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図書館と障害者認定

 僕は図書館の中に居た。今度は夢ではなく、実家のあるH町の、新しく出来た本物の図書館の中だ。家から近いために、僕は月一で通院しながらの病気療養中であっても、この図書館に行くことができた。情報館、という触れ込みで建てられた図書館で、今では割と普通のことかもしれないが、インターネットに接続された安全安心なパソコンも利用できるのが売りだ。


 僕がまずやったことは、既に読み終えてしまった段ボールいっぱいのSF本に手をつけることだった。かつて活字中毒だったころに買い集めたそれらは、失読症ディスレクシアの発症以後は、もう精神的に苦痛で苦痛で、積極的に読めないものになってしまった。SF本は、実家でホコリをかぶっていたので、有効活用するために寄贈してしまうことにした。

 というわけで、田舎のH町の図書館になぜかSF本が充実しているのは、僕が寄贈したからである。


 え? 現実の話はもういい? 夢の話の続きを聞きたい?

 まあ気長に待っていて欲しい。そちらも追々書いていくから。


 夢の中の図書館の存在は、この頃はまだあまり意識していなかった。ただ、薬がまだ合わなかったのもあって、異常にリアルな夢を毎夜々々見るという体験が続いていた。大学生活だったり、ミステリーだったり、宇宙戦争だったり、ファンタジーだったりした。朝起きたときに、これはあくまで夢であって現実ではないのだという認識をするのが一苦労だった。


 さらに、昼間から、軽いとはいえ幻聴が聞こえた。大抵は近親者である父(死亡済み)、母、弟、祖父や祖母の声で、なんの意味も無いフレーズがちらほらと聞こえる程度であったが、幻聴は幻聴である。リアルすぎてついつい振り向いてしまうこともあった。


 加えて、風呂死という不可解な現象も起こっていた。実家では毎日夜8時に風呂に入るのであるが、そのとき「死ぬ」のである。少なくとも、完全に「死んだ」と錯覚するのである。毎日毎日死ぬので、その恐怖というか苦痛というか、そういうのが半端ではないストレスになる。これについては後ほど追記する。


 通院するたびに、まだそういう現象に悩まされていると相談していたら、障害年金というものを紹介された。なんでも、1年半以上経っても病状が快復に向かわない場合、適切な診断書を書いてもらって申し立てをすれば、精神障害者認定を受けて障害年金がもらえるらしい。


 診断名がうつ病だと(最近は良く効く薬が多く発明されていることから)難しいらしいが、統合失調症だと確定していて、しかも介護が必要とされるレベルであると、通る可能性が高いとのことだった。あらためて精神障害者だと言われるとショックを受けたが、まあもらえるものはこの際もらっておこうという話になった。


 だが、年金生活者になったからといって、経済的な安定が保証されるわけではない。なんと障害年金というものは、(統失発症時に社会保険ではなく国民年金を払っていた場合には)もらえるのは月7万円に満たないのである。基本的に親に介護され、実家暮らしとはいえ、これだけではとても暮らしてはいけない。そんなわけで、三十歳の僕は、改めて生活の再建に向けて策を練らざるを得なくなったのである。


 読書ができず、入力が先細りになってしまい。小説を書くことでしか病状が改善しないと考え、小説家になろうに作品を投稿し始めたのは、ちょうどこの頃になる。

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