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甘木高校美術部

She never bakes a cake without burning it.

作者: 藤桐 稲花

とりあえずケーキの話です。ちなみに作者はケーキに限らず甘い物は大抵好きです(笑)


……母親以外の手作りケーキが食べてみたい今日この頃。

 ある年の冬休み。


「あー、まただ」

 オーブンを開けると黒焦げの塊。また失敗だ。もうクリスマスは明後日なのに、せっかく思い立ったケーキ作りは全然うまくいかない。もう絶対間に合わない。

 そんなときに限って、

 ヴー、ヴー

「あ、メールだ……部長から?」

 開いてみると

『12月25日 午前9時~午後3時まで部活動の事』

「ええ?!」


 美術部とは名ばかりのイラスト同好会がこんな日に活動することなんてない……はずだったんだけど。

「部長、もしかしてフラれた?」

 最近ほとんど部活に来てなかったし、割と格好いい人と一緒にいるの見たし。あれ、絶対付き合ってたよね?

「……みんなも予定はないって言ってたし」

 つまり、みんな集まることになる。そうすると、私だけ行かないわけにもいかない。

「一応メールしてみよ」

 ちょっとだけ希望を込めてメール。

『25日の部活って行く?』


 で、返信は

『まあどうせ暇だしねー』byエミ

『仕方ないでしょ。部長慰めてあげないと』byユズ

『そうですね。予定もないですし、部長がそういうなら騒ぎましょうよ』byユミ

『面倒だけど、部長怒らすと面倒いし』byショウ

「……」

 みんな、もうちょっと高校生らしい考え方ってないの? ショウなんかもう、『面倒だけど面倒』ってどっちがどっちなのよ?


 それと、何でみんな最後に

『『『『ルリ(さん)、ケーキよろしくね(おねがいしますね,な)』』』』

 とか書いてるの?……あ、そういえば



「私今年のクリスマスは頑張ってケーキ作る!」

「えー、ルリが?」

「難しいと思うけど……」

「まあ確かにできないかもしれないけど、今年は何となくそういう気分なの! もっと女子力上げたいし」

「「へー」」

「あの、好きな人でもできたんですか?」

「ユミそれ聞いちゃうんだ」

「あ! あの、そのすみません!」

「いや別にそういうのはないんだけど……」



 なんてことがあった気がするっ……! ていうか地味にショウも聞いてたんだ!

 あーどーしよー! もうケーキとか諦めようと思ってたのにー!

「仕方ない、ギリギリまでやってみる」


 と言うわけで、結局その日の私は一日中小麦粉を焦がしていた(泣)


 She never bakes a cake without burning it.

 訳:彼女はケーキを焼くと必ず焦がしてしまう。



 次の日、12月24日。

「うう、また駄目だ」

 相変わらず私は小麦粉を焦がしていた。

「あらあら、またやってるわね」

「お母さん」

「うーん、そうね。1回作り方を見直してみましょうか」


 で、丁寧に説明しながらお母さんがスポンジを焼いてくれた。

「んー、あれ? ちょっと苦いかしら?」

「その、それは多分私が何回も焦がしたからじゃ……」

「まあいいわ。このくらいなら、いいアクセントにもなるでしょう。で、ルリ、ちゃんと作り方覚えた?」

「あ、うん。今度は大丈夫そう」

「そう。じゃ、頑張って。明日みんなに食べてもらうんでしょ?」

「うん!」


 それからしばらくして、

「できた!」

 やっと1つ、食べられそうなのができた。

「あー、大変だった」

「そうねー、これからデコレーションっていうのもそうだけど、後片付けどうしましょう?」

「うわぁ! お母さんいつから?」

「さっきから」

 ……だからいつから?

「まあいいわ。今日はルリの頑張りに免じて私が片付けてあげるから、急いで仕上げちゃいなさい。もう時間もあまりないわよ」

「いいの?」

「今回だけ、ね」

「ありがとー!」

 頑張る私! 超頑張る!


「今度こそ完成ー!」

「はい。よくできたわね」

「さすがの私も明日持ってくのは考えたんだよ!」

 考えてクリームはやめてチョコにしてみた。あ、湯せんはちゃんとやったよ?

「うん、それはそうと、ご飯よ?」

「……はい」


 夜、は普通に宿題やってた。特に何もなかった。



 12月25日、クリスマス。


「隼備OKっと」

 ケーキも箱詰めしたし、後はみんなに食べてもらって感想聞くだけ。

「いってきまーす」

「はい、いってらっしゃい」


「おっはよー! って、あれ?」

「ん? おはよう、ルリ。どうかした?」

「いや、9時から……だったよね?」

 ちなみに今は8時51分。部室にいるのはユズだけ。

「みんな寝てるんじゃないかな、冬休みだし」

「あー」

「まあ、とりあえず座ったら?」

「うん」

 これ、みんな集まるのかな?


 それからしばらく、明らかに遅れて3番目に来たのは

「すみません遅れました! ってあれ? ……まだ2人だけですか?」

 と、ユミ。

「うん。まだ来てないね」

「私もびっくりしたよ。来たらユズしかいなかったし」

「肝心の部長がまだなんですか。まあ、気長に待ちましょう」

「「同じくー」」


 そして4番目。

「あー遅れたー。って、3人? てか、部長は?」

「おはようエミ。部長ならまだだよー」

「集めるには集めたけど、心が沈んで来れる気分じゃないのかも」

「まあ、あの部長の事ですし、寝坊の可能性もなきにしもあらず、ですけどね」

「確かにありえないことじゃないね」

「「そうかもねー」」


 で、9時30分くらいにやっと

「やー、悪かったね。急に呼び出したりしてさ」

 部長が来た。思ったより明るい感じでとりあえず一安心。

「いやね、あれだよ、察しはついてるかもしれないけどさ、その……フラれちゃって」

「「「「あー」」」」

 やっぱり予想通りだった。けど、にしては何だか軽いような。

「まあ私も冷めてきてたから、ちょうどよかったって気はしてるよ。それより……」

「あれですよね」

「気になりますね」

「ですよねー」

「……え?」

 みんな私に今にも飛び掛かってきそうだけど、どうして? ていうかなんか、言い回しに困るような悪いオーラが見えるんだけど……?


「「「「さあルリ(さん)、ケーキを出しなさい(出してください)!!」」」」

「ちょ、それハロウィンのテンション!」

「何だって構わないさ、さあケーキかイタズラか、選べ!」

「選べー!」

「選べ」

「選んでください!」

 どうしようこれもう友達の顔した魔物にしか見えない。何でか分からないけどみんな相当キてるよこれ!


「わ、分かりましたからケーキ出しますからちょっと待っt「ちぃーっ……す?」

「おお、ショウか、いいところに来た。お前も我々のケーキ強奪作戦を手伝うんだ」

 ちょ、何をわけわかんないこと言ってるんですか?!

「……了解。任務を開始する」

「ちょ、そこ乗っちゃダメでしょ!」

「………ルリ」

「何?」

「ほい」

 へ? 人差し指? がくるくる回って、私の、目も、一緒、に……

「きゅうぅ」

 パタッ


「ほら、起きて。ケーキ切り分けたから」

「ぅ……はい?」

 ケーキ? 切り分けた?

「だから、ルリが作ってきたケーキ」

「あ!」

 跳ね起きた、さすがの私も跳ね起きた。ら、テーブルに私が持ってきたケーキが6切れ。

「さ、今から大試食会だよ」

「あ、はい」


 みんな席についてるけど、何だか微妙な雰囲気。

「誰から行く?」

 と言ったのは部長。ん? 誰からって、どういうこと?

「「「そこは……」」」

「分かってるよそんぐらいは」

「理解が早くてよろしい」

「え? えっと、何?」

「まあ落ち着いてとりあえずショウに感想を聞こう」

「はい」

 何だか釈然としないなぁ。


 パクッ……モグモグ

「……」

 とりあえず一口食べたショウは、無言。

「どうなの?」

「勿体つけない」

「教えてください」

「……。その、だな」

「その?」

「非常に言いにくいんだが、このスポンジ


 ……塩味だ」

「「「「え゛」」」」

「これは、悪いがあまりお勧めできかねる」

「そ、そんなあぁ……」

 あんなに頑張ったのにぃぃぃ(泣)


 She always makes some mistakes when she makes a cake.

 訳:彼女はケーキを作るときいつも何かミスをする。


 どうも作者こと穂桐と申します。

 いやー、何とか間に合いましたよ、クリスマス。若干アウトな気もしますが、このくらいなら問題ないでしょう。

 私のクリスマスは別に大したことはありません。学校で冬講座が平常運転してくるのでむしろ恨めしいですね。


 それはそうと最近寒いです。私はたまに風邪引いたりしてますが、皆さんはできればそんなことの無いよう、体調に気をつけてください。


 それではみなさん、メリークリスマス、そして、よいお年を。

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