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愛を囁くように、噂をその耳に

作者: 月森香苗
掲載日:2026/08/17

 婚約者が騎士となり、王族の護衛となる近衛騎士団に配属された。



 近衛騎士は平民や下位貴族出身の子女が配属されることはない。それは何か起きた時に責任を取ることが出来ないからだ。

 その首一つが失態と釣り合うだけの家柄でなければならない。下位貴族であれば一家全員。平民であれば一族郎党で足りるかどうか。責任を取るのにそれだけの人間が処分されては民が減るだけなので、騎士一人の処分で済むように高位貴族の子女が選ばれる。

 次に見た目である。

 常に王族の傍に控えることになる近衛騎士は他国の王族や重鎮の目に触れることがある。見た目というのはどうしても相手からの心象に影響を及ぼす。

 例えば国王の傍に控える騎士の顔に大きな傷があり、それが国王を守りきった勲章ならば、それだけの忠義を受ける国王の価値は上がり、また騎士の忠義も賞賛される。

 しかし、鍛えられているとは思えないだらしない体型や清潔感のない姿をした者はとてもではないが傍に置くだけで評価が下がる。

 顔立ちも差別ではあるが、やはり見目の良い方が好意的に思われやすい。

 最後に実力である。

 王族を命に変えても守ることが近衛騎士の役割で、しかし命をかけて守るとは言えど安全な場所まで守り抜くだけの技量が必要である。

 剣の技量が些か不足していても突出した結界魔法の使い手である場合は特に重宝される。戦うこともさることながら、守ることもまた重要なのだ。


 ノエリア・ヴィオレット・モンテールの婚約者ルシアン・クロード・ヴァレンティスはそれらの条件を満たしていた。

 侯爵家の嫡男で婚姻するまでは騎士団に所属し、婚姻後は騎士を辞めて貴族令息として役目を果たすことになっていた。

 剣の腕前は人並みより少し上だが、それ以上に結界魔法の使い手で、それもあり期間限定とはいえ近衛騎士団に配属を命じられ第一王子の護衛となった。

 元より、その生まれから第一王子が立太子して後は側近として取り立てることになっていたので、騎士として日々の政務を傍らで見ながら己が宛てがわれる仕事を実地で見ていると言っても過言ではなかった。

 青みを帯びた黒髪に青い目をしたルシアンは魔力を溜め込むために髪の毛を伸ばしている。いつ何時でも不測の事態に陥り第一王子が危険な状態になろうとも、結界魔法でその身を守ることがルシアンの役割であるため、邪魔と思っても髪の毛を伸ばすことは義務であった。


「わたくし、ルシアンの髪の毛を手入れすることが好きよ」

「それなら良かった。女性の偉大さを常に感じているよ」

「ふふ。伸ばすのは大変だけど、維持はもっと大変よ。精霊が好む髪の毛にしなければならないものね」


 魔力は自然の中にある魔素から作られるが、魔法の発動を容易に出来るかどうかは精霊に好まれているかどうかによる。

 ルシアンは職務に就いている時は表情を変えることなく第一王子の傍に控えているため、精霊に好まれているとはあまり思われていない。

 しかし、職務を離れノエリアや親しい者のそばにいる時は表情を緩め本質が現れているような穏やかな微笑みを浮かべているからか、精霊に大変好かれていた。


「精霊様、今日は紅露花の香油を使いますわね。香りは甘さがありますわ」


 ノエリアが髪の毛の艶を保つための香油の注がれた瓶を掌の上に乗せると、その瓶の周りに小さな光が見えた。精霊の姿を見れる者は少ないのだが、付き合いも十年になりルシアンのそばに居たからか、ノエリアの目にも精霊の光が見えるようになった。

 瓶から離れていきそうに無いので、蓋を開けると甘やかな香りがふわりと広がる。瓶が落とされないので合格なのだろう。嫌な時は瓶が容赦なく床に落とされるのだ。

 香油を丁寧に髪の毛に揉みこみ、櫛で一束ずつ梳くことをノエリアは好んでいた。無防備な首筋を晒しても大丈夫だと信頼を寄せられているからだ。


「次のお休みはどうします?」

「そうだな……少し体を休めたいから、我が家の庭で茶を飲みながらゆっくりするのはどうだ?」

「分かりましたわ。本を持っていきますわね。隣国で人気の本の翻訳が終わり売られだしましたの。数ページ目を通しただけですが面白そうだし美味しそうだったわ」

「美味しそう?」

「隣国の料理が沢山出てくる物語なの。思わず食べたくなりそうな描写でしたわ」

「なるほど。俺もその本を読んでみたいな。君が読み終わった後、借りることは出来るか?」

「もちろんよ。その作者が書いた別の本もあるの。お貸しするわ」


 傍に控える侍女に目配せをすると、軽く頭を下げて部屋から出て行く。彼女が戻ってくる時、その手には話に出た本があるはずだ。


「最近お仕事はいかがですか?」

「ああ。さほど変わりは……いや。第三王女殿下が俺を護衛にと陛下に強請ったそうだ」

「まあ……」

「当然陛下は却下したし、殿下もお怒りになられた」

「当然ですわ。女性王族の護衛は女性騎士の領分。男性騎士がその任に就くことはございませんわ。よりにもよって第一王子殿下の盾を剥ぎとろうなど……」

「ああ。許されるわけがない」


 王族の中でも優先順位はある。国王の次は王太子、王妃、王太子以外の王妃から生まれた王子、王妃から生まれた王女、側室から生まれた王子、側室から生まれた王女、側室である。

 側室が他国から嫁いできた王族ならば王妃から生まれた王子の次になるが、基本的には国内貴族のことが多いので優先順位は低い。

 申し出た第三王女は側室から生まれているために優先順位はかなり低く、国王の次にその身を守らなければならない立太子の日取りが決まった第一王子から護衛を引き離すなど常識外れにも程がある。

 更に言えば、独身の若い男性は未婚の女性と二人きりになることはない。それが王族ともなればより厳しくなる。


「貴方って顔が良いもの。そばに置きたかったのね」

「馬鹿馬鹿しい。ノエリア以外の女などどうでも良い」

「不敬だと怒られるわよ」


 髪の毛が動きの妨げにならぬよう、しかし精霊が潜む場所としての居心地の良さを追求すると、まずはきっちりと髪紐できつく縛った部分にヘアカフスという金属の筒を被せる。ヘアカフスはルシアンの家紋が描かれ、ノエリアの目の色である深い緑色の宝石がついていた。


「殿下の護衛を引き抜こうとした王女殿下は早々に修道院で祈りを捧げることになるだろう」

「お可哀想に……ご側室様はどうなるのかしら」

「さてな。だが、ご自身の手で育てたいと願った結果が王族に有るまじき言動だ。表に出ることはないだろう」

「陛下のご寵愛でも足りなかったのですね」

「それとこれとは話が別だからな。陛下はご側室を愛しても御子を愛されているわけではない。それに、王妃陛下に対しては強い信頼と尊敬をお持ちの方だ。ご側室がいくら願おうとも王妃にはしない」


 国王陛下がまだ若い時分、現在の側室である伯爵家生まれの令嬢と恋に落ちた。しかし、陛下には幼い頃からの婚約者である王妃陛下がいらっしゃった。

 神聖ファロン国の王女である王妃陛下は「国王にも癒しが必要」だと側室を認め、婚姻して王妃陛下が第一子を出産した後であれば側室として召し上げることを認めた。

 元より、陛下にとって王妃陛下は尊く、恋をするよりも崇拝に近い思いを抱いていた。恋心は劣情であり、そんな欲まみれで王妃陛下を見ることが出来なかった。

 噂によると、子をなすこと自体が神事のように思っていたらしい。ノエリアにはよく分からないのだけれど、それで二男二女を儲けたということは陛下の中で神事を定期的にしていた感覚なのだろうか。

 第一王子殿下が生まれた後、陛下は側室を召し上げた。こちらは恋愛的な意味で愛しており、劣情を向けても良い相手。子が出来ることは望んでいなかった。

 彼にとって側室が愛する存在だからで、子供を産んで欲しいという気持ちはなかった。

 何よりも、国を混乱させない為に王妃から生まれた子供だけで良かった。

 愛されるだけの日々に満足しなかったのは側室で、王妃を蹴落として己が王妃になりたいという願いをずっと持っていた。

 だからこそ、一人だけでも子が欲しいと願い続け、王妃が認めたことで一人だけ産んだのが王女だった。

 側室は勘違いしていたのだろう。愛されているのは己だから、王女も愛して貰えると。

 本来であれば王家の教育方針に従い第三王女も教育係を付けられるはずだった。しかし、側室は己の手で育てたいと願った。

 ここで双方の考え違いが起きる。

 王族に生まれた子供は必ず専属の乳母に育てられ、専属の教師がつけられ、王族として育てられなければならない。

 それ以外の育てられ方をした場合は王位継承権を持てないのだ。

 これは法に定められており、大抵の貴族は知っていることだ。何故ならば学ぶからだ。貴族や平民に対してだけでなく、王族とて法に従わなければならない。その例として、だ。

 また、貴族であれば王族に嫁ぐ可能性がある。男でも国益の為に王家に残る王女の伴侶となることもあり、どちらにせよ生まれた子供に王位継承権を持たせる為には、と教えられるのだ。

 知らない者は真面目に勉強をしていなかったものくらいだろう。

 陛下は当たり前のことだと思っていたから聞かなかった。側室は王女に継承権を与えなくても良いと考えていると思ったのだろう。


 ノエリアは王宮のお茶会で側室が第三王女を己が抱いているのを見て、なるほど、第三王女は称号だけなのだなと思ったし、周りもそう理解した。敢えてそれを口にする必要はなかった。だから側室は知らないままだった。

 王位継承権を持たない王女になんの価値があるだろうか。精々国内貴族に降嫁させるだけだ。


「殿下はこれを機に側室の排除を願われるそうだ。王族に名を連ねるには不適切。愛妾にせよ、と」

「王妃陛下の恩情ですものね。本来の側室としてのお役目を果たされていらっしゃらないのですから」

「王妃陛下の公務をお支えすることをしていないんだ。愛妾で十分だろう」


 吐き捨てるようなルシアンを窘めながらも納得している。

 側室は愚かなので行動には移せなかったようだが、貶めようと悪口を広めようとしていた。何の意味もなければ誰も話を聞かなかったが。

 他の王子や王女の護衛もルシアン程とは言わないがかなり有能なものがあてがわれている。

 それだけでなく、鑑定魔法が使える者を第一王子には二人、他の王子や王女には一人ずつ付けている。

 陛下にとって王妃陛下との間に生まれた子供もまた尊い存在。己の血が混じることからこそ王族だが、信仰にも似た崇拝から生まれた子供を神の子のように見ている節があった。

 それだけ厳重な守りを付けている我が子の中でも、特に第一王子は歴史の中でも特に優れた王になるのだろうと丁寧に扱っている。


 そこまでしている国王が第三王女の戯言を聞くわけがないのだ。


 大変顔の良いルシアンの髪の毛の手入れを終えたノエリアは、いつの間にやら戻って来ていた侍女が差し出した本を受け取る。


「先ほどお話した作家の別の本ですわ。こちらも食べ物の描写が素晴らしいの。きっと美食家なのよ」

「期待出来るな。殿下の公務で他国を訪問した際の参考に出来るかもしれない」

「ええ。この作家の特徴として、訪れた地域の実際の食事でなければ書かないことにしているみたい。実際の地域名も書いてあるので参考になるわ」

「殿下にも伝えておこう。本を読む時間を作ってもらわねばならないな」


 抜き出して説明しても良いが、話題として持ち出すならば実際に本を読んで置くべきだ。素早く作家名と翻訳者を確認したルシアンは、彼の侍従に目配せをする。

 騎士ではあるが同時に侯爵家の嫡男でもある彼は、護衛こそ付けないが侍従が控えている。

 恐らくは市場に流れている本を集めるのだろう。


「何か殿下の耳に入れておくべきことはあるか?」


 本日のルシアンは休みの日で、応接室で穏やかに話をしながら髪の毛の手入れをしたりしていた。

 そんな時に必ず聞かれるのがこれである。

 貴族の令嬢達の間でしか広まらない話題というものがある。それを軽んじるものは多いが、実際にそこで話題に出たことは後に大きな問題に発展することもあるのだ。

 第一王子に最も近い場所にいるルシアンはその不穏の種をノエリアから手に入れている。ノエリアもまたその必要性を理解しているのでおっとりと微笑みながらいくつかの話題を提供する。


「そうですわね。カルセス伯爵令嬢の婚約者であるモルシャス侯爵令息が令嬢を蔑ろにした上で幼馴染みのエルヴァン男爵令嬢の元に足繁く通っていることかしら」

「侯爵令息と男爵令嬢が幼馴染み?」

「ええ。令息の乳母が男爵夫人ですの。それで幼い頃はよく顔を合わせていたみたいよ」

「立場を弁えていないのか。どちらも」

「かもしれませんわね。それと、王立騎士団第三部隊に所属のセレン卿が数名の男性騎士と不適切な距離で交流しているみたいですわ。彼女曰く、男同士と同じ、だそうよ」

「ちがうだろう。女性騎士は男にはなり得ない」

「ええ。風紀の乱れを感じて好ましく思われない方が多いわ」

「調査するよう進言しよう」


 令嬢の噂とは得てして婚約者の不義理な態度への不満であるが、見逃せば土台を崩しかねないことでもある。ノエリアのもたらす噂話に耳を傾けていたルシアンは、途中で言い淀んだ彼女にどうした?と目を向けた。


「……これはあくまでも噂です、が……早急にお調べ頂きたいのです」

「聞こう」

「……シュナウファン辺境伯に第一子が誕生したとのことですが、実は奥様ではなく愛人の子である可能性が高い、と」

「なんだと」

「あのお家は奥様の血筋が正統であり、現辺境伯は名目だけの当主です。もしも愛人の子を後継者とすれば、それは即ちお家乗っ取り。辺境伯家は国防の要ですわ。奥様は結婚してからずっと社交にも出ておりません。皆が心配している中でのお子様の誕生を喜んでいたのですが、ある令嬢が、辺境伯の愛人の話を……。それが三日前のことです」

「分かった。直ぐに調べよう。お家乗っ取りは重罪だ。特に辺境伯家ともなれば処刑では済まされない。ノエリア、すまない。速やかに手配をするため、今日はこれで失礼したい」

「ええ。お耳に入れるべき話は全て致しましたわ。お休みの日に申し訳ありませんが、お願い致します」


 辺境伯領までは距離があるため、一日でも早く動くべきだと判断したルシアンにノエリアは頷く。分かっていたからこそ最後に話をしたのだ。他にも耳に入れておくべきことを話したその最後に。


「こちらが纏めたものです。目を通したあとはいつも通りに」

「助かる」


 立ち上がったルシアンに差し出したのは噂の大半を裏付ける資料だが、辺境伯家に関しては間に合わなかったのだろう。

 申し訳なさそうな顔をするノエリアをそっと抱きしめたルシアンは感謝を告げて屋敷を去った。

 ルシアンとの関係はかなり良好だと思っている。

 今でこそルシアンから第一王子への噂話の橋渡しをしてもらっているが、初めは本当にただの愚痴を聞いてもらう感覚だったのだ。しかしそれらが見過ごせない重要なものだと理解してからは、ノエリアは意識して情報の精度を上げたし、裏付けも取るようになった。

 女だから出来ることは少ないが、貴族の娘として、そしてルシアンの婚約者として相応しくありたいと己を磨くことにした。少しでも貴族の責務を果たし、役立つことを証明したかったのだ。

 今のように交流を途中で切り上げることになっても、それは当然のことと受け止められる。

 己の与えた話がそれだけ大事な証拠でもあるのだ。

 蔑ろにされるどころか大事にされているし、お互いに思い合っている。忙しくてもノエリアの誕生日は必ず共に過ごす。出来なかったのは一度だけで、国外に赴く殿下の護衛をする時だ。

 私の誕生日よりも第一王子殿下の命を優先してくださいませ、と大声で叫んだのは今でも家族の話題に出る。

 それ以外では事ある毎にプレゼントを贈られ、花だってノエリアが好きなものばかり。

 稀に不釣り合いだと言われることもあるけれど、そんな言葉が気にならないほどに愛されている。

 だからこそ、途中退席も気にならない。


「今日もルシアンは素敵だったわ」

「そうですね。お嬢様、いただいた花を部屋に飾っておきました」

「部屋に戻るわ」


 婚約者の素晴らしさを思い返しうっとりとしていたが、侍女から告げられた言葉に我に返った。

 屋敷に来たルシアンを出迎えた際、ヴァレンティス侯爵家でちょうど咲き始めだと言う花を贈られたのだ。数日もしない内に美しく咲く花々は彼の毎回の手土産の一つで、どれもルシアン自らが選んだものだという。

 薔薇の時は棘を全て取り、必ず一本ずつ取り残しがないかを確認するそうだ。

 部屋の花瓶に飾られた花はピンクやオレンジがメインでノエリアの目を楽しませることが目的だとよく分かる。

 初めて顔を合わせた時からずっと変わらないルシアンにノエリアは心が穏やかな気持ちになる。

 顔が良いから一目惚れをし、中身を知る度に好きになった。

 大事にされることが嬉しくて、だからこそ彼を大事にしたいし手助けもしたい。令嬢の社交を頑張るのもそれが理由だ。

 いずれルシアンは騎士を辞めるが第一王子の側近として傍に控える。家政や領地経営を行えるようにノエリアの学びは終わらない。

 今は結界魔法の使い手の育成にも協力しているルシアンを支えることがノエリアの目標である。




 ノエリアが知らせた情報は概ね正しく、侯爵令息と伯爵令嬢の婚約は解消され、女性騎士が除隊、他にもいくつかの処分が下された。

 何よりも大きかったのは、辺境伯家当主が離縁され愛人と共に処刑されたことだろうか。

 何と、正統な辺境伯家の血を継ぐ夫人は監禁されていた。使用人は夫人の命を盾に行動を制限されていた。生まれた子供は愛人ではなく夫人の子として貴族院に提出されていたが、夫人は純潔を保っていたことが鑑定で判明。

 血筋を偽ることは罪である。

 名ばかり当主の男は辺境伯であることを主張したがそこに意味などない。それどころか、辺境伯家固有の魔法があることも知らなかったらしい。

 夫人からすれば子が生まれれば継承されるのだし、そもそもとして有名なことだから知らないとは思わなかったそうだ。

 夫人は既に二十二歳。元夫は亡くなった父が定めたものであり、盛大に失敗したからこそ次を間違える訳には行かなかった。

 王家は国防を担う辺境伯家を尊重しているとして先王の弟が臣籍降下して興した公爵家の二歳年下で二十歳の令息を夫として紹介した。

 その令息は夫人から令嬢に戻った彼女に好意を寄せ、直ぐにでも結婚したいと望んだそうだ。

 北部辺境伯家特有の白銀の髪の毛に淡い水色の目をした一見すれば儚い容姿の彼女は、それでいて中々に強かな性格をしていた。

 夫の不貞を全て知り、愛人諸共処刑されるように罪を重くしたのだ。

 北部を生きる女が弱いわけはないのに、見た目だけで判断した元夫は命で罪を償った。

 その強さに令息は惚れ込んだらしい。

 辺境伯家の安定は国の安全でもあり、例外的に婚約期間を飛ばして結婚までした早さにノエリアも閉口した。

 その令息のことは知っていたのだ。年上好みで強い女性が好きなことを。そっとルシアンに囁いたが上手く運んだらしい。


「ノエリア」

「ごきげんよう、ルシアン」


 今日もまた仕事が休みの日に婚約者がやってくる。

 二人の時間を楽しみながら終わり頃に語るのだ、貴族の令嬢の間で広がる噂を。

 愛を囁くように、そっとその耳に。

すれ違いも何もない話。

テンプレ要素を散りばめて。


活動報告に裏話を書いています。

国王と王妃と側室についてです。国王に思うところがある方はそちらをお読み下さい。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1347077/blogkey/3689630/

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― 新着の感想 ―
お話の内容はとてもいいのですが 前後で文脈がおかしい場所が所々あります 一度ご自分でも通読してチェックしてみてください
 久々に正当で真っ当な婚約者たちの話でスカッとしました。
確かに王太子の側近に無責任な噂話できないもんね。 互いに信頼してて穏やかな愛、すでにいい夫婦のよう! >お家乗っ取りは重罪だ。特に辺境伯家ともなれば処刑では済まされない。 血統の夫人監禁して貴族院に…
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