第2章 意識し始める心
王都の騎士団訓練場。青空の下、ライナルトは仲間たちと剣の稽古に励んでいた。いつも通りの厳しい稽古の中で、ライナルトの頭の片隅には、あの夜の庭の出来事がちらつく。
「……おい、ライナルト!珍しくぼーっとしてるぞ」
仲間の声にハッと我に返るが、心の中ではまだエリス嬢の姿が浮かぶ。
ライナルトはあの日のことを思い出す
(舞踏会で、あの豪華なドレスを着た令嬢たちは華やかで目立っていた……けれど……)
頭に浮かぶのは、青く淡いドレスを着た小柄な令嬢、薄緑色の瞳で少し緊張しながら挨拶してくれたあの子のこと。
「……あの控えめな令嬢の方が、妙に心に残るな」
豪華な装いの令嬢たちは確かに目立つ。けれど、自然で飾らないあの微笑みと、静かな佇まいには不思議な力がある。ライナルトは、自分でも意識しているのが分かる。
剣を振るいながら、彼の心は揺れる。
(どうしてだ……他の令嬢たちはみんな目を引くのに、あの子だけが頭から離れない……)
稽古後、仲間たちと談笑しながらも、ライナルトの視線はふと窓の外の空を見上げる。
(また……あの庭で、あの令嬢に会えたらいいな……)
普段は誇り高く冷静な騎士も、心の奥では他の誰でもない、控えめで自然な令嬢に惹かれ始めていることを自覚していた。




