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Hole 2~立夏の夜雨、女は黒い年貢を納める(その2)

「おはよう、ゆう君」

 五月七日(木曜日)朝八時十五分。正門を抜けたところで背後から声を掛けられる。

「おはようございます。珠子先生」

 外国語学科の英語教師、孕石珠子先生はおれの左隣に移動すると、校舎に向かって並んで歩きだす。彼女は入学試験でおれを担当した面接官で、所属する学科こそ異なるものの、必修英語の授業の時のみならず、何かと声を掛けてくれる。彼女は教師になって二年目であり、生徒たちと年齢も近いことから、おれは孕石先生では無く、珠子先生と呼んでいる。

「今日は電車じゃなくて車なんですね」

「うん。ちょっとね。ところで学校にはもう慣れた?」

「もうすっかり……と言いたいところなんですけど、環境がガラリと変わったんで、慣れるまでもう少し時間がかかると思います。でも、みんな優しくしてくれますから」

「そっか。まぁ、時間が経てばそのうち慣れてくると思うから、ゆっくり馴染んでいくことね」

「はい」

「それじゃゆう君、また後でね」

「はい。また後ほど」

 珠子先生は教務棟である九号棟の中に消えていく。おれは三号棟の中に入ると、人文科の生徒が集まるラウンジに入る。小手指総合高校では、生徒ごとに時間割が異なり、時間になったら履修している授業が行われる部屋に各自が移動する仕組みになっており、授業が無い時や休憩時間は学年を問わず学科ごとに設置されているラウンジに集まることになっている。

「おはようトンちゃん」

「おはようゆーいち君」

 ソファに座って他の一年と会話をしている舞と奈穂美がおれに声を掛けてくる。

「おはよう。今日は二人とも早いな。何かあるのか?」

「へへっ、ちょっとね。ところでゆーいち君、はらみーのことどう思う?」

「随分ざっくりとした質問だな」

 奈穂美の言葉におれは真意を測りかねる。はらみーとは、珠子先生のことだ。おれが珠子先生と呼ぶ一方、ほとんどの生徒は彼女のことを『はらみー』と、更にくだけたニックネームで呼んでいるのだ。

「優しくてきれいな、いい先生だと思うけど、それがどうかしたのか?」

「実はね、まだここだけの話にして欲しいんだけど……」

 おれと舞と奈穂美は互いの距離を近付ける。

「フットゴルフ部の顧問の件だけどさぁ、ちょっとヤバいことになっちゃってるんだよね」

「それって、大会にエントリーが出来ないこと以外で何か問題があったのか?」

「うん。生徒会からそろそろ今年度の予算申請を出して欲しいって言われているんだよね。昨日も話したと思うけど、予算申請書を提出するのに顧問の承認が必要だし」

「今年は手弁当でいいんじゃないか? ボールとか消耗品とかは各々が持って来ているし、特に買いたいものも無いだろ?」

「そんなこと無いよ。練習に使うケージも欲しいし、校庭に練習用のコースも作りたいし。ほら、花の万博のゴールデン・ベルみたいな」

「無茶言うなよ。一体いくら金が掛かると思ってるんだよ」

 確かに今後のことを考えると前者は欲しいアイテムではあるが、後者に関してはかなり無理がある。おそらく一昨年大阪の鶴見緑地で開催された花の万博のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの十二番ホールを再現したパビリオンに触発されたのだろう。

「ちなみに、生徒会からはいつぐらいまでに顧問を決めて欲しいって言われてるんだ?」

「ええっと、来週の頭までだったかな?」

「月曜日だとして、今日を含めて五日しか無いじゃないか!」

「トンちゃん、声大きいっ!」

「ああ、ごめん。て言うか、ほとんど時間が無いじゃないか。答えはおおよそ見当つくけど、もし月曜までに顧問を見付けられなかったら……?」

「予算ゼロな上に大会にすら出場できない……だろうね」

「そこの三人、何をしてるの? ブリーフィングを始めるわよ」

 ラウンジの前方には珠子先生が立っている。

「あっ、すみません」

 おれは慌てて近くのソファに腰を掛ける。壁の時計はいつの間にか八時四十分を指している。

「今日は担当の先生が出張のため、外国語学科の私が代わりにブリーフィングをします。皆さん、よろしくお願いします」

 人文科の生徒たちは軽く一礼する。ブリーフィングとは、他校で言うホームルームに相当するが、他校のそれと異なるのは、連絡事項の通達に限定されており、出欠は取らない。なぜなら校門と七号棟に設置されている自動改札に学生証を通すことにより、生徒の出欠と登下校時刻が分かる仕組みになっているからだ。

「――特に質問が無ければこれでブリーフィングを終わりにしたいと思います。それでは、今日も一日がんばりましょうね」

「「「「「はーい!」」」」」

 珠子先生は軽く笑みを浮かべると、ラウンジの外に出る。

「ねぇねぇ、やっぱはらみーってキレイだよねー」

「あーゆー感じって、憧れちゃうよね……大人の女って感じがして」

 舞と奈穂美は口々に珠子先生を絶賛する言葉を並べている。

「で、顧問の件はどうなった? いや、今はそれを話す時間は無いな。第一ピリオド、一年はその珠子先生の授業だからな。もう移動しなきゃ間に合わないぞ」

 おれは革製のビジネスバッグから教科書とノートを取り出し、移動の準備を始めた。


「なぁ温香ちゃん、ここでどうやって練習するんだ?」

 十五時四十分。校庭を眺めながら、おれは唯一の経験者である温香に質問する。

 初めてこの光景を目にした人にとって、校庭で生徒たちがタオルを振り回しながらボールを追ったり、パワーショベルを走らせたり、巨大な金属バットのようなものを振り回したり、箒に乗って空を飛んだりしている姿に当初は突っ込みまくっていたが、入学から一ヶ月経った今ではこの風景に段々と慣れつつある。こんな状態でボールを打とうものなら、パワーショベルの強化ガラスが割れたり、箒に乗った生徒を撃墜したりしてしまうだろう。

「今日はユーイチくんにとって初めての本格的な練習だから、もう一度基礎からやっていこうと思ってね」

 早速温香がコーチとしての仕事ぶりを発揮し始める。

「えーっ! ずっと素振りやるのぅ? 人の素振り見てて思うんだけど、ボールが無いと、フットゴルフのスイングって地味で間抜けだよね」

「舞さん。部長がそんなことを言ってはいけませんよ。変なフォームのまま固まったら、困るのは舞さんなんですからね」

「ふぇーい……って、ユリさんに言われたくないよ!」

「いいのっ。ユリさんのフォームは変えないって二人で話し合ったんだから。舞ちゃんは基礎からしっかりやればちゃんと伸びるタイプなんだって」

 百合が舞をなだめ、温香が舞の部長らしからぬ発言をいさめている。

 ゴルフにおいても、アマチュアゴルファーの中には誰にも教わらず自己流で練習を重ね、結果として変なフォームのまま固まってしまう人が結構多い。きっとフットゴルフにも同じことが言えるのだろう。

「それじゃみんな、まずは柔軟を始めるよ。舞ちゃんとユーイチくん、奈穂美ちゃんとユリさんで組になって、ストレッチを始めてね。フットゴルフは身体の柔らかさが即、しなやかで美しいフォームとなって、飛距離に繋がるんだからね」

 温香以外の四人が一斉にストレッチを始め、身体の筋肉をほぐす。

「あれ? ゆう君たち部活中なの?」

 背後から聞こえる声に全員が振り向く。

「あっ、はらみー!」

「珠子先生、今帰りですか?」

「ううん。帰りじゃないんだけど、ちょっとね。どう? 調子は」

「ええ。今ストレッチをしてたところです」

「そう。それじゃ、みんながんばってね」

「「「「お疲れ様でーす」」」」

 珠子先生は駐車場に停めてある白いルノー5(サンク)に乗り込み、そのまま敷地の外へ出ていく。

「ねぇトンちゃん、今朝言いそびれたことなんだけど、いっそのことはらみーを顧問にしちゃうっていうのはどうかな?」

「珠子先生を?」

「うん。色々調べてみたらはらみーってこの学校の常勤の先生で唯一、どの部活の顧問でもないみたいだからさ」

「そうなのか? って言うか、よく調べたな」

「うん。まあね。でもチャンスは一回きりだから、外での練習が終わったら部室で完璧な作戦を練るわよ」

「ええっ、後半は部室で座学をやろうと思ってたのに……」

「はるちゃん、座学は来週でもできるけど、作戦会議は今しか出来ないのよ」

「まぁ、それもそうだね……仕方無い」

 温香が少し寂しそうな表情を見せるも、おれたちは作戦会議をするべく、準備運動だけで切り上げ、部室に向かったのだった。


 五月九日(金曜日)十二時三十分。二号棟外国語学科講義室Aで行なわれた第二ピリオドの授業が終わるや否や、おれと舞と奈穂美の三人はすぐさま珠子先生を捕まえる。

「はらみー、たまにはわたしたちと一緒に食べよー」

「私、はらみーに色々聞きたいこともあるし……」

「あなたたちどうしたの? 今日は教科準備室でお弁当を食べようと思ってたんだけど……」

 珠子先生は明らかに警戒の表情を浮かべている。一方、舞と奈穂美はおれに目配せしている。ああ、やっぱり作戦通りやらなきゃダメなのか。あまり気は進まないが、やらなければ後でこの二人にどつかれるのは確実だろう。おれは珠子先生の正面に回り込むと、真っ直ぐと言うより若干上目づかいでこう話し掛ける。

「おれ、珠子先生と一緒に昼飯を食べたいな」

「ゆう君……」

 なぜか珠子先生が頬を赤くしている。

「食べたいな……先生と一緒に……」

 珠子先生の両眼をまっすぐ見つめる。

 おれは舞と奈穂美から受けた指示通りの行動を取っただけだが、何かすごく汚い手を使ったような気がする。

 おれたち三人は、半ば強制的にフットゴルフ部の部室に珠子先生を連れ込むことに成功すると、部室の中では既に温香と百合が人数分のティーカップとソーサーを用意していた。

「あらあら孕石先生、お待ちしていました。どうぞこちらへ」

「はらみ―みたいなおしゃれな先生と、色々話をしてみたかったんです。先生としてだけじゃなくて、同じ女の子としてもね」

「さ、はらみー、座って座って」

「さぁ、お茶が入りましたよ。雄一さん、先生の分、お願いしますね」

 女子生徒たちが珠子先生に隙を与えない中、おれはティーカップを温めるために入れていたお湯をバケツに捨て、珠子先生に紅茶をサーヴする。

「あなたたち、一体どういう風の吹き回し……って、一体何なの?」

「珠子先生、どうぞ」

 おれは若干強引に紅茶を勧める。

「あら、何とも言えないいい香りだし、すごくおいしい……」

「ええ。フォートナム&メイソンのファウンテンが手に入りまして、是非先生にと。それでは、みなさんもお弁当を頂きましょう」

 全員が席につき、いただきますを唱和すると、各々は弁当のふたを開け、弁当を食べ始める。

「うわーっ、奈穂美のウインナー、タコさんだぁ……」

「舞の卵焼きだっておいしそう!」

「へぇ、ユリさん今日はサンドイッチなんだ。しかもフランスパンなんておしゃれ過ぎ」

「ええ。ツナキューカンバーとBLTです」

 彼女たちの喋り方が棒読みかつ芝居かかった口調に聞こえるのはおれの気のせいだろうか。

「あの、長野で農家をやってる親戚からブドウが送られてきたんで持って来ました」

「わーい、温香ちゃんありがとう! 私、食べ終わったら給湯室でブドウ洗って来るね」

 奈穂美が棒読み丸出しの口調で答える。

「加添さんの親戚の方って、ブドウ農家なの?」

「いいえ。稲作農家なんですけど、実験的にブドウを育ててまして、まだ出荷できるレベルじゃないものを時々もらってるんです。形は悪いですけど、味はとってもおいしいんですよ」

「へぇ……信州か。どのへんなの?」

「あ、軽井沢のちょっと先あたりです。軽井沢と小諸の間くらいですね」

「へぇ……先生は学生の頃、サークルで妙高高原にスキーに行ったことあるよ」

「先生、妙高高原は新潟け……うぎゃあ!」

 温香が悶絶している隣で、不機嫌な表情の奈穂美が温香を睨み付けている。

「へぇ……いいなぁスキー。トレーニングを兼ねてみんなで行ってみたいですね」

 奈穂美は苦笑いをしながら珠子先生に相槌を打つと、ブドウを洗うべく一旦部室の外に出る。

「皆さん、新しいお茶を淹れますね」

 百合が新しいお茶を淹れると、甘い香りが再び部室の中に充満する。皆が新しいお茶に口を付ける頃、奈穂美がブドウを運び込んできた。

「さ、ブドウを洗って来たよ。舞、ゆーいち君、みんなに取り分けてあげて」

「うん」

「あ、ああ……」

 おれと舞は奈穂美の指示でブドウの房にハサミを入れて半分に切ると、それを小皿に分け、各々の前に置く。

「あっ、これすごくおいしいっ!」

 珠子先生は満面の笑みを浮かべながら次々とブドウに手を伸ばしている。

「トンちゃん、なかなかいい調子だね」

 舞はおれに小声でささやく。

「だったら、今ここでお願いしちゃえば?」

「あなたたち、何話してるの?」

 珠子先生は怪訝そうな表情をしながらおれと舞を見ている。

「あっ、いや、ブドウまだあるかなって……。もう一房食べます?」

「ううん。もうおなかいっぱい。先生は午後の授業の準備があるから、もう行くね。みんな、お茶とブドウごちそうさま。すっごくおいしかった。それじゃ、そろそろ行くね」

 おれたち五人に緊張が走る。このままでは珠子先生は帰ってしまう。

「珠子先生。ちょっと待ってください。おれがさっき何て言ったか覚えてます?」

 おれは考えるよりも口が先に出てしまう。この判断は正しいのか間違っているのか、それすら分からないまま、珠子先生を止めたい一心の見切り発車。動き始めた列車は一体どこに向かおうとしているのか。

「えっ? ゆう君何か言ってたっけ?」

「いやだなぁ。おれさっき、『先生に相談したいことがあるんです』って言ったじゃないですか」

「あ……えっ? そうだったっけ?」

 おれは言ってもいない言葉を言ったことにする。

「ええ、そうですよ。そこで珠子先生に一つご相談なんですけど、単刀直入に言いますけど、おれたち『フットゴルフ部』の顧問になってくれませんか?」

「えっ? 無理無理無理無理!」

 即答かよ。

「どうして? はらみーってどの部活の顧問にもなってないみたいじゃない。はらみーだけ顧問やってないのって、他の先生からの風当たりがきつくならない?」

「えっと、あなたたちがそんなこと気にしなくてもいいの! それに、先生はフットゴルフのこと何一つ知らないのよ」

「はらみーがフットゴルフを知っているかどうかなんて正直どうでもいいの。名義さえ貸してくれれば、あとはこっちでうまくやっておくから」

 奈穂美の言葉に、珠子先生の目は完全に泳いでいる。

「ど、百目鬼さんは先生の立場、分かってくれるよね……」

 百合は満面の笑みを浮かべながら、一枚の書類を差し出す。

「本当なら実印がいいんですけど、無ければシャチハタでも拇印でも構いませんよ」

 珠子先生はいきなり両手を机に叩きつけながら勢いをつけて立ち上がる。

「兎に角、ダメなものはダメなの。先生が顧問をやっていないのは、他の先生方と比べて授業の担当時間や研修が多いから、免除してもらってるの。だから顧問はできませんっ!」

「先生……」

「ごめんね。本当にごめん。今日はもう行くね……。ブドウ、とってもおいしかったよ」

 珠子先生はそう言い残すと、部室から出て行ってしまった。

「終わった……」

 おれは思わずボソっとつぶやく。

「みんなごめん。このやり方だったら絶対にうまくいくって思ってたのに……」

 舞は皆に向かって謝り始める。

「おれもみんなに謝らなきゃいけない。珠子先生が帰ろうとしたもんだから、引き止めなきゃいけないと思って、つい独断であんなこと言っちゃって……」

「舞さん、雄一さん、それは違いますよ」

「「ユリさん……」」

「舞さんは部長として色々熟考されて、このやり方で進めることにしたのでしょう。雄一さんも、皆さんのことを慮って斯様なことをおっしゃったのでしょうし。それに、わたくしたちも舞さんのやり方に異論を挟まなかったのですから。こうなった以上、放課後生徒会室に行って、顧問を見つける期限を延ばしてもらうことを考えましょう」

 百合の言うとおり、今出来るのは、生徒会と時間稼ぎ期限延長の交渉することだろう。そして時間をかけて珠子先生を説得するのがベターなやり方のはずだ。


「えっ、何言ってるの? そんなの認められるわけ無いっしょ!」

 九号棟教務棟三階の生徒会室で応対してきた生徒会書記・十亀亜佐美は、おれたちの依頼をあっさりと却下する。

「この時期になって顧問が決まらないなら、年度末になっても決まる訳無いじゃん。そーゆー訳だから帰った帰った!」

「そんなこと言わないで、あと一週間……いや三日待ってもらえますか。お願いします!」

 舞は亜佐美に必死に食い下がる。

「みとさんからもなんか言ってやってくださいよう!」

 困惑した表情の亜佐美は、生徒会室の一番奥で何かの書類に目を通している生徒会長代理・兎川みとに声を掛ける。

「亜佐美の言うとおりだ。そろそろ予算組まなきゃいけないし、時間が無いんだよね。悪いね」

 これから各部活が生徒会に予算の概算請求を出し、六月の中旬に開催される生徒総会で予算が承認されれば、下旬には予算が執行されることになっている。ここでおれたちが駄々をこねれば予算の執行そのものが遅れてしまい、他の部活に迷惑をかけてしまうことを意味する。

「すみません。お騒がせしました」

 おれは二人に向かって頭を下げる。

「ええっ、だって……」

 あっさり引き下がろうとするおれに、舞は何か言いたげな表情をする。

「だっても何もない。行くぞ」

 おれと舞は生徒会室の外に出る。

「どうしてあっさり引き下がっちゃうのよ!」

「あれ以上駄々を捏ねたところで、何とかなると思ってるのか? それともこの歳になって床の上に寝っ転がって、両手両足をバタバタさせるつもりか!」

 おれは舞を諭しながら、一瞬だけ石神井大学付属学園中等部の担任とのやり取りを思い出す。

「それは……」

「とにかく生徒会への説得は一旦置いておいて、もう一度珠子先生に声を掛けるしか無いだろう」

「あーっ、そうするしか無いのかぁ!」

 舞は腑に落ちないと言わんばかりの表情をするものの、渋々おれの意見に同意した。

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