人と鬼
人の心と鬼の心、どちらも守りたい。
言の葉を紡ぐ
人の心を知るために。
鬼のわたしは今日も
精一杯の言の葉を紡ぎ
このおとぎ話の世界を
必死に生きている。
人と鬼の未来のために。
鬼のわたしは考えた
どうしたら人と仲良く暮らせるのかと。
鬼のわたしは考えた
人と鬼が殺し合う事を
殺し合う意味を。
鬼のわたしは考えた
心を知れば
心がわかれば
人の痛みと鬼の痛みを
理解する事ができたなら
きっと、きっと
おとぎ話の結末は変わる
そう信じている。
人と鬼
本来交わることの無い
夢と現のおとぎ話。
おとぎ話の中の人。
おとぎ話の中の鬼。
互いに譲れない想いがあって
必死に守ろうとしている。
それは、人も、鬼も
変わらない。
守りたいものが確かにある。
なのにどうして
戦わなければならないのか
殺し合わなければならないのか。
守るには、それしか道は無いのかと
鬼のわたしは考えた
答えは出ない
ぐるぐる回る頭の中
殺し合う事に意味がない事を
殺し合っても何も変わりはしない事。
人は鬼に
絶望して、憎んで
鬼もまた人に
絶望し、憎む。
そしてまた、殺し合う。
堂々巡り
負の連鎖。
人の心も
鬼の心も
どちらも心で
どちらも尊重しなくてはならない。
争う時代は終わった。
言葉を持っているからだ。
時には衝突するかもしれない。
それでも
殺し合うことはないのだと
お互いに、守りたいものがある事を
理解しなくてはならない。
この戦いを、殺し合いを終わらせるためには
言の葉を紡ぎ
互いの心を知らなければ
きっと終わらない。
どれだけ時間がかかったか
数えることをやめたほど
たくさんの季節が過ぎた。
その中で、互いの想いを話し合い
いつしか戦いは終わった。
そして、このおとぎ話の幕は下り
新しく、人と鬼の
優しいお話が幕を上げた
お読みいただきありがとうございます。
次回作もよろしくお願いします。




