俺の頭の中にヤバイ図書館がある
俺とか僕とか私とか、一人称が不安定なのは仕様です。
俺の頭の中にヤバイ図書館がある。
その事実に気づいたのは、比較的最近のことで。俺は2015年の4月12日の夜には、友人の提案で、その事を小説にしようと決意していた。
だから、少なくとも、それ以前から、俺の頭の中にヤバイ図書館は存在し続けていたことになる。建築基準法を無視した設計をしたその無限の蔵書を持つ図書館には、全ての知識がアカシックレコードめいて引き出されるのを待って存在している。さながら、ホルヘ・ルイス・ボルヘスのバベルの図書館のように。
俺は統合失調症という病気を持っている。
そして、映画のようなリアルな夢を毎日のように見る。それは俺にとっては、図書館で本やDVDを借りたような、ごく普通の現象なのだが。それは普通のことではないらしい。
医者に出された規定量の睡眠薬を飲んで眠ると、俺は夢を見ない。だからこれは病気の産物なのかもしれない。否、病気の産物なのだろう。しかし時には壮大な、時には緻密な展開を見せる、この恐ろしいほどにリアルな書物の渦を、映画のようなクオリティの夢を、小説家としての自分を偽ってまで抑圧したくはない。
軽い発狂と隣り合わせであったとしても、俺は自分の見た夢を記録していきたい。
この小説の序章は軽い自伝で始まる。そして取り留めの無い夢物語へと進行していく。
この小説を読む者は心せよ。汝がヤバイ図書館を覗き込むとき、ヤバイ図書館もまた汝を覗き返しているのだから。