第15話 告白
夕暮れ時、城外の高台にある展望台に二人は立っていた。
眼下には城下町が広がり、赤やオレンジに染まる屋根や街路が輝いている。
遠くの森や川も、夕陽の光に柔らかく包まれ、空は藍色へと変わりつつあった。
エリスは景色に見とれ、少し息をのむ。
「……ライナルト様、ここ……素敵ですね」
「だろう? 俺も気に入ってるんだ。こうして君と来られるとは思わなかった」
ライナルトは少し照れくさそうに笑う。
静かに沈む夕陽を二人で眺めながら、ライナルトは深呼吸し、真剣な表情で口を開く。
「エリス……今日は、どうしても伝えたいことがある」
エリスの胸が高鳴る。
――……何を言うの……?
「俺は……ずっと君のことを気にしていた。君の笑顔も、考え方も、全部――気になって仕方がなかった」
その真剣な眼差しに、エリスは言葉を失う。
――ずっと……私のことを……
ライナルトは少し間を置き、深く息をついて続ける。
「だから、正直に言う。俺はエリスを守りたいし、大切にしたい。君の隣にいたいんだ」
エリスは頬を赤くし、視線を伏せる。
――でも……私の家は男爵家で……伯爵家の嫡男であるライナルト様とは……
「……ライナルト様、ありがとうございます……でも、私の家は男爵家で……あなたの家柄とは、釣り合わない……」
ライナルトは手を差し伸べ、そっと握る。
「そんなこと、気にする必要はない。爵位なんて関係ない。俺は、君自身が大事なんだ」
エリスはその手の温もりに胸が熱くなる。
「でも……私……」
ライナルトの青い瞳が真剣に見つめる。
「わかってる。焦らなくていい。君の気持ちも尊重する。でも……俺は、君のそばにいたい。それだけは伝えたくて」
エリスは小さく息をつき、頷く。
「……私も、ライナルト様のことを……好きでした……ずっと……」
「本当に?」
「はい……私もずっと、ライナルト様のことを意識していました」
ライナルトの口元がほころぶ。
「そうか……よかった」
彼はそっと手を握り返す。
夕陽に染まる街並み、遠くの森や川――その美しい景色が、二人の恋の始まりを優しく包む。
まだ未来は不確かで、爵位の差という現実もあるけれど――
この瞬間、二人の想いは確かに通じ合ったのだった。




