表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ令嬢と騎士  作者: はるさんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/21

第4章 図書館の静かな時間


王都の図書館。静寂の中、香ばしい古書の匂いが漂う空間で、エリス・フォン・ヴァレンタインはお気に入りの席に座り、本を開いていた。

ページをめくる音だけが小さく響き、外の喧騒とは別世界の静けさが広がる。


「……やっぱり、ここは落ち着くわ」

小さく呟きながらページをめくる手を止める。しかし、どこかそわそわした気持ちも混じっていた。


その時、足音が近づく。普段の訓練場とは違う、柔らかく落ち着いた音。

「……エリス嬢?」


顔を上げると、黒髪を短く整えたライナルトが立っていた。深い青色の瞳が静かにこちらを見つめている。

「……ライナルト様」

控えめに頭を下げるエリス嬢。頬がわずかに赤くなる。


ライナルトは微笑み、柔らかく言った。

「今日もここにいたんだね。偶然じゃないのか?」

「はい……静かで、ゆっくり本を読めるので」


少し歩きながら、ライナルトは尋ねる。

「どんな本を読んでいるんだ?」

「……歴史の本です。王国の昔の出来事や、騎士団のことも興味があって」


その言葉に、ライナルトの瞳が少しだけ輝いた。

「騎士団のことが気になるなら、僕に聞いてもいいよ。……少しなら教えられる」


エリス嬢は驚きと少しの照れで目を丸くする。

「えっ……あ、ありがとうございます……」

胸の奥が温かくなるのを感じ、そっと頷いた。


歩きながら、ライナルトは心の中でぼんやり思う。

(この子の雰囲気は不思議だ……静かで落ち着く……読んでいる姿を見るだけで、妙に心が和む)


エリス嬢もまた、ライナルトの深い青色の瞳に見つめられ、胸が高鳴るのを感じる。

(……また会えた……でも、今日は図書館だから、少し安心して話せる……)


二人はしばらく歩き、静かな光の差し込む通路の端で立ち止まる。

ライナルトが小さく微笑んで言った。

「……また、会えたらいいな」


エリス嬢は顔を赤くし、驚きと嬉しさで小さく息をつく。そして、恥ずかしそうにコクンと頷いた。


図書館の柔らかな光の中で、控えめな令嬢と若き騎士の心の距離は、静かに、しかし確実に近づいていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ