた別の車に乗り換える算段である。


 ビルを脱出した所で怪人の死体は爆破処理。敷地内にはまた開放した戦闘員を残し、後は捕縛網より抜け出し車を替え基地へ帰投する。


 それだけの筈であった。


 荷台に居る俺たちにも聞こえる程、けたたましいサイレンの音は、突如として迫って来たのだ。


『うげっ、なんだありゃぁ』


 運転席の揚羽が素っ頓狂な声を上げる。


『どうした、何があった』


『いや、どうにもケッタイなスポーツカーがパトランプ回しながら迫って猛スピードで迫ってきてるんだわ』


『ケッタイ?』


『ああ、そもそもスポーツカーだし、ランプの位置もオカシイ。ええと後……』


『覆面とかでは無いんですか?』


『いや、違う。白と青のツートンで、パトランプも備え付けだ。今にもロボットに変形しそうなフォルムだ』


『本当か! それは是非目にしておかねばっ』


 揚羽の告げる報告に食指を動かされたのか、フレイがガタリと身を起こそうと色めき立つ。そのまま後部ドアを開きかねない剣幕で既にスーツを脱ぎ生身のまま姿を晒そうとするフレイを、どうにか必死で押し留める。


『で、振り切れるんですか?』


『難しいな。馬力が違ぇもんよ』


 追い縋ってきているのは間違いなく敵。聞く限り、それはブレイブ・ジャッジ、その人だろう。

 茫然自失のまま怪人の爆発に巻き込まれたかと思っていたが、残念ながら無事のようで、しかも残した一般人にも目もくれず俺たちを追ってきたと言うのだろうか。




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