第12話 街での守護者
昼下がり、城下町の石畳は商人の呼び声や子どもたちの笑い声で賑わっていた。
ライナルトは騎士団の仲間たちと共に街の巡回任務を行っていた。
「ライナルト、あの広場は混雑してるぞ。子どもも多いから注意してくれ」
金髪のカールが笑顔で声をかける。
「了解。周囲も気をつけよう」
ライナルトはうなずき、市場の方へ歩みを進める。
広場の一角で、二人の男が険しい顔で向かい合っていた。
「俺の契約分の荷物だ! 勝手に手を出すな!」
「勘違いだ! 俺のものだ!」
拳が震え、殴りかかろうとしている。
周囲の通行人や子どもたちも巻き込まれそうだった。
ライナルトは瞬時に駆け寄る。
「待て! 二人とも!」
男たちは驚き、動きを止めようとするが、まだ怒りが収まらない。
ライナルトは低い姿勢で素早く踏み込み、片方の腕を相手の肩と胸に回して制御し、もう片方の男の腕を腰に回し、軽く押さえつける。
さらに片膝を巧みに二人の間に差し込み、互いのバランスを崩させて地面に抑える。
「ぐっ……!? な、何だ……」
「くっ……!」
ライナルトは冷静に言う。
「理由は後で聞く。今は周りの迷惑を考えろ」
二人は身動きできず、怒りも押さえられ、周囲の市民もほっと胸をなでおろす。
そのとき、遠くのベンチにエリス嬢が座っているのが目に入る。
驚きと尊敬の入り混じった表情で、ライナルトの手際よい制圧を見守っていた。
ライナルトは二人を解放し、短く頭を下げる。
「これ以上迷惑をかけるな。理由は落ち着いてから聞く」
二人は渋々うなずき、その場を離れる。
カールが軽く笑う。
「さすがだな、ライナルト」
ライナルトは肩をすくめながら答える。
「騎士として手は抜けん」
エリスは、ライナルトの毅然とした背中を見つめ、心の奥で胸が高鳴る。
――やっぱり……頼もしい……
街のざわめきの中、ライナルトの冷静かつ圧倒的な騎士としての姿が、エリスの心に深く刻まれ、二人の距離は少しずつ縮まっていった。




